2019.07.06
第326話 朝顔

入谷朝顔まつり 前実行委員長 長恒男さん「朝顔まつりで色とりどりの朝顔を楽しもう」

入谷朝顔まつりは昭和25年から毎年行われています。去年がちょうど70周年だったので、今年が71年目ですね。開催期間は7月6日から8日の3日間。毎年、その日程は変わりません。
この日程は七夕にちなんでいます。織り姫と彦星が年に一度だけ会うという伝説に基づく七夕ですが、彦星を中国では牽牛星と呼ぶんです。この牽牛という言葉が朝顔を意味しているので、七夕の7月7日を真ん中にして、7月6〜8日の3日間に開催しています。
── 入谷朝顔まつりではどれくらい朝顔のお店が並ぶんですか?
昔は100軒以上の店が並んだんですが、今は60〜70軒くらいに減ってしまいました。売られている朝顔は80%が「あんどん作り」で、それが入谷の朝顔の特徴にもなっています。これは昔、入谷の朝顔はそういう特徴にしようと決めてやってきたからです。残りの20%は変わり咲きの朝顔や西洋朝顔が売られています。
3日間で訪れるお客さんは30〜40万人。観光バスで名古屋や仙台などの遠方からいらっしゃる方もいます。近くには上野や浅草などの観光地もありますし、海外のお客さんも多いですね。昭和40〜50年代には、市川右太衛門や片岡千恵蔵などの人気役者も着物姿で芸者衆を連れて来たもんです。あの頃のスターは本当に粋でした。
── 朝顔まつりですから、当然、朝顔を買えるんですよね?
はい。価格は2000円で統一しています。変わり咲きや大きな鉢などの特殊な朝顔だと5000〜1万円くらいするものもありますが、80%を占めるあんどん作りの朝顔は2000円と決まっているんです。その安心感もお客さまに来ていただく上で重要だと思っています。
値段が変わらないので、ぜひ朝顔のことをよく知って、欲しい朝顔を選ぶ楽しみを知っていただければと。コツとしては、軸が太いものの方がしっかりした花が咲きます。それから白っぽい軸だと白っぽい花が咲き、色が濃い軸だと色の濃い花が咲きます。まるで歌舞伎役者の市川團十郎の舞台衣装のような、カーキ色の花を咲かせる「団十郎」も人気ですね。
朝顔を買って家に持って帰って、冷房のきいた部屋の中に飾ってしまうと、朝になっても花が咲きません。昼間は外に出しても、夜に部屋へ入れてしまったらダメです。朝顔は暑ければ暑いほど良いので、変にかわいがりすぎないようにして下さい。