ピートのふしぎなガレージ

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エヌ博士

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カテゴリー : カルチャー

ハロウィン

2016.10.29

第186話 ハロウィン

ゲストコメント
ケルト文化学者 鶴岡真弓さん「ケルトのサウィンというお祭りがルーツです」
ケルト文化学者 鶴岡真弓さん
ケルト人は2700〜2800年前にヨーロッパの中心部から西の地域にかけて、ローマ人よりも早くに鉄器文明を築き上げた人々です。ただ、ケルトにはもともと文字がなかったため、ローマのように詳しい歴史が伝わっていません。自分の気分や叙情を大事にしたケルト人は、声というスピリチュアルな表現を大事にした部分もあったようです。たとえばジョン・レノンもそんなケルトの文化的な系列にいるひとり。彼が息子にショーンというアイルランド系の名前を付けたのも、ケルトの血筋を大事にしたからでしょう。

古代ケルト人は1年を半分に分け、一方を明るい半分、もう一方を闇の半分と捉えました。明るい半分は春から秋にかけて、種を蒔いて作物を収穫するまで。そしてその明るい半分が終わる10月31日の夜、闇への扉が開いて死者たちの霊がやってくるのが、ハロウィンのルーツ「サウィン」でした。そう聞くと陰気に感じるかもしれませんが、謝肉祭(リオのカーニバルもその系譜です)の「肉断ちの前の最後のドンチャン騒ぎ」に近いですね。

収穫が終わり、厳しい冬がやってくる。ケルト人はそれを恐れていただけではありません。その夜、闇への扉が開き、ありがたい祖先の霊がやってくる。それをお迎えして供養するのがサウィンです。日本のお盆によく似ていますね。そしてケルト人は「死者こそが生者の背中を押してくれる」という信念を持っていました。その信念はトールキンやオスカー・ワイルドの作品やアーサー王伝説などにも受け継がれています。

現代人は「いま地球上に生きている人が主人公」と考えています。しかし少し前の前近代まで、ましてや古代のケルト人たちのような厳しい北ヨーロッパで暮らす人々は「主人公は死者である」と考えていました。たとえばジェイムズ・ジョイスの『ザ・デッド(死者たち)』という有名な小説は、死者たちに出会って「11月1日から来年の春まで頑張ろう」と覚悟を決める物語です。マイケル・ジャクソンの『スリラー』にもハロウィンの「感謝すべき死者たちにまみえる夜」という発想が根底にあると思います。

子供たちが仮装をして戸口を回るのは遊びでもなんでもなく、本物の霊そのものの役割を担っています。子供たちに配るお菓子も「ソウルケーキ」といって霊にお供えするもの。次の春が来るまでのとても貴重な食料だけど、それをまず死者たちに捧げる心根を問われています。ハロウィンではそんな死者の気持ちになれる人だけが仮装すべきではないでしょうか。
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