2009.10.17 薬物に手を出す→こんなにたくさんの害が広がる

今週のキーワード「薬物でダメになるあなたの人生」について解説してくださるのは、厚生労働省、麻薬対策課麻薬対策企画官の宿里 明弘さん。国際的な連携をとりながら、その拡大防止に奮闘を続けるエキスパートです。


中山 「やはり、広がっているのでしょうか?」

宿里 「最近は若い人、学生とかそういう人たちに広がっているのが大変大きな問題であり、私どももそこに注意しております。」

中山 「一度ならやめられるんじゃないかと思ってやってしまう人がいるんでしょうね。」

宿里 「一度だけなら大丈夫、すぐやめられる、自分は他の人とは違うなどとそういう言い訳を自分にして、そういってついつい手を出してしまって後戻り出来なくなる、そういうケースがほとんどのようです。」

中山 「とにかく一度でも手を出してはいけないのですが、まず、薬物に手を出すとどういうことになるか…。体に異常が出るんですよね。」

宿里 「乱用する薬物は色々ありますけれども、共通する特徴は繰り返して使いたくなる、依存症を引き起こすという性質があるのが一番の問題です。快感を得るため、次がないといらいらする、薬物がないと不安になる等、自分の意志ではコントロール出来ず最終的には薬物なしでいられないという状態になってしまいます。」

中山 「内面の変化はどうでしょうか?」

宿里 「薬物は精神に影響を及ぼしますので、感情の起伏が激しくなる、わがままになるなどの情緒的変化、そして無気力になり人と付き合いができなくなるなど、そういった変化があります。」

中山 「映画とかでたまに見ますが、妄想みたいなものを引き起こしたりもするんですよね?」

宿里 「幻覚、妄想、そういうものが現れる、あるいはものが覚えられなくなり、記憶に障害を与えるということも言われています。治療によって緩和することもでき、表面上は回復したように見えてもまた日常生活の中でちょっとしたきっかけで突然、被害妄想、幻覚が再現するということもあり、結局そういう症状に一生つきまとわれてしまうと言うことがあります。」

中山 「さらに経済的な影響ですね。」

宿里 「薬物を使用しつづけると欲しくてたまらない、薬物を入手するために借金を平気でしてしまったり、薬物を求めるための生活ということになってしまいます。その結果、仕事や学業が手に付かなくなり、やがて会社から解雇、学校から退学させられてしまうと言うことにつながってしまうんですね。」

中山 「刑罰についてはいかがでしょうか。」

宿里 「薬物についてはそれぞれの法律で定まっておりまして、その犯罪と言うのは決して軽いものではない、ということであります。例えば、覚せい剤を使用したり、使用する目的で人からもらうと10年以下の懲役、そして昨年来若者に広がっていると問題視されている大麻、大麻についても、他人からもらっても5年以下の懲役刑ということが定められており、薬物には厳しい刑罰が定められているので、薬物に手を出して犯罪となるとそれらが実際に適用され、一生を棒に振るということになってしまいます。」

中山 「連日報道されているにも関わらず、後を絶たないという状況なのですね。特に、大麻は増えてしまっているんですね。」

宿里 「はい。全体の数のうち3分の2が若い人で、世の中で大麻が騒がれていますが、それが犯罪の数字にも表れています。」

中山 「低年齢化しているのですね。そしてここにある押収の重さ402.6kg…これは覚せい剤ですね。現実に、実際にはもっとあるということですね。」

宿里 「実際の犯罪の現場や密輸の現場で押さえた量ですので、もっとあると考えていいと思います。」

中山 「薬物の使用者が増えることによる社会への影響はどうなっているのでしょう?」

宿里 「警察で薬物の常用者の犯罪の量を調査しておりまして、平成20年には殺人では17名、強盗では39名、傷害ですと80名、色々な原因はあるのでしょうけれども薬物常用者による凶悪犯、殺ごう犯の増加傾向も見られるところです。」

中山 「結果調べてみると薬物がからんでいたと。そして、死者数というのもあると思うんですけれども…」

宿里 「平成20年ですと、薬物乱用で死亡した人が11名、自殺した人が4名、薬物が原因となって起きた交通事故で亡くなった人が9名いるという風になっております。」

中山 「薬物を買うことで自分だけではなく社会を破壊していくと言うことになりますね。」

宿里 「そうですね。自らが犯罪を起す場合もありますし、薬物の多くは海外から密輸入されたもので暴力団等の資金源になっていることもあり、結局資金の流れをたどると海外の密輸団、暴力団にいき、それがまた別の社会の破壊活動のために使われるということもあるかもしれません。そのような、お金の流れと言う点から見ても社会を壊すという流れになると思います。」

中山 「個人の快楽のためだけに手を出すと、とんでもないことになってしまうと言うことですね。多くの方を悲しませる結果となる。」

宿里 「はい。自分だけは大丈夫などといって手を出すと、結果的には家族、友人、社会全体に迷惑をかけますから、一番始めにまずは手を出さない、これがやはり何よりも大切だと思います。軽い気持ちがあなたの人生を台無しにしますので、誘われても勇気を持って断固として断る、その気持ちを忘れないで欲しいです。」


◇感想◇
最近本当に我々もニュースでも扱わなければいけないのでやな想いをしているんですけれども、大麻・薬物は非常に身近な所にあることは皆さんも連日の報道を見ていて分かるように、現実なんですよね。
しかしながら、歩み寄って来てしまう薬物、自分が疲れている、サプリメント効果がある、そういった甘い誘い、甘い文句がネット等を通じて目に入ってしまう、そういう世の中になっているんです。
是非皆さん、そういうことがあっても絶対に手を出さないんだ、断るんだと言う意志を絶対に持って頂きたいと思います。