今週は先週に続く「タイヤが担う安全性 後編」。
自動車評論家 薦田潔さんへの取材でお送りしました。

みなさんは自分の車のタイヤが、いつ作られたか把握していますか。
タイヤの素材はゴム。時間が経てば劣化します。
では自分のタイヤがいつ生産されたかご存知ですか?
これは調べる方法があります。

タイヤのサイドウォールに楕円形で書かれた4ケタの数字が記されています。
例えば「2314」とあれば「2014年 第23週」に作ったという意味。
これを見れば、いつ作ったモノなのかが分かります。
保管状態や乗り方によって違いますがゴムの硬化は避けられません。
山があっても、ゴムが硬くなれば、雨の日は滑りやすくなってしまいます。
技術の向上で寿命の長いタイヤも出ていますが、
薦田さんとしては『寿命の目安は「6年」ぐらい』、
『10年経ったら「使えない」と考える方がいいでしょう』とのことです。

「タイヤを交換する時には、どこでどんなタイヤを選べばいいのか?」
そんな疑問が湧いている方も多いかもしれません。

実はタイヤは2種類あります。
「OEM」と呼ばれる新車装着のタイヤ。
「リプレイス」と呼ばれる街で売っている取り換え用のタイヤ。

タイヤメーカーが自動車メーカーに納めるタイヤは、
テストをして承認したものしか使わないのでかなり高い性能です。
摩耗・音・乗り心地・グリップ・雨の日の対策、全てクリアした状態で付けています。

しかし、均一した製品を作るのが難しいのがタイヤ。
同じブランドでも品質は全て同じではありません。
それはゴムの特性によるもの。
A級品、B級品、C級品があり、B級品、C級品は日本国内では売らない。
あまり問題なく使える道の悪い東南アジアなどでは使用されます。
日本で売られている安いタイヤは、そうしたB級品、C級品の可能性があるそうです。
見た目は全然変わらない。そこで、安いタイヤは気を付けた方がいいのです。

そして、広がっている燃費のいい「エコタイヤ」について、
安全面の疑問が指摘されることがあります。
その点を薦田さんに伺ってみました。

たしかに、そういう問題は起こっているとのこと。
転がり抵抗を小さくする事によって燃費が良くなります。
燃費が良いタイヤをみんな欲しがるので売れます。
しかし、それは逆にグリップしなくなるという事なのです。

特に雨の日のグリップが悪くなります。
雨の日のグリップを落とさないように、
しかも、転がり抵抗を少なくするとタイヤの値段は上がります。
シリカという材料をゴムの中に混ぜると、
その効果を得られますが、どうしても価格は高くなってしまいます。
安いタイヤで転がり抵抗が良いというのは、
雨の日は危ないということと裏表であることが多いのです。

こうした問題から出来たのがラべリング制度。
「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」が2つ同時に表示されています。

「転がり抵抗性能」はタイヤの中に給油機のマーク。
グレードはアルファベット大文字で
AAA / AA / A / B / C の順で表示されています
AAAに近いほど「転がり抵抗性能」は低い・・・つまり燃費がいい

「ウェットグリップ性能」はタイヤの中に雨マーク。
濡れた路面でどのくらいタイヤの摩擦力があるか・・・
これはアルファベット小文字で a / b / c / d と表示されていて、
aに近いほどグリップ力がある・・・つまりスリップしません。

「転がり抵抗性能」「ウェットグリップ性能」、
ともに高いものが、燃費がよく、安全性が高いタイヤ。
値段は高いということですが「安全」のためには多少のコストは考慮すべきでしょう。

あらためて、タイヤは唯一、路面に接している大切なパーツ。
安全性能の高いタイヤを履いて、きちんとチェックをして、交通安全を心がけてください。

クルマを所有している方。
タイヤのチェックとメンテナンスにどのくらい注意を払っていますか?
車のパーツの中で、交通安全のため、タイヤは特に大切です。
これから梅雨に入り、道路が滑りやすい季節。
タイヤの重要性を認識しましょう。
今週から2回にわたるテーマは「タイヤが担う安全性」。

コメントは自動車評論家の菰田潔さん。
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員をつとめる薦田さんは、
安全運転の啓蒙活動をするとともに交通安全についての著作もあります。

菰田さんの印象では一般のドライバーはあまりタイヤに注意を払っていないとのこと。
しかし、それは間違い。タイヤは車の走行において唯一のパーツだと指摘します。
「車と地球を繋いでいるのはタイヤ」
そして、車の走行ということでいえば
「アクセルを踏んで進む、ハンドルを切って曲がる、ブレーキを踏んで止まる、
走る・曲がる・止まるの三大要素はタイヤがなければ実現できません」
だから「タイヤをしっかりチェックし、良いタイヤをつけることは安全に走るために最も必要なこと」なのです。

