ローマ・・・古代都市で果たすヒーローとの邂逅
ローマほど熱狂的で賑わいの絶えない街はない。世界中から訪れた観光客が列をなして歩き、史跡を眺めたり、道端に座ってジェラート(アイスクリーム)を食べたりする。誰もが偉大な歴史に驚嘆し、今もなお活気付く街に魅せられるのだ。 このヨーロッパ最古の都市の始まりは、紀元前8世紀にさかのぼる。カエサルが支配した広大な領域は、やがて皇帝によって統治された。その時代に誕生したキリスト教はローマ市内にあるバチカン市国を中心地とし、巡礼者たちの聖地になった。
ローマに行くと必ず行う"遊び"がある。それは、少しの間目を閉じて、想像力を膨らませること。過去の英雄たちに出会うためだ。
フォロロマーノや2世紀に作られたパルテノン神殿ではカエサルや歴代の皇帝たちに。システィーナ礼拝堂の天井画『最後の審判』を見上げては、たった一人で描き続けたというミケランジェロに。コロッセオの最上階の通路から朽ちた競技場を見下ろしながら、(あのラッセル・クロウが演じた)クラディエーターたちに。私の頭の中で、ローマの歴史を築いた者たちがいきいきと動き出す。もちろん、過去にばかり目を向けているわけではない。"今そこに存在するヒーロー"にも会いに行く。スタジオ・オリンピコに足を運び、激しいプレーを繰り広げるジョカトーレたち(サッカー選手)に声を枯らして声援を送れば、ローマの熱狂を体感することだってできるのだ。(続く)
生きる疲れを癒してくれるのは・・・イタリアの旅
文|小松成美