2019.03.09
第309話 ピザ

(株)ヒガ・インダストリーズ 代表 アーネスト比嘉さん「日本の宅配ピザ事始め」

ある時、アメリカのビジネス雑誌を読んでいたら、「ドミノ・ピザ創業者のトーマス・モナハンがMLBのデトロイト・タイガースを(当時)最高額の100億円で個人的に買収した」という記事がのっていたんです。私は宅配ピザがそんなに大きなビジネスだとは思っていなかったので驚いて、モナハン氏にアポイントを取って会うことにしました。
待ち合わせした場所はデトロイトのタイガースタジアム。リムジンか何かで迎えが来るのだろうと思っていたら、空からドミノ・ピザのロゴの入ったヘリコプターがやってきて、それで郊外の本社まで案内してもらったんです。すると、その本社はモナハン氏の趣味でフランク・ロイド・ライトの設計。さらに彼は高いモノになると1台15億円もするクラシックカーを400台も所有し、プライベートジェット3台に、クルーザーヨットも3隻。それらをすべて宅配ピザで稼いだと聞いて、大いに驚かされたんです。
── とてつもない大金持ちですね!
そこまでアメリカで成功したビジネスモデルなら日本でも成功する可能性は十分にあるのではないかと考えて、ドミノ・ピザを日本に招聘することにしたんです。ただし、アメリカのやり方そのままではなく、日本向けにアレンジする必要も感じました。
わかりやすいところで、アメリカの消費者が求めるのはまず「量」です。でも日本の消費者は量よりも「質」を求めます。それからアメリカ人はパサパサの生地を好みますが、日本人はモチモチの生地を好みます。照り焼きチキンやイカのようなトッピングも日本向けに考えたオリジナルでした。向こうの人は反対したんですが「日本人はまだピザに馴染みがないので、馴染みのあるトッピングがほしい」と押し切ったんです。
── 同じドミノ・ピザでも本国アメリカと日本でずいぶん違うんですね
アメリカではできる限りメニューを簡略化しようとします。実際、アメリカのドミノ・ピザは12種類のトッピングに、ドリンクはコーラだけでした。しかし日本では豊富なバリエーションを求められます。それで38種類のトッピングに様々なドリンクを用意し、季節メニューも導入しました。1枚のピザで4種類のトッピングを選べる「クワトロ」も日本で考えたメニューです。
「30分以内にお届けします」というキャッチフレーズも話題になりました。日本にも出前はありましたが、普通のお店は店にいるお客さんを優先せざるをえないし、雨の日は配達が大変で、なかなか届かないのが当たり前だったんです。でも我々はそれが専門なので、スタッフに「雨の日こそ頑張ろう」と言って30分以内に届けました。そして、そこが出前とは違うという意味を込めて「宅配ピザ」と名乗ったんです。
Site : http://www.higaind.jp/
Profile : https://office.swu.ac.jp/content/c_campus/c_officer/c_higa/(昭和女子大)
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