車が左折する時は直進や右折時と比べて
スピードを停止するぐらいまでに落とすもの。
想像すると あまり交通事故が起きそうもありません。

しかし 実際には交通事故は起きています。
慢心や不注意があるからです。
       
交通事故総合分析センター 研究部 西田泰さんによると  
平成28年のデータで 交通事故の第一当事者である自動車の行動類型が
「左折中」の人身事故は およそ3万3千件で人身事故全体の7.3%。
死亡事故は93件で死亡事故全体の3.1%。
割合は多くはないものの左折中であっても重大な事故は起こっています。

左折中の交通事故でありがちなパターンの1つは大型車による事故。
大きな信号交差点で起こるもので 左折をする大型車が左側の車道あるいは歩道を
走ってきた自転車や歩いてきた歩行者を巻き込んでしまうもの。

左折中の事故で第1当事者としての割合が高いのが大型車。
全体の18%。

これは大型車が左に曲がる時に生じる「内輪差」が主な原因。
歩いている時や自転車に乗っている時には注意しましょう。





左折中の交通事故でありがちな事故
別の1つは信号のない交差点でのケース。
右側からくる車にだけ気をつけた結果 
左折してくる車に気がつかないというもの。
広く注意を払うようにしましょう。

また 事故被害者にありがちなのは 自分が車を認識しているので
ドライバーも自分を認識しているだろうと思い込んでしまうこと。
必ずしもそうではありません。

また 自分にとっての青信号は 自分にとってだけではありません。
左折しようとしている車にとっても青信号なのです。
そのあたりの思い込みが強くならないよう気をつけて下さい。
公道では左からくる車にも注意しましょう。





日本に生まれ育った私たちは
この社会の多くのことを そういうものだと自然に受け止めています。

でも 海外から来た人の視点は違うもの。
私たちが気づかない日本に気づくこともあるでしょう。
今回 追跡したのは「外国人が見た日本の交通マナー」。





去年11月 1人のイギリス人の新聞への投稿が話題になりました。
投稿主は名古屋市にある名城大学 准教授のマーク・リバックさん。
今回はリバックさんご本人に電話でお話を伺いました。

来日20年以上。
長く住んでいる日本を愛するリバックさんが指摘したことは・・・

日本では 信号のない横断歩道で 歩行者が待っていても 車が止まらない

以前から日本では信号がない横断歩道では
車が止まってくれないと感じていたリバックさん。
2016年に9歳の小学生が信号機の無い横断歩道で
トラックにひかれて亡くなったという悲惨な事故をニュースで知りました。

1ヶ月前に仕事で滞在したオーストラリアのシドニーでは
運転手が親切で横断歩道ではクルマが止まってくれるのが普通です。
リバックさんが育った当時のロンドンもそう。
名古屋とは対照的だということを日本人に知ってもらいたく投稿したのです。

愛知県は15年連続で交通事故死亡者数ワースト1。
運転マナーの悪さに気づきやすかったのかもしれません。
でもこれは何も日本中で名古屋に限った特徴ではないはず。
日本全国に共通する傾向なのだと想像できます。

実はロンドンから日本を訪れたリバックさんの
お父さん・お母さんも同じことに驚きました。
日本は海外から「秩序を守る」イメージがあり 道路も整備されている。
クルマは歩行者がいれば当然止まってくれると外国人から来た人は思うもの。
ところが止まってくれないことにビックリ。
イギリスでは横断歩道をZebra(シマウマの意) Crossingというので
お母さんは日本の横断歩道を「Killer Zebra」と冗談半分で言っていたそうです。

ユーモアがある面白い話ですが
日本人として恥ずかしさを感じますね。





リバックさんの投稿にはたくさんの反響がありました。
そのほとんどはリバックさんの意見を支持する内容。
日本人でも同じことを感じている人が多いのでしょう。

実際 2017年にJAFが全国で行った調査では
歩行者がいる信号のない横断歩道で停止した車は1万251台のうちたった867台。
割合では言えばおよそ8.5%で10人に1人も止まっていません。

リバックさんは日本や日本人を批判しているのではありません。
横断歩道で止まらない運転マナーを問題視しているのです。
そして日本のマナーが良い国だと思って来日した外国人が事故に遭う心配をしています。

横断歩道で停車できないのなら
「日本では横断歩道ではクルマは止まりません」と
外国人に周知してほしいとリバックさんは言います。

リバックさんが投稿した背景には3人の子供がいることもあります。
自分の子供が信号のない横断歩道を渡る時
クルマが止まってくれるだろうと思って進んでしまい
ドライバーに止まる意思がなかったら・・・ 想像すると怖くありませんか。

日本人のマナーの良さは 
多くの日本人がそうだと自認していることだと思います。
でもドライバーの歩行者への気遣いという点ではそうではないようです。

横断歩道を渡ろうとしている高齢者が自分の親だったら
子供が自分の息子や娘だったら ドライバーは皆 歩行者を優先するでしょう。
そんな気持ちで毎日ハンドルを握りませんか?


最近の技術革新でクルマは過去のものから様変わりしています。
その大きな目的の1つは更なる安全性の確保。
これからルームミラーも大きく変化していきそう。
今朝は『死角を減らすルームミラー』を追跡しました。





静岡市の株式会社 村上開明堂はバックミラー国内シェア4割のNO.1メーカー。
2016年に2種類の「電子ルームミラー」を発表しました。
2種類のうち「ハイブリッド インナーミラー」というタイプは
2020年に発売される量産車への搭載が決まっています。

開発のきっかけは時代の変化。
モーターショーのコンセプトカーにはドアミラーが無いタイプが登場しています。
「いずれルームミラーが無い カメラとモニターを使ったクルマが出る」。
危機感から村上開明堂は自ら開発に取り組みはじめたといいます。

クルマの安全基準も状況の変化から世界的に法改正が進んでいます。
日本ではバックミラーやサイドミラーをカメラモニタリングシステムで代用する
「ミラーレス車」が2016年に解禁されました。

では 村上開発堂の「ハイブリッド インナーミラー」がどういうものか?
リアガラスやリアガーニッシュなどにカメラを設置。
インナーミラーが通常のミラーの役割に加えてモニターにも切り替わります。
クルマには後方に2つカメラがついています。
1つはふつうに後方を写すカメラ。もう1つは死角になりやすい下後方を写すカメラ。
2台のカメラの映像をインナーミラーのディスプレイで見ることができます。
ルームミラーとカメラモニター機能の切り替えはボタンで行います。
     
「この機能を使えば死角を低減できて安全に繋がります」と
村上開明堂でカメラの開発を担当する 杉山亜矢子さん。
後ろの席の荷物やヘッドレストが邪魔で見えないということもなし。
カメラの性能が非常に良くなり 雨の日や夜間でもよく見える。
ミラーとモニターの切り替えができる製品は
日中の屋外だと画面が見にくいことがあるそうですが
特殊ミラーを採用て そこを改良したということでした。
ミラー1つをとっても最近の車が大きく進化していることがわかります。





村上開明堂が2016年に開発したもう1つは「マルチミラーシステム」。
これは3画面のタイプでドアミラーの部分にもカメラをつけて
インナーミラーで後方と後側方を同時に見られることを可能にします。
2車線の道路でドアミラーには写っていないけれど真横にクルマがいる
後方のピラーの角にあたるところにバイクがいる
そういう状況での事故が減ると考えていますと杉山さん。

こうした技術革新は望ましいこと。
日進月歩の技術はさらに交通安全に役立っていくことでしょう。

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