NTTコミュニケーションズと日本カーソリューションズ株式会社(NCS)が
ドラブレコーダーに録画された映像から「一時停止」の道路標識があるところで
停止しなかったケースを抽出するアルゴリズム開発に成功しました。

交通安全への意識向上の目的でも使われるドライブレコーダー。
一歩進めてAIで効率的に録画した情報を処理して
交通事故の防止に役立てようという試みです。
NCSの ソリューション本部 萩原正宏さんに取材しつつ 追跡しました。





秋葉原に本社がある日本カーソリューションズ株式会社(NCS)。
法人向け自動車リースを行なうNTTグループの企業で業界大手の1つです。

昨今の自動車リース事業は車を貸すだけはありません。
付随するさまざまなサービスを提供しています。

その1つとしてNCSが展開するのが
顧客の自動車にとりつけたドライブレコーダーの映像を分析し
フィードバックする交通安全のためのコンサルタント業務。

交通事故にはならなかった「ヒヤリハット」事例や交通違反をなくして
事故が起りるリスクを少しでも減らすことを目指すのです。

そのためにスタッフはドライブレコーダーの映像を確認。
「危険運転」「ヒヤリハット」「交通違反」など事象を分類して
ドライバー別の危険性をレポートにして提出します。

ドライブレコーダーの録画方法は大きく2つ。
エンジンがかかってからエンジンを切るまで撮り続ける「常時録画」。
急ハンドルや急ブレーキなど衝撃があったシーンだけを残す「イベント録画」。

NCSが情報処理するのはイベント録画の映像。
常時録画より負担は少ないですがスタッフは8名で大変な作業。
情報処理の自動化は長年の課題でした。
課題解決についてグループ内の技術に頼ることにします。

NTTには「自動的に空港で不審者を見つける」実験を行なう部署もあり
ドライブレコーダー映像にある情報も
「危険な事象」か?「危険ではない事象」か? 自動分類できないか
という視点で共同開発パートナーを探していきました。
その中で見つかったのがNTTコミュニケーションのとある部署です。

最初に取り組んだのは「ヒヤリハット」事例を自動的に検出すること。
NCSには顧客のヒヤリハット事例だけを分類した映像ストック
ヒヤリハットにはならいない映像ストックが豊富にあります。

それらの情報からNTTコミュニケーションズは
アルゴリズムでヒヤリハットを検出することに成功しました。
検出できる確率は9割近くになります。

そして 今年に入って成功したのが 前述の一時停止違反を検出する実験。
今後、こうしたアルゴリズムによる危険事例の検出はさらに進むでしょう。





NCSが計画しているのは運転中にイベント映像があった瞬間に
それを共有サーバーに飛ばして顧客に見てもらうことです。
サービス提供は来年から始める予定ですが
例えば事故が起きた場合でもすぐフォローが可能。
事故の対処をしたあと速やかに当該車の業務をケアすることができます。

一方で事故に至らないイベント映像は
交通安全の指導に役立てることができます。

さまざまな領域で応用が広がるAI技術は
交通安全の場でも活躍しようとしています。



秋冬にクルマでのお出かけ時に
フロントガラス/リアウィンドウ/ドアガラスが曇ってしまい
視界が悪くなり「怖いなあ」と思ったり
そのせいで危ない思いをしたことがある人は少なくないでしょう。

今回は JAF 東京支部 事業課交通環境係
金子力生さんにお話を伺い
油断大敵『窓ガラスの曇り対策』を追跡しました。





窓の曇り軽く考えてしまうのは危険。
曇りで視界が狭められて危険を見落とすこともあります。
公益財団法人『交通事故総合分析センター』の調べによると
2015年にクルマの窓ガラスの曇りが事故に繋がったケースは全国で32件。
少ないとはいえども事故は起こっているのです。





クルマのウィンドウの曇りは結露と似ています。
外気温が低く 車内の温度が高い時は
車内のガラス付近の空気が冷やされます。
暖かい方が空気中に水分を多く含んでいるので
水分が温度が下がることで水滴となりガラスに付着します。

対策の1つとしては
窓が汚れていると水滴がつきやすいのでキレイに掃除をしておく。
2つめは曇り止めスプレーを噴きつけておくこと。

ウィンドウの外側は視界のために拭いたりしますが
内側はついつい掃除をせずに放っておきがち。
日頃から時間がある時に拭いておく習慣をつけましょう。





ただ どれだけ予防をしておいても
冷え込みが強くなれば曇りが生じてしまうことはあります。

フロントウィンドウの曇り除去には「デフロスター」を使いましょう。
扇方の枠に縦に3本のラインが入っているあのスイッチ。
要は高い温度で強い空気をフロントウィンドウにあて
また乾燥した外気を車内に入れることで曇りを取り除くのです。

またリアウインドウの曇りは「デフォッガー」で除去。
長方形の枠に縦に3本のラインが入っているほうのスイッチです。
こちらは電熱線でガラスを暖めて霜や曇りを除去する仕組み。

曇り始めた時に ちょっと寒さを我慢をして
窓を開けて思いっきり外気を入れるのも曇り取りとして有効です。





横断歩道の歩行者用信号にあるピクトグラム(人型の模様)。
日本では取り立てて名前があるわけではありません。

でも ドイツは違います。
子どもから大人まで誰もが歩道車信号にいる’人’の名前を知っています。
彼の名前はアンペルマン。

ドイツ語で「ampel(アンペル)」=「信号機」。「mann」=「男」
直訳すれば『信号男』。





ただの信号のピクトグラムではありません。
交通安全のシンボルとしてキャラクターして地位を確立。
さまざまなグッズにもなっています。






 
     
日本初のフラッグ・シップ・ショップ「AMPELMANN Shop 白金高輪」
2013年には渋谷に「AMPELMANN Shop Tokyo」をOpenした
株式会社アナザー・ビー 取締役 森武昭さんによると
アンペルマンの発祥は1969年の旧東ドイツ。

モータリゼーションによる交通量の増加に伴って交通事故が増える中
歩行者を守るため わかりやすい信号機のデザインとして誕生しました。
キュートで可愛いフォルムは交通心理学者 カール・ペグラウさんの考案。
喋らなくても表情や身振でわかることが万人に受けるポイントになりました。

時は流れて1989年にベルリンの壁が崩壊。
社会主義国だった東ドイツは民主化し
西側に編入される形で東西ドイツは1つになりました。
ドイツ統合で多くの東ドイツ文化は消滅します。
アンペルマンも同じ運命を辿るはずでした。
ところが新生ドイツの国民はアンペルマンを救ったのです。

今のアンペルマン社の代表とペグラウ氏が一緒に
廃棄された信号機のガラス や光る部分を使ってランプを製作。
それがメディアとかに取り上げられて復活運動がベルリンで起こりました。
旧東ドイツ時代のアイデンティティで残るものがほとんど無い中
旧西ドイツの人たちも良いものを残し 交通事故を減らそう
そんな思いで復活運動に参加したといいます。








ドイツ統一後にメルケル首相は復活する条件として
男女平等の考えのもと女の子の信号機も作るように命じました。
今ではアンペルマンには女の子のキャラクターもあります。

日本の歩行者信号のピクトグラムも全国統一のキャラクターにすれば
子供たちやお年寄りの心の中にも強く残って 
いま以上に交通安全の意識が高まるかもしれませんね。




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