2014.04.05
第53話 燻製

赤坂「燻」オーナーシェフ 輿水治比古さん「燻製に秘められた魔法の力」

燻製にプロも素人もないと思いますが、違うとすれば時間のかけ方や管理の手間でしょうか。たとえば燻製と聞けば「煙にかけること」をイメージしますが、実は全体の作業から見たらそれほど比重は大きくありません。その前の段階で塩漬けにしたり干したり、いろんな処理をして燻製に向かうまで手間の方が圧倒的に大変なんです。さらに煙をかけたら後干しもします。そんな作業全体で燻製作りなので、煙をかけるのはそのほんの一部です。
たとえばベーコンを作るなら、16時間くらい煙をかけて、次の日は干す。そしてまた翌日に16時間かけて……と3セット繰り返します。その前の段階でも塩漬けに3日、干して10日、冷蔵庫で寝かせて数日、といった具合なので、生の豚バラ肉が完成したベーコンになるまで優に1ヶ月以上掛かります。
燻(いぶ)すという行為は、煙をかけるだけじゃなくて、なぜか食べ物を美味しくする効果があります。その理由は私たちにも分かりません。先人たちは保存のために燻製という文化を培ってきましたが、どこかで美味しさの方にシフトしていきました。私も初めて塩を燻製にした時、あまりに美味しくて興奮しましたが、そんな燻製に秘められた魔法をどこかで解明できればと思っています。
燻製した塩はそこまで独特の味をしているわけではありません。ただ、その香りや味にプラスアルファがあるイメージです。素材の美味しさがそのままなのはベーコンやソーセージも同じ。スモークサーモンも、わかりづらさもある生のサーモンの味を燻製によって底上げしてると感じます。燻製にはそんな力があるんです。
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