2019.01.05
第300話 シティホテル


古くは「御三家」と呼ばれた帝国ホテル、ニューオータニ、オークラ。この3つがシティホテルの代表格でした。しかし90年代になると外資系の高級ホテルが黒船のように日本にどんどん来ます。恵比寿のウェスティン、新宿のパークハイアット、目白のフォーシーズンズ(現在は椿山荘)、この3つが「新御三家」と呼ばれました。
さらにその後、新々御三家と呼ばれる……などと言い出すとキリがありません(笑)。というのも、何かがあるとホテルの建設が集中するからです。それでもう最近は、東京に外資ブランドのホテルがあらかた出揃った感があります。
── 外資ブランドのホテルってそんなに多いんですか
実は外資系ホテルとは言っても、所有者、経営、運営、ブランドは全部別だったりします。これが全部同じなのが御三家なんですが、多くの外資系ホテルは海外ホテルのブランドの名前を借りてきて、日本の会社が経営や運営を行っています。
そういうホテルが増えたのは、東京で再開発が盛んに行われてきたからです。ホテルには大勢の人が集まりますし、人々がやすらぐオアシスのような役割も果たします。そんなイメージの良さや注目を集める効果を狙って、ランドマークとしてホテルが求められたんです。
── これから注目のホテルはありますか?
リニューアル工事中のオークラが9月に開業します。どんなオークラに変わったのか、昔の雰囲気は残されているのか、大注目です。さらに2020年には世界最大のホテル会社「マリオット」が、最高級ブランドのホテル「エディション」を銀座と虎ノ門に開業します。東京以外では、11月に開業予定の『アゴーラ金沢』。日本らしさを感じられる京都や金沢は海外の方にも人気ですね。
僕は昔、恵比寿のウェスティンに泊まった時に「入浴剤が欲しい、バブのグリーンで」とお願いしたら、すぐに持ってきてくれました。しかも半年後にもう1度泊まったら、最初からバブのグリーンが置いてあったんです。また別のホテルでは、レストランで妻が氷抜きのお水をお願いしたら、1ヶ月後にもう1度行った時に氷抜きの水がサッと出てきました。こんな心のつながり感じられるおもてなしこそがシティホテルの醍醐味だと思います。