2014.04.05
第53話 燻製
やみつきになる「燻製」が誕生したのは…

そもそも燻製は食材を長期保存するための技術だ。冷蔵庫もなかった大昔、狩猟でとってきた肉や魚はすぐに食べきらないと傷んで食べられなくなってしまった。ところがやがて人類は洞窟の中で火を使うと、食べきれなかった肉や魚が煙で燻(いぶ)され長持ちすることに気付く。こうして1万3000年くらい前から、狩猟民族を中心に燻製という技術が発達していった。まあ、この頃の燻製なんて煙臭いだけで食えたもんじゃないけどな!
そういう経緯だから、燻製は大昔から世界中で作られてきた。たとえばヨーロッパならハムやベーコンだ。ベーコンなんてぶっちゃけ「塩漬けにした豚バラ肉の燻製」だから、どこの誰が発明したとは決めづらいんだが、たとえば紀元前数世紀頃、デンマークの海賊たちが船の上で塩漬け肉を火であぶっていたら、たまたま薪が湿っていたせいで燻製になり、これが長持ちする上にやたらと美味かった……なんて伝承もある。ちなみにハムとベーコンはほとんど同じもので、塩漬け肉を燻製した後、スチームするか乾燥熟成させるかの違いだけだぞ。
インド洋の赤道直下に浮かぶ島国、モルジブにはハガツオの燻製「モルジブ・フィッシュ」があるぞ。これはカツオを腸(はらわた)ごと茹でて燻製にした後、天日でカラカラになるまで干したものだ。どうだ、日本の鰹節そっくりだろう。鰹節の場合は燻製にしたあと、カビをつけて水分を抜きながら熟成させるな。モルジブ・フィッシュも鰹節も起源が古すぎてその発祥は定かではないが、海の幸で生活する人たちもまた昔から燻製に親しんできたんだ。
野菜の燻製なら秋田県の名物「いぶり漬け」を挙げておこう。世間的には「いぶりがっこ」という名前で有名だが、これは漬物屋『雄勝野きむらや』の登録商標。一般名詞としてはいぶり漬けだ。その作り方は、大根を囲炉裏の上で燻製にしてから、米ぬかと塩で漬けるというもの。多くの人が「たくあんを燻製にしている」と勘違いしているけど、実は逆だ。そのスモーキーな味わいは一度食べたらやみつきだぞ。
近年は食材の保存技術が圧倒的に向上して、保存食としての燻製の役割は少なくなった。だが一方で、その美味しさに魅了され、燻製なしではもう生きていけない!という人も少なからず存在している。今日はそんな人たちに燻製の魅力やコツを教えてもらおう。そしてこの大量のマスも美味しい燻製にするぞ! Here we go!
- ONAIR LIST
- 2'45" / Route 66 / George Maharis
- 12'40" / Good Ole Boys / Blake Shelton
- 31'58" / I'm Only Me When I'm With You / Taylor Swift
- 42'18" / I Love You This Big / Scotty McCreery