2018.06.09
第270話 剣道

全日本剣道連盟 常任理事 藤原崇郎さん「剣道の試合で注目してほしい心の動き」

以前は九段までありましたが、現在は八段までになりました。八段は年齢制限が46歳以上で、七段になってから10年の修行を積まなくてはいけません。それでやっと審査を受ける資格が得られるんです。
八段は技術だけではなく、心や品性も含めた剣風を審査員に評価されます。面小手胴を上手に打つだけではなく、同じ打ち方でも重みがあったり、鋭さがあったり、気品があったり、その人が培ってきたものの総合力が問われる、というものですね。
── 剣道の試合は「1本」で勝ちなんでしょうか?
一般的に大人の試合なら「5分3本勝負」です。計3本なので、先に2本取ったら勝ちですね。でも時間制限もあるので、1本だけで勝つこともあります。同点の場合は、個人戦なら延長戦だったり、団体戦なら引き分けだったり、大会ごとの取り決めです。
剣道における「1本」は、正しくは「有効打突」と言って、竹刀が刀だった場合に相手に致命傷を与えているかどうかで判断されます。ですから、ただ面に当たれば良いというものではなく、それなりの強さも必要ですし、打ったときの姿勢や気力、太刀筋なども重要です。それらを3人の審判員が総合的に判断して、その多数決で決定します。
たとえば竹刀には「打突部」と呼ばれる場所があります。竹刀の手元の方で打っても相手に十分な衝撃が伝わらないので、竹刀の先端1/4くらいで打つんです。「気剣体の一致」と言って、声と打突と踏み込んだ体勢がすべて決まって有効打突として認められます。
── 剣道を見る時にはどのあたりに注目すると良いでしょうか
剣道を初めてご覧になると、どうしても1本を取ったり取られたりに目が行ってしまいますが、ぜひその1本の後、取った方も取られた方も、心境の変化があるのかどうかに注目してみて下さい。剣道は最初の1本をきっかけに戦い方がガラッと変わることが多いんです。それを見てその人の気持ちがどう動いているのかに焦点を合わせて見ると、すごくおもしろいと思います。
そういえば、おもしろいところでは最近、二刀流の人が増えています。昔から学生の大会で認められているので、二刀で八段の審査を受けて合格した人もいるほどです。やっている我々も稽古で二刀の人がいると、普段と違った感覚でとても新鮮です。
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