運転中にドライバーの注意が、目の前の状況から逸れている状態を指す「前方不注意」。
警察庁による令和5年の交通事故統計では、第一当事者が自動車による死亡事故2,177件のうち、
873件が前方不注意によって引き起こされたものでした。全体のおよそ4割にのぼります。
      
この統計からも分かる通り、運転中の前方不注意は重大な事故を引き起こす危険な行為。
どんな状況から前方不注意が生じやすいのかを知り、今いちどご自身の運転を見直しましょう。





前方注意は大きく分けて、外在的・内在的の2種類があります。
1つ目は「外在的前方不注意」。脇見運転のこと。
スマートフォンやカーナビの操作、周囲の景色に気を取られるなどの理由によって
前方の状況を確認できていない状態を指します。
近年、交通事故の大きな要因となっている「ながら運転」も脇見の一種。

もう1つが内在的前方不注意。漫然運転のこと。
視線は前方に向いているものの注意散漫な運転をしている状態です。
具体的には「ぼーっとしている」「考え事をしている」などが当てはまり
“意識のわき見”といった呼び方をすることもあります。





前方不注意によって起こる事故は、他のクルマとの追突、自転車や歩行者との接触事故、
信号無視、それから車線を逸脱し歩道への乗り上げやガードレールへ接触する危険もあります。

対向車線へ逸脱した場合には、対向車との正面衝突も考えられますし、
自転車や歩行者との接触事故は、自転車に乗っている人や歩いている人に大怪我を負わせる、
もしくは命を奪ってしまうことになりかねません。想像すると、怖いですね・・・。





外在的前方不注意=脇見運転は、
脇見運転をしないよう気をつけるに尽きます。
スマートフォンの操作や通話、カーナビやオーディオ、空調の操作、
車内で飲食などの行為は、駐車可能な場所に移動してから行ないましょう。
信号待ちなどの状況でも安全とは言えません。
同乗者がいる場合は前方不注意とならないよう協力を求めることも大切です。





一方で内在的前方不注意=漫然運転の原因としては、体調不良や疲労が多く挙げられます。
長時間の運転を伴う際は、2時間に1回を目安に休憩を取りましょう。
車内では人間の呼吸によりCO2の濃度が高くなり、それが疲労感の増加や注意力の低下を招き、
眠気や頭痛を訴える人が増加します。運転中は外気導入モードに設定するか、
適宜、窓を少し開けて外の空気を取り込むことで、集中力を維持するのに効果的。

寝不足や過度な疲労を感じている場合は運転を控えるという決断も必要です。
強いストレスを感じている際も運転に集中できず、漫然運転になりやすくなります。
安全に運転できるメンタルと体調かどうかを客観的に判断してからハンドルを握りましょう。
運転前に健康チェックを行う事で、寝不足や疲労による交通事故を未然に防いで下さい。

前方不注意に陥らないようにすることは、
交通事故を未然に防ぐ大きなポイント。
そのことを意識して運転と向き合いましょう。
明日から3連休。
家族でクルマに乗る予定がある方もいるでしょう。
大型スーパーやショッピングセンター、道の駅やパーキングエリアなど、
駐車場にクルマを停める時に、注意すべきなのが子供の動きです。





カーライフ・ジャーナリスト まるも亜希子さんによると
駐車場で子どもが巻き込まれた事故の例は
駐車しているクルマの間から飛び出して衝突するケース
駐車しようとバックしてきた車と接触するケースがあります。

駐車場内で起きたクルマと子どもの接触事故を見ると、多数が10歳以下。
幼児は興味を引かれたものに対して、周囲を見ず衝動的に向かっていくもの。
また、保護者の後を追って飛び出していってしまうこともよくあること。

