2014.09.20
第77話 トライアスロン


佐渡の大会は15時間半という制限時間もあるので、完走率は80%くらいです。途中で心が折れて「なんで私はこれに出ているんだろう、もうやめたい」とも思います。でも頑張り続けて、フィニッシュゲートをくぐった瞬間に、それまでの辛さをすべて忘れられるんです。出産に似ているかもしれませんね。
実はトライアスロンの3種目はそれぞれ使う筋肉が違います。スイムでは腕を使って進み、足は使いません。バイクは足の後ろ側の筋肉(ハムストリング)を使い、ランは足の前の筋肉を使う。その筋肉の使い分けをうまくやることで完走できるようになります。
選手によって得意な種目が違うので、スイムで先に行かれてもバイクで追い抜いたり、バイクの中でも坂が得意な人もいれば苦手な人もいるので、抜きつ抜かれつゴールを目指します。10時間もやっていれば何度も同じ人と顔を合わせるので、けっこう会話をしながらやっています。
長丁場なのでマラソンの給水ポイントのような場所には食べ物やトイレも用意されています。ただ、一度止まるともう一度動き出すのが大変なので、食事はなるべく自転車を漕ぎながら済ませます。駆け込んだトイレが和式で「ここじゃダメだ!」なんてこともあります。
ゴール前で待ち構えていた友達と一緒にゴールすることを「同伴ゴール」と言います。これはゴールの瞬間を記念に撮影してもらえるからやるんですが、私は以前、一人でゴールしようと思ったら見知らぬオジサンと同伴ゴールの写真を撮られてしまいました。それが本当に残念だったので、佐渡では仲間にお願いしました。