今週のキーワード「甘くみちゃダメ! 雪崩の脅威」について解説してくださるのは、土木研究所・雪崩地すべり研究センター所長、石井靖雄さん。地盤や雪質などを、あらゆる角度から調査、研究し、雪崩や地滑りの被害に合わないよう防止対策に努めている豪雪地帯のガードマンです!
中山 「新潟からいらして頂いたのですが、今年は雪は多いですか?」
石井 「特に先週から大変雪が降りまして、一晩で1m近く降るようなことになっていますね。」
中山 「さて、早速お伺いしていきますが、雪崩と言いますと年間にどれくらい発生しているものなんですか?」
石井 「山岳地帯でも発生していますので、正確な発生件数というのはなかなかわからないのですが、国土交通省に報告されているものですと、平均で毎年14件の雪崩災害が発生しています。最も多かったものは平成18年で100件の雪崩災害が報告されているんですね。全体の70%が1月、2月に発生しているので、特にこの時期は注意して頂きたいと思います。」
中山 「地域によって起こり易さは違うのですか?」
石井 「国土交通省と都道府県が雪崩危険箇所というものを調べております。それが最も多いのが北海道となります。続いて、秋田、岐阜、新潟、鳥取、兵庫と続いていきます。この雪崩危険箇所は2万箇所、日本のほぼ半分、24の都道府県にまたがっていますから、必ずしも北国だけではないということに、ご注意頂きたいと思います。」
中山 「レジャーで訪れた方が巻き込まれる可能性もあるわけですよね。」
石井 「特に最近ではスキーヤーや登山者が巻き込まれた雪崩災害が多くなっているんですね。平成19年についてみますと4件中3件、平成20年は10件中8件がスキーヤーや登山者が巻き込まれた災害になっているんですね。滑走禁止区域にスキーヤーが入ってしまって、雪崩を発生させてしまったといった事例もありますので、スキー場の係員の指示には従って頂きたいなと思います。」
中山 「多くの人を巻き込んでしまうこともあるということですね。そもそも雪崩はどうして起きるわけですか?」
石井 「斜面に積もった雪がバランスを崩して滑り落ちてくる、こういう現象になります。大きくわけて2つのタイプがあります。1つは表層雪崩。斜面に積もった一部の雪が滑り落ちる現象で、1月から2月の気温が低くて、短期間に多くの雪が積もった時に、雪が自分の重さに耐えきれなくなって滑り落ちてしまうという現象になります。もう一つは、全層雪崩。地表面から上の雪全体が滑り落ちる現象になります。気温が上昇したり、雨が降って雪溶けが進んで、斜面に積もった雪が滑り易くなった時に起きる現象であります。」
中山 「雪崩に遭遇してしまった場合、逃げられるものなんですか?」
石井 「表層雪崩で時速100キロから200キロありますので、新幹線並みのスピードになるんですね。ですから逃げることはまず無理と考えて頂きたいと思います。ですから、気象情報に注意して危ない所には近づかないようにといった対応が重要になってくると思います。」
中山 「そういった情報は地元の方はある程度ご存知ですよね?」
石井 「過去に雪崩が起きた場所や危険な所はある程度地元の方はご存知ですので、現地の方の話を良く聞いて、慎重に行動して頂きたいと思います。」
中山 「各地で対策していることなどはあるのですか?」
石井 「危険な地域を災害から守る為に雪崩防止施設というものの整備が行われています。例えば雪崩の発生を未然に防ぐ雪崩予防柵という施設や流れて来た雪崩を停止させて集落を守るような施設、道路を大きな屋根で覆ったスノーシェッド、こう言った施設を整備しています。それ以外にスキー場ですと、ガス砲というもので、人工的に花火で雪崩を発生させてあらかじめ危険を取り除いてしまう、こういった取り組みがされている事例もあります。また、自治体では雪崩危険箇所のパトロールを行ったり、積雪の深さや雪の降り方に応じて事前の交通規制等、整備を行う事例もあります。」
中山 「雪崩の危険にさらされないために、こういう気象条件だったらやめた方がいいというのはあるんですか?」
石井 「一概に数値でこうだというものはないのですが、一般的に言いますと、気温が低く、短期間にたくさんの雪が降った時、雨が降って気温が上昇した時、こういう時は雪崩が発生し易くなりますし、こういった気象条件になりますと、雪崩注意報も、こういった気象情報に注意をして冷静に、早めの対応をしていくことが大事かと思います。スキーに行かれる方は現地の方、スキー場の係員の話を聞いて、その場所がどういう状況かを把握することも、レジャーを楽しんで頂く上で大事かと思います。」
中山 「危ない地形というのはあるんでしょうか?」
石井 「これもやはり様々なのですが、一般には傾斜の急な所、樹木のまばらな所、積雪の深い所、こういったところで雪崩が起き易いと言われています。斜面勾配ですと30度から45度くらいの急斜面で発生している事例が多いです。しかしこの勾配以外なら大丈夫ということではなく、これより浅い角度でも起りうると言う認識も持って頂きたいです。樹木がまばらですと、雪崩がよく発生している所を指し示している場合もありますので、よく注意して下さい。あと、積雪の多い所は、吹きだまりになっていますと雪崩が発生し易いと言われております。常にまわりに注意をしながら対応していけばある程度、危険な状況というのも把握が出来ると思いますので、気象情報を見ながら、経験のない方は経験のある地元の方のお話を聞くとか、雪山に行ったら、雪崩の危険性があるんだという視点を持って頂くことが大事かと思います。」
中山 「まずはきちんとした知識を持って頂くことが大事ですね。」
◇感想◇
僕らは雪崩と言うとニュース映像でしか見たことがないですけれども、スキーに行ったらちょっと新雪のところでも倒れたら起き上がれないですよね。
雪ってそれだけすごく重いですし、危険な区域には入ってはいけないし、前日に雪が多かった、気温がかわったというのは危険だということですから地元の人の正しい情報と気象情報を見ながら是非楽しいレジャーを過ごして下さい。
雪山でレジャーを考えられている方は雪崩に関する知識を調べて下さい。