ピートのふしぎなガレージ

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エヌ博士

On Air オンエア

カテゴリー : カルチャー

写生

2014.09.13

第76話 写生

ゲストコメント
俳優 榎木孝明さん「心が動いた瞬間が絵の描き時です」
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俳優 榎木孝明さん
僕は俳優を40年近くやっていますが、実は絵の方が長いんです。子供の頃から絵は描き続けていて、東京に出てきたのも「絵の仕事がしたい」と思って美大に進学したから。途中で横道に逸れて役者になりましたが、それでも時間を惜しんで書き続けてきたので、そういう意味では両立してきたと思っています。

僕が描いているのは主に風景です。若い頃はよく一人でアジアを放浪していたので、そこで見た景色を水彩画にしていました。バッグに入る小さな道具をいつも持っていて、「あ、ここだ」と気が向いたところで描くんです。持っていくのはハガキ大のスケッチブックと、小さな絵の具セットだけ。筆も1本あれば十分です。それでパッパッと絵を描いていたら、ギリシャで年配の女性に驚かれたこともあります。

テクニックはやっていれば覚えます。それよりも大事なのは、自分の心がどう動くか。どんなに美しい景色を見ても、心が動かなかったら絵は成立しません。それだったら写真を撮った方が早いでしょう。それよりも、頬を撫でる風が気持ちいいと思った瞬間、そんな小さなきっかけが絵の描き時なんです。

風で木の揺れる様子が面白いと思ったり、空に浮かぶ雲の形が変わっていると思ったり、そんな瞬間に絵を描くと、その時の気持ちが絵に封じ込められます。風は無色透明だし、匂いもしない。でも心地よさを感じる。その心地よさを感じながら描くと、絵の中に風が吹くんです。

ちなみに水彩画で一番白いのはスケッチブックの紙の色です。だから雲を描く時は青い空を描いて、残ったところが雲になります。そんな風に、水彩画はいかに塗らないところを活かすかがポイントです。細かいところまで描くよりは、ぼかした方が見る人の想像力をかきたてるので、より面白くなります。

僕は東京駅の絵を描いた時、タイムスリップした気持ちになって、いらないと思ったビルは描かなかったし、昔を想像して緑も描きました。そんな風に見た通りに描かなくて良いと分かったら、水彩画がすごく愉しくなると思います。
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