第164回 運転中に眠気に襲われる理由

2018/05/17

寒さは遠ざかり 陽気のいい日が多いせいか
「よく寝たのにハンドルを握っていて眠くなる」ことはありませんか。
このことには理由があるのです。





今回は日本交通心理学会 会長で
東北工業大学 名誉教授 太田博雄さんにお話を伺い
運転中に眠気に襲われる理由を追跡しました。

私たちは単調な刺激しか受けない状況では脳の活動が低下します。
「覚醒水準の低下」と言って意識水準が低下してしまうのです。





運転中に眠気に襲われたドライバーは計測すれば脳波に現れます。
「緊張感」を持って運転している状態では「β波(ベータは)」。
「リラックス」した状態になると「α波(アルファは)」。
「ぼんやり」「うとうと」してしまうぐらいだと「シータ波」。
「居眠り」してしまえば「デルタ波」。

自宅でリラックスしている時はいいけれど
運転中は「α波」も気をつけたほうがいいでしょう。
「シータ波」「デルタ波」は 運転中にはもちろんダメです。

太田先生は眠気についての実験も行ってきました。
「感覚遮断実験」です。





光も音もない小さい実験室。
その中で被験者に生活してもらいます

すると被験者はすぐに眠り始める。
目や耳などの感覚器官から脳への刺激が減ると
覚醒水準が低下するからです。

このことが車の運転状況とかなり似ています。
運転環境に音や光があるにも関わらずなぜ眠くなる。
単調な刺激が長く続くと 感覚遮断実験の様な状況になるのです。

「高速道路のような単調な道」「夜間の運転」
「混雑していない道路」、あるいは「大渋滞している道路」
「1人きりの運転」「安心できる人が同乗しての運転」
こうした運転環境では「眠気」に充分気をつけるようにしましょう。





眠気を感じた時には どう対処すればよいのか?
ガムを噛む。冷たい水を飲む。
脳に感覚刺激を伝えて覚醒水準を高めると一定の効果が見込まれます。

ただ これは一時的なもの。
太田先生は眠くなった時には 運転を中断することが一番オススメ。
少し眠る ストレッチをすることが効果的だとおっしゃっています。