秋元才加とJOYのWeekly Japan!!

生活に身近な情報や政府の取り組みをわかりやすくお伝えする番組「秋元才加とJOYの Weekly Japan!!」。番組パーソナリティーの秋元才加とJOYが、毎回、生活に密着したトークをゲストと繰り広げ、私たちの暮らしに必要な情報をお届けします。

2019.08.31

あなたの協力から始まる、マネー・ローンダリング対策!



犯罪のない安心・安全な暮らしを守るためにも、“お金の面”から私たちにもできることがあります。
今回は「あなたの協力から始まる、マネー・ローンダリング対策!」というテーマでお話ししました。

秋元  マネー・ローンダリングですが、マネーは“お金”のこと、ローンダリングは“きれいにするために洗うこと”を意味するので、日本語では資金洗浄と直訳されるそうですけど、これを聞いてもよくわからないですよね。

でも実は、このマネー・ローンダリングは、私たちの安心・安全な暮らしを脅かすもので、これを無くしていくためには、私たちの協力も必要なんだそうです。

ここからは、金融庁 総合政策局 審議官の堀本善雄さんにお話を伺っていきます。
早速ですが、堀本さん、【マネー・ローンダリング】とはどういうことか、そこから教えていただけますか?

堀本  例えば、振り込め詐欺の犯人が、高齢者からだまし取ったお金を自分名義の口座に直接送金したら、すぐに警察により、そのお金は没収され、捕まってしまいます。
【マネー・ローンダリング】というのは、犯罪者がこうしたことから逃れるために、例えば、別の人の名義の口座を使って送金するなどして、犯罪によって得たお金をあたかも犯罪とは関係のないお金に見せかけることです。
つまり、お金にまつわる犯罪の裏には、必ずマネー・ローンダリングがあるということになります。

JOY  “別の人の名義の口座”というのは、どういう人の口座になるんですか?

堀本  いろんな形で“別の人の名義の口座”を得るのですが、例えば、不正な売買や、外国人の方が帰国する際に売ってしまうなどあります。

秋元  そうやって得た口座をいくつも経由することで、犯罪で手に入れたお金なのに、それを分かりにくくする、そして最終的にはお金を手に入れてしまおう、ということなんですね。

JOY  手口が巧妙だと、不正を見破るのは大変ですよね?

堀本  例えば、犯罪によって得たお金を、不正に売買された他人名義の口座へ送金する、目立たないように、小口に分けて多数の口座に少額送金にする、あるいは、海外に送金して、その国の不動産を購入し、その後、転売するといった方法があります。
こうしたいろいろな取引を繰り返していくと、お金はどんどん正当に見えていきます。
最終的には、普通に堂々と使えるお金になってしまいます。
これが「ローンダリング」すなわち「洗浄」の手口です。
厄介なことに、この方法は、日々、巧妙化しています。

秋元  実際、こうした犯罪行為は多かったりするんですか?

堀本  2017年中に警察庁に報告された、犯罪と関連が疑われる取引、この件数は40万件を超えます。
この中で、実際に検挙に至った事件も過去最高だったそうです。

JOY  どれくらいの額なんですか?

堀本  振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害額だけでも、2017年の1年間でおよそ395億円です。
マネー・ローンダリングは、詐欺以外にも売春、賭博、麻薬取引といった犯罪から得たお金で行われますので、もっと多いということになります。

JOY  特殊詐欺だけでこの金額ですか!? これは放っておけないですよね。

堀本  そうですね。日本でマネー・ローンダリングを行うのは主に暴力団、詐欺グループや在日外国人の犯罪グループなどと言われています。
マネー・ローンダリングを放置すれば、犯罪で得たお金が犯罪組織の活動資金となり、さらに新たな犯罪に使われるということになります。
犯罪のない安全で平穏な暮らしを守るためにも、お金の面から、犯罪をストップさせる必要があります。

