今週の「なるほど! 交通安全」は,
『スピードを出しすぎた結末・・・』でした。





このGW、東京はかなりクルマの交通量が減っています。
ほとんどの人が不要不急の外出を控えているからでしょう。  

ただ、時にはスーパーに買い物へ、
あるいは、やらなければいけない仕事、
必要な用事で出かけることもあるでしょう。
そんな時に公共交通機関を避けて、
マイカーを利用する人が増えているようです。

ある調査によるとコロナ禍がクルマの利用状況に
どんな影響が表れているかを調査したところ
「減った」人が30%いる一方で「増えた」人が20%いました。
いつもはあまりクルマを運転しない人が、
ハンドルを握る機会が増えているのかもしれません。

そうした方はもちろん、日常的にクルマに乗っている人でも、
道路が空いているからと、ついスピードを出し過ぎてしまうのは危険。
それに速度超過は、もちろん道路交通法違反です。





運転に必要な情報の90%以上が視覚に依存すると言われていますが、
走らせているクルマの速度が早くなるほど視界は狭くなります。
時速30キロだと100度ある視界は時速70キロだと70度に。
時速130キロだと、わずか30度になってしまいます。
つまりは、速度が速いほど、危険に気づきにくくなります。

そのその危険に気づかない時間もクルマは走り続けているわけですが
1秒間にどのくらいクルマは進むのかを見てみましょう。


<時速30キロ> → 約 8m

<時速60キロ> → 約17m

<時速80キロ> → 約22m

<時速100キロ> → 約28m






そして、クルマの進行する動きに対して、
ブレーキを踏んでも直ちに停まることはできません。
運転中に何らかの危険に気づき、停車するまでには3つの段階があります。


1.危険の認識→(空走距離)→2.ブレーキを踏む→(制動距離)→ 3.クルマが停まる


?「危険を認識」してから?「クルマが停まる」までの距離を『停止距離』と言います。
停止距離=空走距離(?から?まで)+制動距離(?から?まで)。
空走距離も制動距離もスピードが出ているほど長くなるので
必然的に、速い速度で走っているほど、停止距離は伸びます。

一般的な目安として言われているのが

<時速 20キロ> 空走距離6m 制動距離2m 停止距離 8m

<時速 40キロ> 空走距離11m 制動距離9m 停止距離20m

<時速 60キロ> 空走距離17m 制動距離20m 停止距離 37m

<時速 80キロ> 空走距離22m 制動距離36m 停止距離 58m

<時速 100キロ> 空走距離28m 制動距離56m 停止距離 84m

<時速 120キロ> 空走距離33m 制動距離81m 停止距離 114m



例えば、前方30mで子どもが飛び出してきたとしたら
時速50キロだと停止距離は27mなので危険を回避できますが、
時速60キロでは停止距離37mなので危険を避けることはできません。





また、衝突してしまった場合、
当然、衝撃はスピードを出しているほど大きくなります。
およそ1.5t(TOYOTAプリウスぐらい)のクルマに乗っているとしましょう。

走行速度別の運動エネルギー量は、時速30キロを基準にすると、
45キロで2倍以上、60キロで約4倍、80キロで7倍以上、100キロで11倍以上です。
その結果、クルマが歩行者と衝突した時に時速30キロで致死率10%が、
時速50キロだと80%以上にもなってしまいます。

そんな事が起こってしまったら悲劇でしかありません。
現在の状況で道路が空いているからといって、
スピードの出し過ぎには、決してしないようにしてください。

全国の中学校・高校が臨時休校になっていますが、
本来なら新年度を迎えたばかりのこの時期、
新たに自転車通学を始めた学生がたくさんいたはず。

その人たちは緊急事態宣言が解除されると自転車で学校に通い出すでしょう。
でも、気をつけて下さい。中高生の自転車登・下校は、なかなか危険です。

今週は自転車安全利用コンサルタント 北方真起さんにお話を伺い
『自転車での登・下校に気をつけて』をお送りしました。





自転車関連の交通事故は全国的に減少傾向にあります。
少子化の影響で中高生の人数も減少しています。
そんな中で中学生・高校生自転車事故の割合は全国で増えています。

数で言うと平成30と死亡重傷事故に遭った人は1162人。
そのうち命を落とした人は19人いました。
時間帯別に見ると朝の7時台・8時台が最も多く、
次いで夕方4時台・5時台・6時台が多くなっています。
つまりは登・下校の時間。





