善良なドライバーにとって、
「煽り運転」の危険と恐怖は常にあったことでしょう。

それが悲劇的な事態になってしまったのが昨年11月
ニュースでも頻繁に取り上げられた東名高速道路での事故です。

パーキングエリアで駐車の位置を注意された容疑者。
腹を立てて 注意した方の一家が乗るワゴン車を時速100キロで追走。
幅寄せを繰り返し 危険な運転をして停車させました。

そこへ大型トラックが追突。
注意した側に死亡者が出た悲劇的な出来事。

交通心理学が専門の九州大学大学院 
システム科学研究院 志堂寺和則教授によると
「煽り運転」は相手を威嚇して嫌がらせをする行為です。





『車間を詰めて異常に近づく』

『割り込みをしてすぐに急ブレーキをかける』

『クラクションを必要以上に鳴らすk』

『幅寄せをする』

『パッシングをする』





2016年のデータでは
車を運転中に前方の車をあおるなど、
道路交通法違反の車間距離不保持摘発は全国で7,625件。

そのうち高速道路での違反が9割近く。
全てが「煽り運転」ではありませんが 
かなり大きな割合が「煽り運転」でしょう。
       
我々はどうして「煽り運転」をしてしまうのか?
志堂寺教授によると 車内は匿名性が高いことが1つの理由です。

顔が見えない。バレにくい。
密閉された空間にいて安心感がある。強気になる。
まずいことになりそうな時にもすぐにやめて逃げられる。
そんなことから心のハードルが低くなるのではないかと推測しています。

「煽り運転」をしないために大切なのは
ふだんの生活でストレスやフラストレーションをためないこと。
生活ストレスが煽りに繋がってしまうことが考えられるからです。

性格的にカッとなりやすい人もやりがち。
あとはちょっとした違反を繰り返す人も煽り運転をする傾向にあります。

今週末からGW。
混雑する運転にイライラすることもあるかもしれません。
でも、そんな時にこそ心に余裕を!

ネガティブな感情や行動は 
それに接した人のネガティブな感情や行動に繋がって
「負」のスパイラルに陥ります。

「煽り運転」がない ゆとりと譲り合い精神の交通社会を
日本に築きたいと、思いませんか?






4月半ばになりました。
新年度を迎えたタイミングで、
「新しい1年も交通事故を起こさない!」と心に期した方も多いでしょう。
そのためには「エコドライブ」を心がけて下さい。





今回のコメントは芝浦工業大学 工学部 春日伸予 教授。
元々の専門は心身医学分野のストレスマネジメント。
そこから派生して交通安全の領域でも
ドライバーの心理を中心としたヒューマンファクターの研究をしています。

「自分の心理状態」が自分できちんと把握できれば問題ありません。
でも 自分では客観的に解りにくいもの。
例えば自分が安全運転をしているつもりでも
他の人から見ると、全く安全な運転ではないかもしれません。
そこで、春日教授が伝えているのが「エコドライブのすすめ」です。





エコドライブとは警察庁・経済産業省・国土交通省・環境省が
一緒になってエコドライブ協議会を作り推奨している10ヶ条。
その中に安全運転の要素が散りばめられていて それは安全運転に繋がります。
中でも特に交通安全につながることを挙げると・・・

⬛ ふんわりアクセル「eスタート」

⬛ 車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転

⬛ 減速時は早めにアクセルを離す

⬛ 渋滞を避けて余裕をもって出発する

⬛ タイヤの空気圧から始める点検・整備

⬛ 走行の妨げとなる駐車をやめる

こうしたことを完璧にやるのは大変。
春日教授はできることからいいと言います。





10ヶ条のうち どれか一つでもやればエコドライブは効果あり。
実際に「ふんわりeスタート」と「ゆっくり停止」に特化して
約9パーセント燃費が向上 事故5割減という結果が出たといいます。
1つずつ始めるのがエコドライブを続けるコツ。
それが春日教授の指摘です。

そして「エコドライブ」を通した安全運転で
優れているのは数値でモチベーションが生まれること。
普通の安全運転の報酬は何事もない安全な日々。
でも人間は残念なことに形の無いものにあまり価値を感じない。
事故を起こして初めて何も無かった素晴らしい日々を取り戻したいと思う。
エコドライブをやると燃費という形で目標値が見えてくるのでやりがいがある。
達成感を生んで長続きする安全ドライブになる。
そう春日教授は指摘します。
みなさんは「エコドライブ」をどのくらい意識したことがありますか?





15日 日曜日までは「平成30年 春の全国交通安全運動」期間。
後編の今回はまず「自転車の安全利用」から。
中学や高校に進学して自転車通学する子どもが増える時期です。
中学生や高校生になると行動範囲も広がり 自転車に乗る機会も増えます。
小学6年と比べると中学1年の自転車事故は多くなります。
自転車事故が特に多い中学1年生と高校1年生は要注意です。





中高生による自転車事故の多くは出会い頭の衝突によるもの。
場所としては ほとんど交差点で発生しています。
自転車を運転している時 特に見通しの悪い交差点に入る時は
速度を十分に落として左右の安全確認を行いましょう。
また 一時停止の標識がある場所では停止線の前で確実に停止しましょう。

自転車は車と同じく法律上は「車両」。
原則は車道を通行しなければいけません。
車道を走る時は左側通行。
例外的に歩道を走る時は車道寄りをゆっくりと。
その場合でも 必ず歩行者が優先。
自転車の事故では頭部損傷が重大事故につながっています。
命を守るため 自転車に乗るときはヘルメットを着用するべきです。





そのほかの春の交通安全運動の重点ポイントは
「シートベルトとチャイルドシートの着用徹底」と「飲酒運転の根絶」。

まずはシートベルト。
運転席と助手席のシートベルトの着用率はほぼ100%。
ところが高速道路を除く一般道路の後部座席では40%以下。
後部座席でシートベルトを着けていないと
万が一 事故にあった場合 車外へ放り出されるなど大変危険です。 





チャイルドシートは6歳未満の子どもを自動車に乗せる場合は装着が義務。
にも関わらず 使用率は6割にとどまっています。



また 車両への取付け固定が不十分
使用方法が不適切というケースも多数あります。
チャイルドシートを正しく使用しなければ事故の際に外れてしまう、
子どもがチャイルドシートから飛び出してしまうという恐れがあります。
6歳以下の子どもがいるお父さん、お母さんは、いちど確認してみて下さい。

飲酒運転については法律の厳罰化などにより死亡事故は減少しています。
それでも1年の死亡事故発生件数は200件以上。
飲酒運転は犯罪です。
「飲酒運転を絶対にしない、させない」という強い意志を持っ、て一人一人の力で
飲酒運転を根絶させましょう。

交通安全への強い思いを持つことは決して意味のないことではありません。
不必要な誰かの生命を脅かすリスクを減らし
それはドライバーの平穏な生活に繋がるのです。
交通事故は常に他人事ではないということを覚えておいていて下さい。


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