来週は冬型の気圧配置が高まって
全国的に厳しい寒さとなりそうです。
北海道や東北では大雪の予報が出ています。

本格的な冬の到来。
今週はモータージャーナリスト 菰田潔さんに
冬の悪天候下での運転の注意点を伺いました。





冬の天候は怖いもの。
大雪や吹雪の予報になったら車では出かけないほうが安心です。
前方を走る車がスリップして、数珠繋ぎの渋滞が発生。
動けない時間で車が雪に埋まってしまうことがあるからです。

その時に寒いからエンジンをかけたままにすることが普通ですが
排気ガスが車内に流入して一酸化炭素中毒になる可能性があります。
実際、それで亡くなった方もいるので注意しましょう。

雪に埋まってドアが開かない。寒いのにエンジンもかけられない。
そんな大変な状況にならないよう気をつけなければいけません。





冬の悪天候で、危険な目に遭わないためには、情報収集が大事。
まずは運転前に天気予報を確認してください。

悪天候が予想されている中、運転する時には、
ラジオやスマートフォンを使って状況を把握しましょう。
ただし、スマートフォンを扱う時は必ず車を安全な場所に停めてから。

そして、冬の悪天候で危険なことの1つが強風です。
左から強風が吹くと車が右に逸れてしまわないようハンドルを左に切る。
その時に風がぱたっと止んだら、車は左に向かって進んでしまう。

これが例えば、高速道路で大型トラックを追い越そうとした時だと、
トラックの影に入ると強風が止み、追い越すと再び急に風に煽られます。
スピードが早いほど横に飛んで行く可能性が高まるので
強風が吹いたらスピードを控えて走ることが大事なポイントです。

また、強風の時には、特に高速道路で、
トラックなどから落ちた積荷にも気をつけて下さい。
スピードが出ていて大事故になりかねません。





次に激しく雪が降ってきた時。
雪が降ってきた時の原則はヘッドライトを点けること。
自分の存在を知らせるためにロウビームを点灯しましょう。

最近デイタイムランニングライトがついた車が増えました。
ただ、デイタイムランニングライトは外が明るいと後ろは点きません。
後部ランプを点けるにはヘッドライトをオンにすることを忘れずに。

また、雪の中で道路に立ち往生して車が停まっていることもあります。
その可能を考えて走行するようにしましょう。
雪の状況では急に止まれないので十分に注意をする。
自分が車を停める場合は、他の車の邪魔にならない場所を選びましょう。


それから、濃い霧が出てきた時には、
最近はリアフォグランプがついている車種が増えましたが、
乗っている車がそうであれば点灯して
後続車に自分の存在を知らせるようにしましょう。





冬の悪天候時の運転、大きな危険ポイントの1つが「視界」。
例えば時速50キロで走っている時には1秒間の走行距離は14m。
2秒先見たら28m、4秒先なら約50mなります。

5、60m先が見えていればなんとか時速30km 〜 40kmで走るのは大丈夫。
でも、視界が10m以下になったら、走るのであれば、かなりゆっくりと。
あまりにも先が見えない時は、一時的に走行をやめる。
その時も、クルマを停める場所には、注意を払いましょう。
冬の悪天候下での運転は、危険が伴います。十分に注意してください。


交通事故死亡者数を月別に見ると1年で最も多いのが12月。
しかも、それは毎年のこと。
ふだんの月よりも運転に注意しましょう。





今回はJAF東京支部 事業課 交通環境係 高木 孝さんに
12月の交通事故状況と運転の注意点についてお聞きしました。

例えば去年、令和2年だと12月の1ヶ月で356人の方が亡くなっています。
1日平均11人。実数を知ると、リアルで、生々しい気がします。
ちなみに最も少ないのは6月の206人で150人もの差があります。
     
毎年のように12月の交通事故死者数が最多なのですから
そこには1つとは限りませんが、必ず原因があるはずです。

過去の統計を見ると平成30年や令和元年の単年でも
平成21年〜30年の平均でも月別ワースト3は3位から10月・11月・12月。
このことから日没が早まることの影響が考えられます。

◉ ヘッドライトを早めに点灯しましょう!