北方さんによると気をつけてほしい事故例のパターンは大きく2つあります。

1.事故の多発箇所、裏道交差点の事故。
  その事故の相手方の大半は、車、そして出会い頭の事故がほとんど。
  ポイントとして「裏道」「出会い頭」「車」。


2.中高生が加害者となる自転車が関連した死亡事故です。
  中高生の通学時の自転車事故のうち、全体の約2割が自転車側の中高生加害者。
  自転車事故と聞くと被害者のイメージを持つ方人が多いかもしれません。
  そうではないので、加害者にならないようにという意識が必要。



過去5年の「自転車 対 歩行者」事故を自転車運転者の世代別で見ると
10歳〜19歳が555人、36%と最も多くなっています。
北方さんから自転車を利用する中高生へのアドバイスは4点ありました。

1.自転車は車両であるという意識をしっかり持って利用する
  前後左右の安全確認をしっかりする。
  自転車乗用中のスマートフォン、ヘッドホンの使用は禁止。


2.しっかり整備点検を行う。
  ライトて点灯するか? ブレーキが効くか? 
  出会い頭の事故、加害者にならないためにも、この2点の確認は入念にする


3.ヘルメットを着用する。
  ヘルメット着用の有無で死亡率を比べるとしていないほうが2.4倍。
  中高生になるとヘルメットをかぶりたくない割合が増えますが
  保護者の方も子供がヘルメットをきちんとかぶるよう促しましょう。

4.自転車保険に加入する。
  これは子供自身がが行うことではないので保護者がしっかり行なう。



自転車保険の加入に関しては、
“義務化”されている都道府県も少なくありません。
その点、ご注意ください。

中高生はもちろん、他の世代の方も、
自転車に乗る時には充分に気をつけましょう。




いま、多くの小学校は休校になっていますが、
歩行中の交通事故による死傷者は7歳児が最多です。
交通事故総合分析センターのデータでは、
1994年から25年連続で最多を記録。
しかも、歩行中の子どもが重大な交通事故に遭うケースは、
もうすぐやってくる5月が最も多い。
そこで、今週は「新一年生の交通安全」をお伝えしました。





今回、コメントをいただいたのは
一般社団法人 日本自動車研究所 安全研究部 大谷亮さん。
交通心理士でもある方です。

新1年生の交通事故の危険性が高まる理由は、慣れない通学路を1人、
または、友達と歩かなくてはいけないという状況があると大谷さん。
新1年生は慣れない通学路を歩く中で目新しく、興味を惹くものが多く、
飛び出しなど衝動的な行動をしやすいモノがたくさんあることから、
事故の危険性が高まっているのではないかと考えられるといいます。
また、7歳児の場合は危険なモノを危険と感じにくい。
周囲の確認方法を知らない。身長が低いために危険なものが見えにくい。
といったことも、交通事故を高めている理由だと考えているそうです。





小さな子どもが事故に遭わないようにすることを考えると
多くのことを一度に理解することは難しいもの。
そこで、大事なことを要点を絞り、繰り返し教えましょう。

大谷さんによると、信号機、横断歩道のある道路を選んで横断すること、
さらに飛び出さないこと、横断の際は必ず周囲を確認することが大切。
周囲を確認することは、顔だけを周囲に向けるのではなく、
自分に接近してくる車がいないことを知ることが確認することだと、
子どもが理解できるように教えて下さい。

そして、子どもに交通安全について話す時には、
伝え方が大切だと、大谷さんは指摘します。
ポイントは3つ。

具体的なこと

主体的であること

継続的であること



小さい子どもは、まだ抽象的な内容を理解できません。
具体的に何が危険かを伝えることが重要です。
また、何を理解して、何が理解できていないのかを確認するため、
色々なことを問いかけることが良いそうです。
自分で考え、交通安全を自分ごととして捉えられるからです。
例えば、「道路を渡るときに何をする?」と質問して、
信号のある道路を渡る、止まる、周囲を確認するなどの
理解ができているのかを確認するということです。
さらに横断前に止まることや周囲を確認することは、
繰り返し実践しないと、なかなか習得できません。
継続的に色々な場面を想定して教えていくことが必要です。

また、お父さんやお母さんが、
子どもと一緒に通学路を歩いてみることも大切。
それも、ただ歩くだけでは不十分。
危険な場所をチェックして、何が危険なのかを子どもに問いかけ、
子どもが主体的に考えることを、うながしましょう。

また、大谷さんによると1年生の子どもが事故に遭いやすいのは、
子ども自身が安心しはじめる、ということもありますが、
保護者や学校などの見守りが終わる時期にもあたります。
1年生はまだまだ未熟なので保護者の見守りが欠かせないのです。





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