まずは、荷物を積み込む時などでも、
保護者は絶対に子どもから目を離さないことが大事。
また、自分が車を動かす時は、子供を外で待たせないようにしましょう。

少し大きくなると駐車場内で遊ぼうと思ったりふざけたりすることが危険。
安全な場所へ行くまではしっかり周囲を見て歩くことを教えるようにして下さい。
自分でドアを開けて、乗り降りしたい年齢になった時には、
隣のクルマにドアをぶつけたり、歩行者や自転車が脇を通る時に開けたりしないよう
保護者が一緒に確認するようにしましょう。


全ての子どもに言えるのは「駐車場は危険な場所」だとしっかり言い聞かせておくこと。
停まっているクルマばかりではなく、クルマが動き出し、走って来る場所であることを、
ふだんから説明しましょう。「道路と同じぐらい危険」だと話して下さい。





それではクルマを乗せて駐車場に入った時に、
どんな行動で事故の危険を遠ざけるか?

まずは、駐車した後で、子供を先に降ろさないことが大事。
保護者が周囲の安全を確認した上で降ります。
荷物があるのなら、子どもより先に荷物を降ろし、最後に子どもの順です。

そして、駐車場内では必ず「歩行者用通路」があるので
これを見つけて通行するようにしましょう。
なければ、車の通路のなるべく端を通ります。
クルマの通路を横切る時は、左右を確認しつつ、手を繋いで歩いてあげましょう。





そして、すべてのドライバーは駐車場には
動きが読めない子ども潜んでいる可能性を考えましょう。
小さい子どもほど車の死角に入りやすと肝に銘じておいて下さい。

一般的なセダンタイプで、前方約4m、後方約8mの死角があるとされています。
いま車高が高い車が流行していますが、中国で行われたSUVの実験では、
死角に幼稚園児が75人も隠れることができたという驚きの結果もあるそうです。
窓ガラスの両端の柱にも死角があるので、バックビューカメラがあれば確認して
見えないところで何かあかもしれないと疑心暗鬼になりながら
いつでもすぐに止まれる速度で進むことが駐車場での鉄則です。




クルマを運転中、気がつくと道路の前方に落下物!
そんな状況に出くわした事のある人はいるでしょうか。
そのまま無事に通り過ぎる事ができれば問題ありませんが、
落下物の大きさによってはクルマへの接触はもちろん、
その後の重大な交通事故に繋がりかねません。





クルマからの落下物は私有車ではなく
トラックなど業務用大型車からが多いもの。

日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員菰田潔さんによると
トラックから落下した鉄骨に乗用車が乗り上げてしまい
停車したところ、燃料が漏れて、火災になった例もあります。
他にはベニヤ板が荷台から舞い上がって後続車にぶつかってしまった例も。




運転中の前方に、鉄骨・ベニア板・ビニールシートが落下してきたら
大抵の人はパニックになることでしょう。
プロのドライバーの方は、積荷が落下しないよう細心の注意を払って下さい。

そして、一般のドライバーの方は、
「落下物が道路に落下してくる事も稀にあり得る」ということを
常に頭の片隅に置いておきましょう。
      
その上で、落下物があっても避けられる、
事故に巻き込まれないといった事前の準備が必要です。

高速道路で前の車が落下しそうな荷物を積むトラックなら
車間距離をいつもよりも空けるように心がけましょう。
菰田さんによると、前を走るクルマとの車間距離は2秒間を取るべきとされていますが
できればその先のクルマ、4秒から5秒先を見て走るようにします。

しかし、車間距離もあけて走っていても、目の前に物が落下してくることがあります。
この時には緊急回避の操作が必要で、まず急ブレーキで減速するか、
ハンドルで左右いずれかに避けるかして危険に取り込まれないようにします。





一般道の場合は、自分の車線の前方に落下物があるなら、まずブレーキで減速。
その後、対向車が来なければセンターラインをオーバーして回避することが可能です。

対向車が来ているのであれば、止まってやり過ごす。
逆に対向車線に落下物があったら対向車がセンターラインをオーバーして
こちらに来る可能性も考えて走るという余裕も必要です。