タイヤについての最重要チェック項目は「空気圧」。
年々、向上するタイヤの性能。
しかし、膨らませた風船が少しずつ萎んでいくように、タイヤの空気が抜けるのを止めることは出来ません。
一般的に空気圧のチェックは「1ヶ月に1回」と言われますが、菰田さんが推奨するのは2週間に1度。

それはなぜかというと、8割のパンクがスローパンクチャーなのだそうです。
「釘が刺さった瞬間にパンクが起こるのではなく、だんだんだんだん空気が抜けていく。
2週間に1回、空気圧のチェックをしておくとタイヤが1つだけ少し空気が足らないかなと思うと
もうしかしたらスローパンクチャーが始まっているかもしれない。
そういう時にタイヤ交換をすれば、あまり忙しくない時、
危なくないところでタイヤの交換が出来るという点で非常に大きなメリットがある」からです。

そして、パンクの可能性がなかったとしても、
タイヤの空気圧が下がれば多くの危険が生じてきます。
例えば「ブレーキを踏んだ時の効きが悪くなる」「カーブを曲がっている時に車が不安定になる」
「タイヤの摩耗が早くなり、タイヤが損傷しやすくなる」など。

空気圧のチェックは殆どのガソリンスタンドで出来ます。
空気が足らなければ入れることも可能。
2週間に1度の空気圧チェックを心がけましょう。

そして、タイヤのもう1つのポイントは「溝の深さ」。
新品の時、溝は深さ8.5mm〜8mm。乗るごとにタイヤはすり減って溝がなくなります。
車検はこの溝が1.6mmあれば通りますが菰田潔さんが薦めるのが、
新品の時の半分、4mmほどになった時のタイヤ交換。

「なぜかというと雨の日の高速道路で走った時にハイドロプレーンが起きやすくなってしまう。
60キロ〜70キロでもハイドロプレーンが起きる可能性があります」とのこと。
これからの雨の季節、充分に気をつけたいところです。

タイヤの溝の深さの測り方は「目視する」。
デプスゲージと言ってタイヤの溝の深さを測る道具もあります。
あるいはコインで測ることも可能。
みなさん、この機会にタイヤの重要性を再認識しましょう。
来週は後編です!



去年、自動車の国際基準を定める国連の「自動車基準調和世界フォーラム」が、
一部のミラーに限定していた映像の代用をすべてのミラーに拡大すると決めました。
これを受けて国土交通省も車両運送法の安全基準を改定して、
すべてのミラーをカメラとモニターで代用することを認め、
ミラーがないクルマが公道を走れるようになるとみられています。

そこで、今回は自動車評論家 国沢光宏さんにお話を伺い、
「ミラーレスカー」について追跡しました。
国沢さんによるとミラーレスカー登場にはいくつかの流れがあります。

車が走行している時、ミラーには斜め後方や横に見えない死角があります。
また出発時などに車の周囲で子供がいても見えない部分があります。
それをなくしたいというのは昔からあったこと。
デザインの面においてもミラーがなければ自由度が広がる
モーターショーに出展されるコンセプトカーには
ミラーが付いていない車もたくさんありました。
そうした素地があって、そこに技術が追いついてきたのです。

ミラーのかわりにみることになる車のどこに画像を見るモニターがあるかというと
ドライバーが見やすいダッシュボードの中、
ドアミラーに替わるモニターは運転手は
ドアミラーを探してしまう習性があるのでドアミラー近いところ。
目線の異動が少ない位置。

ただ、国沢さんのミラーレスカーに乗った経験では、
ミラーに変わるような性能を持つ動画を映す技術は出来ていないといいます。
画像の処理が遅い。目で見る鏡よりも情報量が少ない、つまり粗い。
現時点では、人間の目と同じ位、情報量の多い画像処理システムを作ろうとすると、
1つあたり10万、2つで20万円、さらに後部のルームミラーでまた10万円。
安くない金額がかかってしまいます。

それであれば、今ならレーダーを使うブラインドスポットモニターで後ろの安全を確保できるし、
バックで大きな通りに出る時は左右の交通の状況をレーダーでキャッチできて警報を鳴らしてくれるし、
しかも、もっと安価なので、ミラーレスカーが広がるには、技術の進化が必要ではないか。
というのが国沢さんの見解です。

現状ではすでに実用化されているサポート機能のほうが、
安全運転のためには役立つということ。
でも、国沢さんはミラーレスカーが近い将来、
安全運転に大きく寄与することを期待していました。

「画像処理能力が進めば車の周りに危険物が接近した時点で
警告してくれて、危険の接近を教えてくれれば事故を大幅に防ぐ事が出来るし、
そういう意味では凄く期待が出来るシステムです。
人間は必ずミスをするので、そこが助けてくれるのが技術。
ですから、技術は進んだほうが良いと思います。
それまでは人間が頑張るしかないということです」

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