◉ 夜間の運転には気をつける!
  車の往来が少ない道路ではハイビームを活用すること

◉ 歩行者、自転車に乗る人は、反射材を身につけて下さい!
  自分の存在をアピールしましょう





ヘッドライトについては高木さんからの注意点が1つ。
それは最近普及してきたオートライト。
自動的にセンサーでライトを点灯してくれますが、
何かの拍子にオートライトのスイッチが切れていることも考えられます。
ライト点灯しているつもりでいて、実は点灯せずに走っていることがないよう
インジゲーターを見て確認する習慣をつけましょう。





12月に交通事故死亡者が多いのは、年末の慌ただしさも原因かもしれません。
確認できる運転環境、危険の予測と判断、とっさの事故回避、
どれをとっても、当然スピードが速まるほど、マイナス要素が増えます。
急ぐ運転の危険性を認識しておきましょう。





また、冬の道路環境も原因かもしれません。
特に早朝とか夕方冷え込んできた時は路面が凍っているかもしれません。

特に気をつけるべきは薄い氷が張った状態、いわゆるブラックアイスバーン。
運転席からは路面が濡れているように見えて、氷が張っていとは思わない。
普通の濡れてる路面のつもりで運転すると氷で制動距離が伸びてしまう。
ブレーキを踏んでも思うように停まらないことが起こります。
この時期は路面の凍結も頭に入れてハンドルを握ってください。

場所としては、山の影になっているところ、トンネルの出入り口、
橋などが、路面が凍結しがちです。

そして、年末に忘年会があったとしても飲酒運転は決してしないで下さい。
この1ヶ月を安全運転に努めて、2020年を締めくくりましょう。

もうすぐ12月。
12月は年末の慌ただしさのせいか「1年で最も交通事故が多い月」です。
車の運転は急ぐことで危険が高まるので要注意。
今週は「運転時の急ぎの心理」についてお伝えしました。





お話を伺ったのは東北工業大学 名誉教授で、
日本交通心理士会 前会長 太田博雄さん。

急いだ運転をしないためには、
前提として気をつけておくべきことがあります。


1)きちんと計画を立てる

2)慌てて出発しない


急いでしまった時に、顔を出すのが危険な運転です。
典型的なことはスピードの出し過ぎ、飛ばしてしまうこと。
また、早く進みたいと気が急いて車間距離を狭めがちなこと。

また、急ぐことで省略行動が起こります。
一時停止しなくてはいけなければいけないのにせずに進む。
左右両方をきちんと確認しないとけないのに片方だけ確認して進む。
さらに車は来ないだろうという予測の元に運転するなど。
身に覚えはありませんか。





急ぐ運転で必要になってくるのは、より高度な運転の技能と危険予測力。
でも、いつもより早く走り、安全確認もおろそかで、気持ちは焦っている。
ふだん以上の運転技術と危険予測力を発揮できるはずはありません。
その上、急ぎたい心理は多くの人が思っている以上に役に立たないのです。

通常で約30分かかる12.5kmの道路を急いだ場合、
どのくらいの時間が短縮できるか? 実施した超長があります。
協力したのはプロのタクシードライバーたち。
事前のアンケートでは5分から10分は短縮できるという回答が多かったそうですが、
いつも通りの運転と急いだ運転でかかった時間を比較したところ
平均の差はたった2分45秒だったそうです。

その僅かな短縮時間を得ることと
事故を起こすリスクを背負って急いで運転すること
天秤にかけてどちらを取るべきかは自明のことのはずです。





感情をコントロールは、太田先生によると難しいもの。
まずは急ぎやすい、慌てやすい、焦りやすい傾向があるか
客観的に判断して自分自身についての正しい理解を持ちましょう。
その急いでいる自分を客観的にとらえることによって
「今、ちょっと危険にあるな」という認識ができます。

そして、会議に間に合わない、何かに遅れてしまうといおう不安材料がある時は、
怒られるかもしれませんが電話連絡などをして急がないで運転できる状況を作りましょう。
さらに感情のコントロールは難しいので、肉体を利用して気持ちを整えましょう。
深呼吸は自ずと体をリラックスさせ。体のリラックスは心のリラックスへ繋がります。

人間のDNAには急ぐことができる個体が、
”危険から逃れられる”あるいは”獲物を得られる”
つまりは“生き残れる”という記憶が太古から刷り込まれているそうです。
また、子供の頃に何かにつけ親から「急ぎなさい!」と言われて育った人もいるでしょう。
そんなことから「急ぎ体質」が沁みついるているかもしれません

でも、車の運転は急ぐほどに危険が高まるだけです。
急がない運転を日頃から目指しつつ、
交通事故が多い12月、交通安全をいつも以上に気をつけましょう。


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