2014.08.09
第71話 金魚

堀口養魚場 堀口英明さん「大正時代から金魚の養殖をやってます」

金魚は親になるまで2年かかる。だから春先に卵を取った親は、次の年もまた使う。そして3年目になれば、最初の卵から生まれた子供を自前の親として使うことが可能になる。でも金魚は最初に生まれる「一番子」が一番いい金魚が生まれる。だからウチでも通常は二番子まで。
6月以降になると卵が孵化するまでの時間が短くなってしまう。これは鶏や鮭でも同じだけど、卵が孵化するまでの時間は積算温度で決まるから。金魚なら5日〜1週間で生まれるのが理想的。暖かすぎると2〜3日で孵化してしまい、金魚の形があまり良くない。
金魚は1度の産卵で3000〜5000個くらいの卵を産む。自然産卵の場合は受精の割合が60%くらいだけど、人工授精なら90%以上にできる。ウチならオスとメスを合わせて300匹くらいで卵を取るけど、1回に孵化する数は20〜30万匹になる。
生まれた稚魚は池で育てる。1000平米に10万匹までが良いとされるけど、そんな大きな池はなかなかないので、ウチなら100坪の池に5〜10万匹くらい入れる。そして1〜2ヶ月である程度大きくなってきたら、選別しつつ池を分けていく。そうやって選別の対象になった金魚が金魚すくいに使われる。そして残った金魚は一冬越して、翌年に販売される。
金魚の三大産地は東京の江戸川、愛知の弥富、奈良の大和郡山。大和郡山は江戸時代に藩主の柳沢さんが金魚好きで、養殖を奨励したから名産地になった。その郡山の金魚を販売する際、中継地になったのが弥富。その他、埼玉、長洲(熊本)、庄内、浜松、弘前、高知などでも、その土地でしか作られない地の金魚が生産されている。