クルマに乗る時、シートベルトをきちんと着用していますか?
今週は、去年の10月から11月にかけて警察庁とJAFが合同で行なった
「シートベルト着用状況 全国調査」からシートベルト着用について考察しました。





2002年に始まった警察庁とJAFの「シートベルト着用状況 全国調査」。
最新の2020年調査は「高速道路等」全国 105箇所、  
「一般道路」全国782箇所で行われました。


【調査対象者】

<高速道路等>

 運転者     5万 5,549人
 助手席同乗者  1万 8,211人
 後部座席同乗者 1万 3,873人


<一般道路> 

 運転者     30万 3,091人
 助手席同乗者   4 万 8,498人
 後部座席同乗者  5 万 5,755人


かなり大きな規模の調査なので
もちろん統計上、信頼がおけるデータです。
その結果、シートベルト着用率は


【調査結果】

<高速道路等>

 運転者     99.7%
 助手席同乗者  98.5%
 後部座席同乗者 75.8%


<一般道路>

 運転者     99%
 助手席     96.5%
 後部座席同乗者 40.3%



高速道路も一般道も運転者と助手席同乗者は100%近く。
それに対して、後部座席は高速道路等が75.8 %、一般道路が40.3%。
かなりの差があります。

このデータには、もう少し踏み込むと驚く事実も隠れていました。
後部座席同乗者の着用率は前部座席より低いものの上昇傾向にあります。
ただ、それはあくまで全国平均値。
実は47都道府県別で見ると23箇所で前年より着用率が下がっています。





特に着用率が低いところは沖縄県 15.8%、宮崎県 19.7%、
佐賀県 24.4%、大分県 24.8%、大阪 25.3%。
着用率が高いところは群馬県 61.8%、長野県 59.4%。
ただ高いといっても6割程度ですから再考する必要があるでしょう。





後部座席でシートベルトをしない理由は
いろいろと想像できます。


*運転席や助手席と比べて装着しにくい。

*例えば友人が後部座席に乗っていて
 運転者の自分が装着するように指摘するのは気が引ける。

*道路交通法で装着が義務付けられていることを知らない。
  ちなみに2008年以前は運転席と助手席だけに義務付けられていましたが
  今は全席でシートベルト着用義務があります

*ただ、後部座席は一般道路でシートベルトをしなくても行政処分がない
 そこに甘んじている  など・・・


去年9月から新型車は全座席を対象に、
警報音を発する「シートベルトリマインダー」をつけることになっています。
今後はハード面の整備によって後部座席の装着率も上がるでしょう。

しかし、そうした強制力ではなく、
自らの安全を確保するという考えのもと、
シートベルトを締めるようにしましょう。

警察庁の最近のデータによると
後部座席のシートベルト非着用の交通事故 致死率は、
一般道路で着用時のおよそ3.3倍、高速道路ではおよそ11.7倍です。





減少率が低い自転車乗車中の事故。
コロナ禍に危険運転が目立つこともあり、
今週は先週に続き「自転車の交通ルールと安全利用」をお届けしました。
お話を伺ったのは自転車ジャーナリストで、
自転車の安全利用促進委員会メンバーの 遠藤まさ子 さん。





昨今、自転車の利用は規則が厳しくなっています。
スマホを見ながら操作しながらという運転はもちろんダメ。
イヤホンの使用も自治体によりますが概ね禁止されています。
片耳ならいいと考えられる方も多いのですが
片耳でも取り締まられている自治体もあります。

道路交通法はしばしば改正されます。
去年の改正では自転車の”あおり運転”に罰則が設けられました。
自転車を車のドライバーと同様に交通ルールを知っていて
きちんとマナーを守って運転する立場とみなすようになってきています。
自転車を運転するのは生活手段というよりは
車と同じ乗り物を運転している気持ちが年々求められていると思う。
遠藤さんは、そう話します。





自転車に乗っていて、歩行者に怪我を負わせたり、
死亡に至らせてしまった場合は、刑罰が課せられます。
例えば2017年、スマートフォンと飲み物を持ちながら電動アシスト自転車に乗り
歩行者を死亡させたケースでは地裁で禁固2年、執行猶予4年の判決が下されました。

その刑事罰とは別に発生するのが損害賠償金。
安全な自転車利用を心がけていても
事故当事者になってしまうことがあります。
保険には必ず入りましょう。





自転車保険は多くの自治体で義務化の動きが進んでいます。
しかし、基本的に罰則が設けられてはいません。
したがって義務化されている自治体でも加入率は6割ほど。

自分が怪我をした時だけではなく相手に怪我をさせてしまうケース、
あるいは負傷者や死亡者が出なくても
例えば車を傷つけてしまったような時には損害賠償は発生します。
備えとして保険に入っておくことは大切です。





