2014.07.19
第68話 昆虫採集

東京農工大学農学部教授 岩淵喜久男さん「昆虫の生態も知っておこう」

活動している昆虫は見ているだけでもおもしろいですよ。樹液のところにカブトムシやクワガタ、カナブン、スズメバチなどが集まると、樹液の取り合いになります。基本的に強いのは大きい昆虫です。でも取り合いと言っても殺し合いになったりはせず、小さい昆虫がどかされてしまうだけです。虫同士は捕食するために殺すことはあっても、それ以外は共存しています。
カマキリは他の昆虫を補食する典型的な昆虫ですし、キセイバチは蝶の幼虫に卵を産み付けて子供の餌にしてしまいます。モンシロチョウの幼虫を捕まえて飼っていると、幼虫の体の中から小さな虫が出てくることがあるのですが、これがキセイバチの子供です。アゲハにしてもモンシロチョウにしても、秋に捕ってきた幼虫は半分くらいが寄生されています。
カミキリムシはヒゲ(触角)が長いことで有名で、昆虫採集をする人の間では非常に人気が高い昆虫です。子供の頃は格好いいカブトムシやクワガタを捕っていても、何度も捕る内に飽きてしまうんですね。そこで蝶にいく人とカミキリムシやコガネムシにいく人に分かれます。実はカブトムシはコガネムシの一種なので、カブトムシから幅を広げるならコガネムシがおすすめです。
カミキリムシは都内にもたくさんいます。一番ポピュラーなキボシカミキリは体長5cmくらいで、触角がすごく長いのが特徴です。灰色と黒の間の色で、背中に白い点がたくさんあります。次に多いのがゴマダラカミキリ。ちょっと紺がかった黒い体に、こちらも白い点がたくさんあります。わりとキレイな見た目なので子供も好きかもしれません。
一般的に森の方が昆虫は多いのですが、実は植林地は昆虫相が貧弱です。雑木林の縁の森が途切れるところが狙い目で、蝶でもカミキリムシでもいろんな昆虫がいます。