秋元  海外にお金を送金したり、在日外国人の犯罪グループが関与していたりと、日本だけの対策ではどうにもならない場合もありそうですね。

堀本  そうなんです。マネー・ローンダリングされたお金は、今や世界的な犯罪組織やテロ組織の資金源にもなりえます。
ですからこの対策は、世界規模で取り組まなければならない課題となっています。

秋元  2020年、日本は東京オリンピック・パラリンピックを控えていますから、マネー・ローンダリング対策もしっかりと進めていく必要がありますね。

堀本  東京オリンピック・パラリンピックでは、多くの外国人が来日されます。
そうした中においてマネー・ローンダリング対策が十分でないと、日本が犯罪組織やテロ組織に狙われやすいとの評価になってしまいます。
したがって、しっかりとマネー・ローンダリング対策をする必要があります。

秋元  ところで、今日のテーマは【あなたの協力から始まる、マネー・ローンダリング対策!】です。ということは、私たちも協力できることもあるんですよね?

堀本  皆さんには、金融機関の窓口における確認手続き、これに是非、ご協力いただきたいと思っています。

先ほど、マネー・ローンダリングは、不正に売買された口座などを使い、送金などを繰り返すことによって、犯罪で得たお金を犯罪とは関係ないお金に見せかけることだと、説明させていただきました。

秋元  はい、そうでしたよね。

堀本  ですから、こうした行為を簡単に行えないようにするために、例えば、口座を開設する時や、送金などの取引を行う時に、金融機関の窓口において、口座の利用目的やお取引の理由などについて、質問されることがあります。

JOY  なんのためにお金を送るのか、窓口で理由を聞かれた時に、しっかり答えていくということですね。

堀本  はい。こうした窓口での質問のほか、場合によっては、お取引の理由などを確認できる書類の提出をお願いすることもあります。
また、口座を開設した後も定期的に郵便などによって現住所や職業などがわかる書類を提出して頂くこともあります。
さらに、法人の場合には事業内容や株主情報なども確認させていただくこともあります。
自分は何も悪いことをしていないということで、ご不快に思われることもあるかもしれませんが、日本全体で確認をしなければいけない話なので是非、ご協力をお願いします。

秋元  素朴な疑問なんですけど、金融機関というのは銀行だけじゃないですよね?

堀本  そうですね。銀行から信用金庫、信用組合、郵便局、ネット銀行、また保険会社や証券会社、あるいは、ビットコインなどの暗号資産を売買している仮想通貨交換業者、そういったところでも、必要な確認手続きをお願いすることがあります。

JOY  確認をお願いされた際に、断った場合にはどうなるんですか?

堀本  例えば、情報が確認できるまで送金を保留させていただくなど、お取引が制限されることもあります。
金融機関とよくご相談の上、必要な情報の提供を是非お願いします。

JOY  面倒と思うかもしれないけれど、これはしっかりとやっていかないといけないね。

堀本  犯罪で得られた資金が、マネー・ローンダリングされると、将来の犯罪の資金源になります。
こうしたことを防ぐため、金融機関では皆さまに必要な場合確認を求めることがあります。
これは、犯罪組織への資金の流れを止める、このことによって犯罪を防ぎ、安心・安全な生活を守るためのものです。
是非、ご理解とご協力をお願いいたします。

秋元  関係ないと思っていたけど、意外と私たちの生活に身近な話題でしたね。

JOY  “マネー・ローンダリング”という言葉は知っていたけど、どういうものかは分かっていなくて、実際にどれくらいの金額がそうなっているのか知らなかったけど、すごい多かったね。
もしかしたら、面倒な質問を受けるかもしれないけど、しっかり答えていく、それが“マネー・ローンダリング”を止める事、国の安全を守る事につながっていくんだね。
自分に関係のないことと思っていたけど、犯罪を止めるために自分たちにもできる事があるんだと分かったし、勉強になったね。

参考:金融機関窓口や郵送書類等による確認手続にご協力ください