そして、自転車の事故を避けるためには自転車の選び方も重要です。
見た目が同じであっても1つ1つの機能がきちんと安全なものを選びましょう。
外面上は整っていてもブレーキが効かなかい、
タイヤが薄くて滑りやすいという製品にもあるので気をつけましょう。

可能であれば乗ってみる。
自転車店が近所になくて離れた大型店まで予約をして引き取りに行く、
半ネット販売のような場合にはBAAマークがある自転車を選ぶといいでしょう。
それが遠藤さんのアドバイス。





BAAマークは自転車のサドルの下、
縦パイプに貼られている緑のベースに白地のマーク。
一般社団法人自転車協会が定める、
フレーム強度、ブレーキの制動性能など、
およそ90の検査項目をクリアした自転車に貼られるもの。
製品由来の事故が起こった時は保障も受けられます。





そして、日々のメンテナンスも大切。
不具合を自分自身では感じてなくても
専門家が見るとあることが往々にしてあります。
1年に1回は定期メンテナンスをしてください。

自分で出来るメンテナンスはタイヤの空気を入れること。
遠藤さんによると女性は空気圧が低いまま乗っている方が多いそうです。

一般の自転車は空気が抜けるとペダルが重くなります。
でも、最近お母さんの立場にある人の利用頻度が高まっている
アシスト自転車はペダルがあまり重くならないので気づかない人が多いとか。

空気入れが家にないという方もいるでしょう。
店頭に自動空気入れの設置する自転車店も増えていますので
そういったものを活用しつつ、ついでに気になるところがある時はみてもらう、
そうすると自分では気づかない不具合も見つかるので一石二鳥です。




かねてからの人気。電動アシスト商品の普及。
コロナ禍で、通勤時の“密”を避けるため、運動不足のため、
宅配サービスの頻度が高まったため、
街に自転車と危険が増えたという声が聞かれます。

今週と来週は2週にわたって
「自転車の交通ルールと安全利用」をお伝えします。
コメントは自転車ジャーナリストで
「自転車の安全利用促進委員会」メンバー 遠藤まさ子さんです。







交通事故全体はかなりの減少傾向。
その中にあって自転車事故には減少率が少ないケースがあります。

平成21年の自転車が絡む事故15万6488件は
平成31年に8万473件となり、半数近くに減っています。
ただ、自転車対歩行者の事故は平成21年の2946件が平成31年は2692件。
1割しか減っていません。
交通事故に占める割合としては自転車と人、
自転車単独の事故が割合として増えている傾向にはあるのです。

「自転車」と「人」は自転車側が加害者となる事故。
自転車に乗る人は気を引き締めましょう。







コロナ禍でデリバリー利用が増えました。
路面店の前にたくさんのフードピックアップの自転車が並んでいたり
配達先の家を探すのに必死で道路を逆走していたり、歩道でうろうろしていたり、
そんな光景を目にするので、マナーの悪い自転車が増えているという
印象を持つ人も多いのではないかと遠藤さんは言います。

もう1つは育児用品としての電動アシスト自転車の定着。
お母さん、お父さんが子どもを乗せ、急いでいる特に荒い運転になったり
自転車は車道を走らなくてはいけないのに
子どもを乗せて車道を走れない…と歩道を走る、
しかも、スピードを落とさずに爆走する。

そういう人がいればもちろん目につくので
自転車に悪い印象を持つようになっている人も多いのではないか。
遠藤さんは、そう指摘します。





あらためて自転車の交通ルールをお伝えしておくと
自転車が歩道を走行する条件は・・・

◎ 「歩道通行可」の標識がある

◎ 13歳未満、もしくは70歳以上の運転者

◎ 運転者が安全に車道を通行できない身体の障害を有する

◎ 安全のためにやむを得ない


また、実際に走行する際には・・・

● 車道寄りを、いつでも止まれる速度で徐行

● 歩行者の妨害になる時は一時停止するか
自転車を降り、自転車を押して通行する





自転車は原則、車道の左側を走行。
車道に色塗りされている自転車専用レーンがあれば、そこを走りますが、
気をつけてほしいのが、自転車のマークと矢羽型のマークがあって色塗りのないゾーン。
それは“自転車専用”ではありません。
クルマが走っても違反ではないのです。
自転車利用者がクルマのドライバーに怒ることがあるそうですが、
それは間違った認識です。

そして、自転車のマークがあり、自転車が走行できる歩道も増えています。
これも歩行者はここを避けて通る努力義務がありますが、通行を禁じられてはいません。
自転車は、通行する、通行しようとする歩行者がいない時に
「安全な速度と方法で」走行できるというのがルール。
歩行者がいれば徐行・一時停止の義務があります。
こちらも間違った認識を持たないようにして下さい。





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