今週は“停車中のバイクに自動車が追突する事故”への注意喚起です。
それはバイクがクルマに追突される交通事故の件数は、
走行中よりも停車中のほうが圧倒的に多いから。

少し古いデータですが、平成26年〜平成28年、
東京都で起こった交通事故を見ると約7倍です!
     
コメントはモータージャーナリストで
ライディングアカデミー東京の校長 佐川健太郎さんでした。





停車中の二輪が車に追突する事故は、
多くの場合、横断歩道の前や一時停止線の前で起こります。

今年4月に東京 日野市で、
横断歩道を渡る子どもを待って一時停止中だったバイクに
後ろからトラックが追突しライダーが亡くなる事故が起きました。
トラックのドライバーは歩行者には気がついたが
バイクには気がつかなかったと証言しています。

まず、信号がない横断歩道に歩行者がいる場合、
車両は一時停車をする義務があります。
ドライバーのみなさんは一時停止を、肝に銘じて下さい。

その上で停止しているオートバイは、
クルマのドライバーから認識しにくいとされています。

理由はバイクは車に比べるとかなり小さいこと。
特に前後方向から見るとスリムで目立ちにくく
周りの背景の景色に溶け込んでしまいがち。

また、信号や停止線の直前などで、
ドライバーは歩行者の動きにはとても注意を払います。
反対に停まっているバイクには見落とすことがありません。
これは動いているものは認知しやすく、
止まっているものは認識しにくいという人間の目の特性から。

ドライバーのみなさんは、
このことを頭の片隅に置いておきましょう。





クルマが停まっているバイクに追突する事故が多いのは
もう1つ、便利になったはずの運転環境の影響もあるようです。
それはカーナビやスマートフォンの使用

運転中、停止線が近づき速度が落ちてくると
もうすぐ停まることで気が緩んでルール違反なのにカーナビを見てしまう。
あるいはカーナビがわりにしているスマホを見てしまう。

そのために前方に注意が行き届かず
停止中のバイクを見落とすことも多いのではないかと
佐川健太郎さんは指摘します。

今ではスマホは生活の一部。
特に目的はなくても、無意識にスマホを見る、触る人も多いでしょう。
運転時にスマホをナビがわりに使っていると、
ふだんの習慣から必要以上にスマホを見ているかもしれません。
その点、気をつけましょう。





ライダーがなるべく事故に遭わないために。
佐川健太郎さんが言う基本は、まずウェアとプロテクション。
万が一、事故に遭ってしまった時、
身体を守れるような装備を身につけておくこと。

そして、ドライバーの目につきやすい色のウェアを着る、
バイクにも反射板をつけること。
その上で、バイクに乗っている時も、
クルマに追突されないよう工夫して運転しましょう。

自分が停まったことに後続車が気付く保証はないので
停車する時はポンピングブレーキを行う。
前後ブレーキを使ってブレーキランプを点滅させ、
減速中で停止しますという意思表示を後続車にします。

また、停止する場所のポジショニングですが、
佐川さんは少しでも追突される確率を減らすため
なるべく左に場所をとるそうです。
それによって、もしも車が止まらなくても、
追突せずスルーしていく可能性が高まるから。

ライダーの方はなるべくクルマに追突されないという意識をもって
ドライバーの方は停車しているバイクは気づきにくいという認識をもって
運転して下さい。




クルマを運転する時、確認しにくいのが後ろの安全。
車体の死角部分があり、障害物で見にくいこともあり、注意が必要です。
今週のテーマは「クルマ後方の安全確認」。
JAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんにお話を伺いました。





国土交通省は今月、道路運送車両法に基づく保安基準などの改正を行い、
2輪車などを除く自動車に対し、車両直後の障害物を確認できる
カメラやセンサーなどの装置を備え付けることを義務付ける方針です。

新型車については2022年5月以降、
継続生産車についても2024年5月以降に適用となる予定。

車のすぐ後ろは運転席からは死角となり確認することは難しいもの。
バックカメラやセンサーがあることで死角を少しでも減らし、
見落としを防止する効果を期待できます。

ただ、もうしばらく時間がかかりますし、
「バックカメラ」があっても頼りきりはよくありません。

公益財団法人交通事故総合分析センター ITARDAが発表している
2008年から2017年の10 年間に発生した死傷事故のうち
後退事故が占める割合は増加傾向にあるとされています。

