2009.06.27 東京大学地震研究所所長が語る最新地震研究

今週のキーワード「巨大地震を迎え撃つ最先端の地震研究」について解説してくださるのは、東京大学地震研究所・所長の平田直さん。地球で起こる地震や火山活動、地球内部のいろいろな現象を科学的に解明して、これらの現象が引き起こす災害を少しでも軽くするために、日々研究に取り組んでいる、地震研究の第一人者です!


中山 「宜しくお願い致します。地震研究歴を伺わせて頂けますか?」

平田 「1978年に大学院の修士課程に入りましたから、それからかれこれ30年、地震の研究をしております。」

中山 「当時わかっていたレベルと比べたら今はだいぶ進歩しているんですよね?」

平田 「今とでは理論的にも、観測的にも全部変っていると思います。」

中山 「緊急地震速報を耳にするようになりましたし…その頃はなかったんですよね?」

平田 「私が学生の頃は研究者の夢としては論文の片隅にあったとは思いますが、実際にはどこにもありませんでした。」

中山 「今は当り前にありますよね。他に研究成果で生まれたものと言うのはどういうものがあるのでしょうか?」

平田 「ここに、目の前に地図がありますが、全国でどこがどれくらい揺れやすいかということが示してあって、そういう地図を国が発表しているんですね。「地震動予測地図」といいます。赤いところは揺れやすい。こうして見ると首都圏、東京から静岡、愛知、三重、四国まで真っ赤ですよね。こういうところは大きな揺れに見舞われやすいということで、特に地震が起きやすい場所です。」

中山 「関東も比較的赤いですね。」

平田 「首都圏を含む南関東では今後30年以内70%の確立でM7.0以上の地震が起こるということが科学的に予想されているんです。」

中山 「直下型の地震と活断層による地震というのはまた違うんですか?」

平田 「人の住んでる下にあるから直下型というので、誰も住んでいないところだと直下型と言わないだけなんです。非常に大きな地震はちょっと離れているところでも、けっこう揺れるので注意したほうがいいです。」

中山 「横揺れ、縦揺れとよく言われてとくに縦揺れが危ないなんて言われますが…」

平田 「普通は縦揺れは小さくて、後から横揺れが大きく来るので、小さく揺れる縦揺れをキャッチして、次の横揺れに備えるように緊急地震速報を発信するのですが、直下型だと小さい筈の縦揺れがドーンと来るので、予想が立てられないのですね。そういう意味で危ないと言われているのでしょう。」

中山 「関東大震災のようなものが来たらすごい被害ですよね。」

平田 「大正の頃と今とでは人口も、ビルの集積度も違いますし、甚大な被害が起きると思いますね。」

中山 「時間帯にもよると思うのですが、何時にどこでというのがわかるのですか?」

平田 「残念ながら今はできません。地震予知というのは、どこ=場所、どのくらい=揺れの大きさ、いつ=時間帯、3つを当てるものです。今は、どのくらいの地震がどこで起きるということはある程度予想はできるけれど、正確に何月何日、何時というところまでは科学的には特定できないんです。」

中山 「精度をよりあげているということには違いはないんですよね。街の声を聞いてみるとある程度はみなさん地震が来た時を想定はしているのですね。」

平田 「少し安心しました。日頃からある程度の備蓄をしておくことが大切ですね。」

中山 「ところで、地震の研究は日進月歩ということですが、先生が今なさっている現在進行中の研究について教えて頂けますか?」

平田 「さきほど見て頂いた地図で真っ赤になっていたところ、東海地震、東南海地震、南海地震が起きたエリアなのですが1944,46年に東海地震と東南海地震が起きているのですね。その時は2年後だったのですが、その前に起きた時は32時間の間隔で2つの地震が起きているんです。これら3つの地震はフィリピン海プレートによって起きていて、原因が同じということもあり、この3つの地域はある時には別々に、ある時は一緒に起きるんですね。一緒に起きると言うことは日本列島の半分くらいは被害をうけるのですから、ものすごい大きな被害になります。ですから、関係していると言うことはわかっているのですからどういう時に2つが一緒に起きる、どういう時に3つが一緒におきるかそして、起きたらどういう揺れが起きるのか、どのくらいの津波が起きるか、どの地域に来るかなどの研究をしております。」

中山 「首都直下型地震に関してのプロジェクトがあるというお話ですけれども。」

平田 「首都圏も真っ赤ですよね。ここもやはりフィリピン海プレートが原因なんですけれども、実は関東から東北にいくと、太平洋プレートという地球上で一番大きなプレートが日本の下に沈み込んでいるのですが、首都圏は太平洋プレート、フィリピン海プレート、日本のプレート、この3つのプレートがぎゅうぎゅう押しあっているんです。世界中で最も地震活動の高い地域なんですね。この地域でM8クラスの地震やM7クラスの地震、阪神淡路大震災を起したような地震が30年以内に70%の確立で起こるということがわかっていて、今の研究はその地震がどういう揺れを起すのか、規則的なのか、不規則に起こるのかといったことを調べる、それがプロジェクトの研究内容です。」

中山 「未来の研究計画について予定なんかあるのですか?」

平田 「今は30年以内に起きる確立というものを予測していますが、それを10年以内に起きるかどうかというくらいに狭める必要があって、そういう調査研究を行ってます。」

中山 「より正確にわかるようになるということですね。」

平田 「もう一つ重要なのが地震が起きることを予想してそれに打ち勝つだけの準備をしておく。そこに何が必要なのか、もちろんしっかりした建物を建てる、中の家具等をしっかりと止めるなど、当り前のようなことですけどとても重要なことなので、日頃からの備えをしておくことが大切なことですね。」

中山 「防災の意識を高めておかなければいけないと言うことになりそうですね。」


◇感想◇
研究者の人によれば、天気予報のくらいまでのレベルにしていきたいということなのですね。そうなれば備えることもできますし、確かに事故も未然に防げますよね。
万が一のことを考えている方も多いとは思うのですが、いつ何時来るか分からないと言うものに関しては、そこまでなかなか神経がいかなかったりしますよね。そういう情報が流れるようになれば自分で自分を守ることができるような時代に研究者の方のお力があってこそ、なりそうな気がするんですけれどもね。
日本の地震研究もこれからもより頑張って頂きたいと思います。