2014.08.30
第74話 鮎
友釣りは「鮎」の漁の革命だった!

それほどまでに外国人(俺は宇宙人だけど)が鮎に驚くのにはちゃんと理由がある。鮎は川底のコケを食べているので、餌や疑似餌を使った普通の釣りでは釣れない。だから鮎は東アジア一帯に生息していても、日常的に食べられるのは「友釣り」という特殊な釣り方を編み出した日本くらいなんだ。そして鮎にはコケを食べているからこそ他の魚にない独特の風味がある。そこに素材の味を活かす日本の食文化も相まって、初めて食べた外国人が「なんだこの魚は!」と衝撃を受ける……という次第だ。
ちなみに「友釣り」が発明されたのは江戸時代。でも鮎が普通の方法では釣れないのは昨日今日に始まった話じゃないので、それまでは「梁漁(やなりょう)」「鵜飼い」といった、これまた一風変わった方法で鮎をとっていた。梁漁は一種の罠漁で、鵜飼いは長良川の名物として今も有名だよな。7世紀に書かれた中国の史書『隋書』にも「日本じゃ鳥に魚を捕まえさせる変な漁をやってるぞ」と紹介されているくらい、日本人は大昔から鮎を捕まえるためにあれこれ工夫してきたんだ。
しかし鮎の捕獲方法としては、やはり友釣りの発明が画期的だった。この友釣りが最初に行われたのは伊豆半島の狩野川だったとされている。伊豆国の代官を務めた江川家の『江川文庫』に、天保3年(1832年)の出来事として「梁漁をしている村々の役人から友釣りを禁止してほしいという訴えがあった」と記されているんだ。友釣りのせいで梁漁では鮎がとれなくなって税金も納められなくなりそうだ!って苦情だから、友釣りがどれだけ革命的だったか窺われるだろう。
鮎は釣りとしても面白いし、食べればなお美味しい。こんな魚があちこちの川にいるなんて、日本人は本当に恵まれていると思った方がいいぞ。釣る方は少々敷居が高いにしても、せめて食べる方くらい愉しまないともったいないことこの上ない。年に一度くらいは鮎のとれる場所まで足を伸ばして、旬の味を愉しんだらどうだ。今日はそんな鮎に詳しい人に会って、その魅力を語ってもらおう。 Here we go!
- ONAIR LIST
- 3'12" / Route 66 / George Maharis
- 12'00" / Pode Parar / Jorge Vercilo
- 32'32" / Samba Do Grande Amor / Joyce Moreno
- 42'51" / Los Patitos / Lisa Ono