歩行者が巻き込まれる事故については、
特に駐車場などで歩行者が巻き込まれるケースの割合が増加。
後退事故を起こした車の運転手の年齢を見てみると
若い運転手からベテランの人まで広く分布しているので
常にバックする時は危険を意識する必要があります。





駐車場にはお年寄りや子どもいて
バックに進行している時はそれほどスピードが出ていないとはいえ危険。
バックカメラ搭載のクルマに乗っている人も気をつけて下さい。

バックカメラは運転席から見えない後方を確認できる便利な装備。
でも、後方すべてが映るわけではありません。
また車の側方や前方など、映らない場所もあるので、
駐車場などで周囲に止まっている車の影から歩行者が出て来て
ぶつかってしまうことも考えられます。

また、前向きで駐車して後ろ向きで動き出す場合は、
左右の車、後ろの道路、確認するべきポイントが多くなります。
どこか見落としがあれば、それが事故に繋がりかねません。





いわゆる”前方”と比較して“後方”は角度が広い。
前方が100度だとすると260度。
範囲が広い上に、いろいろな理由で見にくさが伴います。
何もないか? クルマや自転車や人が近づいてないか?
しっかりと確かめるようにしましょう。

その時に重要なことはギアをリバースに入れてからすぐ車を動かさず
ミラーやバックモニター、目視も組み合わせて安全確認してから動かすこと。
不安な場合は車を止めていちど降りて目視で安全確認する必要もあります。

縁石や背の低いポールなどの障害物は、
バックモニターを使っていても死角になりがち。

特に遠出した目的地に到着した時には、
早く車を止めようという意識が働きがち。
安全に停車するまで気を緩めずにしっかり安全確認して下さい。





対物や対人事故ではなく、物損事故だったとしても、
大事にしているクルマに傷がつけば凹むと思います。
多くのドライバーはバックがあまり得意ではないもの。
慎重にいきましょう。

例年にない早さで梅雨入りしている日本列島。
ふだんからクルマを運転する方は認識していると思いますが、
晴れている時と比べて雨の日は危険。
しばらく続く雨の季節の始まりに再確認しましょう。





雨の日は路面が滑ります。
それは濡れたタイヤは道路との接地面が少なくなるから。
ブレーキを踏んでから停車するまでの「制動距離」はある実験によると・・・


<時速60km/h>

乾燥している路面 20m
濡れている路面 28m


<時速80km/h> 

乾燥している路面 36m
濡れている路面 50m


当然、スピードが出ているほど滑ります。
雨天時には速度を控えて走るよう心がけて下さい。

また、タイヤの摩耗も滑る原因になります。
新品のタイヤは溝の深さが8.5ミリから8ミリ。
乗っているうちにタイヤはすり減って溝が浅くなります。
1.6mmあれば車検は通りますが
専門家は4mmぐらいでの交換を推奨しています。

以前、JAFは新品タイヤと2分山タイヤのクルマ
2台を時速100km/hで走らせて
ブレーキをかけてから停まるまでの距離を測りました。
新品タイヤが47.6 m。二分山タイヤが70.5m。
タイヤの溝をチェックしておきましょう。





また、雨天時はあたりの薄暗さと
クルマのウィンドウに付着する水滴で視界が悪くなります。

首都高速道路 株式会社の調査では、
交通事故数を天候の時間を鑑みて比較すると
雨天時は晴天時のおよそ5倍。
AFによると雨天時の深夜は、
晴天時のおよそ7倍も交通事故が発生しています。

雨の日の交通事故の起こりやすさは路面が滑ることに加えて
「視界が悪くなる」という要素もあるからでしょう。
双方向で気をつけなければいけません。

まずは、自分の視界が悪くならないよう努めましょう。
フロントガラスの油膜を除去する
ワイパーのゴムが劣化していたら交換する
サイドミラーに撥水剤を塗るなど
視界が確保できるよう対処をします。

もう一方で、他のクルマや自転車、歩行者に早く気づいてもらえるよう
昼間でも暗い道路環境であればライトを点灯してください。





ここ数年、梅雨前線が長い間、同じところに停滞。
大雨となるケースも少なくありません。
より一層の警戒心を持つように心がけたいものです。

これまで土砂崩れが発生したことがない場所でも
土砂災害が発生する危険があります。
大雨の予報が出ていたり、土砂災害警戒情報が出ている時は、
可能な限り山間部での運転は控えて下さい。

しばらくは雨が多い日々が続きます。
あらかじめ雨の対策をきちんとしつつ、
運転時はスピードを出さず、周囲に配慮して、
事故を招くことを避けましょう。




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