ピートのふしぎなガレージ

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エヌ博士

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カテゴリー : カルチャー

映画館

2020.03.07

第361話 映画館

ゲストコメント
映画批評家 前田有一さん「シネコン時代の個性ある映画館」
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映画批評家 前田有一さん
── 映画館によって違いってありますか?

昔に較べると最近はシネコンが増えましたね。シネコンはチェーンなので、全国津々浦々どこへ行っても、同じクオリティのサービスが受けられるのが最大のメリット。日本の映画館の設備やサービスのレベルを上げてくれた良い文化ではあるのですが、それと同時に映画館ごとの個性が失われ、画一的になってしまった部分もあります。

そんな中、昔から残っている映画館や、単館系の映画館、インディペンデント系の映画館などは、独自の個性を打ち出しています。たとえば立川の「シネマシティ」は音にこだわった映画館。「爆音上映」でも有名ですね。すごく良い音を大音量で流してくれるので、音にこだわった映画を観たり、洋画の超大作を迫力あるサウンドで楽しみたい時はココに行くという人もたくさんいます。

── 前田さんが感心したユニークな映画館はありましたか?

山手線の田端駅にある「シネマ・チュプキ・タバタ」という映画館です。ここは日本初のユニバーサルシアター。簡単に言えばバリアフリーの映画館で、障害者や小さい赤ちゃんを連れたお母さんなど、誰でも分け隔てなく映画を楽しめる映画館を目指して作られました。

普通、赤ちゃんのいるお母さんにとって、映画館なんて一番行きにくい場所のひとつでしょう。でもストレスの多いお母さんにこそ映画を楽しんで欲しい。そこでこの映画館は後ろに完全防音の個室を用意して、赤ちゃんが泣き出したらそこであやせるようになっています。その個室でもちゃんと映画の続きを観られるので、何なら最初から最後までその部屋で映画を観ても構いません。

── たしかに赤ちゃん連れで行ける映画館って珍しいですね

聴覚障害の人向けには抱き枕のような振動スピーカーも用意されています。僕も試させてもらったのですが、なかなか新鮮な体験でした。目が見えない人向けにも座席にイヤホンガイドがあります。そして何より、赤ちゃんが泣き出して後ろの個室へあやしに行くお母さんに対して、観客のみんなが「お互い様だから」と温かく見守る雰囲気が素晴らしいと思いました。

しかもシネマ・チュプキ・タバタは単にバリアフリーなだけではありません。25席くらいしかない小さな映画館なのに、ものすごく良い音響設備が入っているんです。支配人の方に話を聞いたら、アニメ『ガールズ&パンツァー』シリーズを手掛けた音響監督の岩浪美和さんが、限られた予算の中で全力を尽くして音響の設計・監修をして下さったのだとか。普通に観に行ってもそこら辺の映画館よりはるかに良い音で映画を楽しめます。
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