もし、運転中に落下物を発見した時は、
どこに通報すればよいのかも覚えておきましょう。

スマホで連絡するのは「#9910」。
同乗者がいる場合は同乗者に電話をかけてもらい
一人のパーキングエリアやサービスエリアにとまってから連絡しましょう。
落下物の危険度が高いという場合は、
最近のクルマであればSOSスイッチを押すとオペレーターに繋がります。

大事故に繋がりかねない、クルマから道路上への落下物。
まずはクルマで荷物を運ぶ方は、くれぐれも注意して下さい!
そして、一般のドライバーの方は、今日の情報を参考に、
上手に危険を回避しましょう。
スギの花粉が飛び始めるのは例年2月頃からですが、
今年は例年よりも早いことが観測されています。

花粉症の症状がクルマの運転に影響を与えて事故に繋がることもあります。
今回は自動車ライター 近藤 暁史さんにお話を伺い、気をつけるべきことを考えました。





クルマが60km/hで走っている時には1秒間で約16m進みます。
一般にくしゃみをする時にかかる時間は0.5秒ほど。
となるとくしゃみをした時、「クシュンッ」という間に約8m走っています。

その時に目を瞑る、手や足に変な力が入ってしまうこともある。
それが8mも進んでる間に起こるのは、とても危険だということを頭に入れておきましょう。

実際に花粉症でくしゃみことが死亡事故に繋がった実例もあります。
2016年4月に愛媛県で起こった事故。
ドライバーが連続したくしゃみの影響でハンドル操作を誤り
対向車線に自車をはみ出てしまい、軽自動車と正面衝突しました。
軽自動車を運転したいた方が亡くなり、同乗者2名も重軽傷を追っています。
花粉症での運転を軽く考えないほうがいいでしょう。





また、道路交通法の第66条には、
「過労、病気、薬物の影響、その他の理由により、
正常な運転ができない恐れがある状態で運転してはならない」とあります。
花粉症は病気の1つ。安全な運転ができない可能性があれならハンドルを握ってはいけません。

一方でクスリの服用にも注意が必要。
薬は飲むと眠くなったり、ボーッとしてしまうことがあります。
特に花粉症の薬は抗ヒスタミン薬で眠くなる成分が入っていて
知らないうちに眠くなる状態になりがち。
どうしてもという用事があってクルマを運転する必要があり
薬を飲まないといけない時は、市販薬ではなく医師に運転する状況を話した上で、
副作用が少なく眠たくならない薬を処方してもらうようにしましょう。





他の配慮としては事前にマスクをする
くしゃみが出ることを想定して、いつもよりスピードを出さずに車間距離をとる
同乗者がいるのであれば運転を変わってもらう
そういったことも考えて事故の危険をなるべく遠ざけるように心がけて下さい。

車内でとっさのくしゃみや目の痒みなどに襲われないためには、
花粉を持ち込まないことが大切になります。

身につける衣服の素材は、綿などの自然繊維だと花粉がつきやすいので
ナイロン製のパーカーなど、払った時に花粉が落ちやすいものがベター。
クルマを走行している時に車内に花粉入っていると感じた時は外気循環。
窓を少し開けると、外に車内の空気が流れ出るのと一緒に花粉も出てきます。

最近のカーエアコンはエアコンフィルターがついていて
高機能の製品だと花粉を除去してくれるます。
また、カーエアコンでも除菌機能がプラスされている製品は
スイッチを入れておくとエアコンの中で取り込んだ花粉を破壊してくれるので
高機能エアコン付きの車を選ぶのも一つのポイントです。





花粉症の方には憂鬱な時期。
「なりたくてなっているわけじゃないのに」という気持ちはわかりますが、
だからといって、クルマの運転に影響が生じて、
万が一、事故でも起こしてしまったら、それは悲劇。

事前のケアと、運転中の注意を怠らず、
このイヤな時期を安全にやり過ごしましょう!