ピートのふしぎなガレージ

  • facebook
  • twitter
  • google+
エヌ博士

On Air オンエア

カテゴリー : カルチャー

銭湯めぐり

2014.03.15

第50話 銭湯めぐり

ゲストコメント
庶民文化研究家/銭湯文化協会理事 町田忍さん「伝統的な銭湯の魅力」
ポッドキャストを聴く
庶民文化研究家/銭湯文化協会理事 町田忍さん
現在の日本では内風呂の普及率は95%。でも世代的に言えば、50歳以上の人たちは日常的に銭湯へ通ったことのある人が多い。昭和25年生まれの僕が子どもの頃は、近所の9割に内風呂がなかった。だから町内に1軒は銭湯があって、最盛期の昭和43年は都内に約2600軒もの銭湯があった。それが現在は695軒。

銭湯の値段は「物価統制令」によって定められている。これは戦後の物価が安定していなかった頃にお米やお砂糖などの値段を規制した法律で、現在でもその法律が適用されているのは銭湯だけ。東京なら現在は450円。江戸時代から銭湯は「かけそば1杯」の値段が相場とされてたけど、意外とそれは現代にも受け継がれている。

銭湯は贅沢なまでの空間の広さが魅力。伝統的な銭湯ならペンキ絵もあるし、鯉の泳ぐ庭を見ながら腰に手を当てて飲むコーヒー牛乳の味は格別。東京型の銭湯はだいたい脱衣所が吹き抜けになっていて、天井の高さは8mくらいあるし、浴室は10m以上。その爽快さは内風呂では味わえない。

都内では200軒強の銭湯に「富士山のペンキ絵」がある。このペンキ絵、発祥は神田猿楽町だった。大正元年に銭湯の主人が「子どもにも愉しんでもらおう」と画家に絵を依頼した。その依頼を受けた静岡県の出身だったので富士山を描いたら大評判になり、それ以降、銭湯の壁に富士山のペンキ絵が描かれるようになった。

銭湯のペンキ絵は年に1回は描き変える。ペンキ絵の下に近所の質屋や美容院の広告が入っているので、その広告料で描き変え費用がまかなわれる。このシステムは大正時代に確立され、絵師は広告代理店に所属していた。当時はラジオもなかったので、銭湯が広告媒体として非常に適したメディアだった。それがペンキ絵を広めたという側面もある。

ペンキ絵には湖や川や海といった「水」を入れるのが決まり。ペンキ絵の中の水が湯船の延長線上に見える表現で、お客は露天風呂の感覚を愉しめるようになっている。さらに言えば、富士山で清められた水が湯船に注いで自分の体を清める「みそぎ」の文化でもある。お年寄りが「極楽々々」と言うのにはそんな背景もある。

そもそも東京では銭湯の建物自体が神社仏閣のような「宮作り」をしている。これは関東大震災の復興期に宮大工の技術を持つ棟梁が「みんなが元気になるように」と豪華なお寺風の銭湯を作ったのが最初だった。そんな建築美を愉しむのもひとつの銭湯の愉しみ方。

僕のおすすめは北千住。北千住駅と南千住駅、それと荒川で作られるトライアングルには良い銭湯が集中している。特に「大黒湯」は昭和4年の創業で、三重の立派な屋根、格子画の天井、九谷焼のタイルに描かれた木曽の風景、そして露天風呂も愉しめる。ここに450円で入れるのはすごくお得。
  • mixiでシェアする

JFN37局ネット

FM愛媛、FM長崎は18時~、FM青森は19時~放送

AIR-G'(FM北海道)・FM青森・FM岩手・Date fm(FM仙台)・FM秋田・FM山形・ふくしまFM・TOKYO FM・FM栃木
FM-NIIGATA・FM長野・K-mix・FMとやま・FM石川・FM福井・@FM(FM AICHI)・FM GIFU・FM三重・FM滋賀
FM OSAKA・Kiss FM KOBE・FM山陰・FM岡山HIROSHIMA FM・FM山口・FM香川・FM愛媛・FM徳島 FM高知
FM FUKUOKA・FM佐賀FM長崎・FM熊本 FM大分・FM宮崎・FM鹿児島・FM沖縄