視覚障害者は目で見て判断が出来ない、あるいは難しいため、
健常者よりも交通事故の危険にさらされる可能性があります。

東京 豊島区では、そんな視覚障害者の交通安全に力を入れ始めました。
今週は、その取り組みを探りました。





豊島区役所 土木管理課の増子嘉英さんによると
きっかけは区内で起こった去年12月の交通事故でした。

重く受けとめた豊島区と池袋・目白・巣鴨の3警察署が
視覚障害者を対象にする交通安全教室の合同開催を決めたのです。
直近の1月、そして9月に、交通安全教室は行われました。

内容は平成30年の交通事故発生状況や
交通事故の防止、反射材の効用についての講義。
反射材については参加した視覚障害者の方の持ち物に
シールやキーホルダーを取り付けたそうです。
また、最新式の音響式信号機について
警視庁と区内の警察署の警察官が説明しました。





多くの健常者は交通安全の基礎的なことを
忘れていたり、そもそも知らなかったりするもの。
視覚障害者もそれは変わらないはず。
より危険が多い視覚障害者向けの交通安全教室は、
命を守るための有意義な時間になるはずです。
  
増子さんによると豊島区は視覚障害者の交通安全啓発を
継続的なものにしていきたいと考えています。    
障害福祉課が行なっている
助成金を使った歩行時間延長信号機用の小型送信機
「シグナルエイド」の給付を継続してやっていく予定。
さらに区内のバリアフリー化を進めていく意向です。

主にクルマを運転するドライバーにお願いしたい
視覚障害者への配慮をうかがったところ
歩行を妨げる車の違法駐車や自転車の放置をしない。
点字ブロックの上に物を置かない。
道路利用者の中にはさまざまな障害を持つ人もいる。
そのことを常に念頭に置いて運転してほしいとのことでした。

視覚障害者の方にとって障害物を避け、
本来進むべきところを外れてしまうことは大きな危険が伴います。
違法駐車、自転車の放置、絶対にやめましょう。


クルマやオートバイを運転するみなさん
道路上で「この場所、危ないな」と思った経験はありませんか?

街は安全な交通社会を目指して整備されていますが、
それでも、危険度の高い交通環境はあるもの。

この番組でたびたび交通安全について解説をお願いしている
一般社団法人 日本自動車連盟 (JAF)では、
市井のドライバーから改善してほしい交通環境の情報を募集。
実地検証して改善が必要だと考えたものを警察や行政に提出しています。
今週は東京を例にJAFの”交通安全実行委員会”を探りました。



JAF交通安全実行員会の誕生は1970年(昭和45年)9月。
その頃はまだドライバーの視点で交通環境を改善する活動がありませんでした。

初めに発足した東京支部がモデルとなって
今では47都道府県に交通安全実行委員会があります。

東京支部の場合、現在の構成メンバーは21名。
一般市民がボランティアで参加する組織なので学識経験者はいません。
JAFのホームページを見て参加を申し込まれた人がいたり、
道路交通環境問題をJAFに相談したことをきっかけに
交通安全実行員会に参加するようになった方もいるそうです。





ちなみに東京支部 交通安全実行委員会の浮田委員長は、
20年前に機関紙の『JAF Mate』で募集を見て
日頃のクルマの運転で「ここはこうなったほうがいい」と
思うことも多かったので「面白い」と参加を決めたといいます。

浮田委員長の提案で交通環境が改善されたこともあります。
高速下のUターン可能箇所では意外とセンターラインや一時停止標識が無い。
日頃通っている人は分かっても、たまたま通った人にはわかりにくい。
そこで杉並区高井戸の首都高下の改善を提案。
センターラインと停止線を作り、通行区分がハッキリしたということです。

2019年は東京支部によって17の改善がされました。
その1つ、町田市内の交差点には右折できる街路が2つあります。
ところが路面の表示は1つの右折矢印だけ。
(この1つの矢印が2つの道路への右折を意味していました)

そのことを知らない2つ目の右折を曲がりたいドライバーは、
先にあらためて右折レーンがあると思って右折せずに直進します。
そこでJAFは右折矢印を2つ表示するよう警視庁に変更を要望。
提案は受け入れられて改善されました。





実行委員会メンバーは、実際に現場を訪問。
写真や動画を撮影して委員会に持ち帰り、議論します。
改善が必要だと判断した場合は管轄する機関に意見を提出。
認められた場合は、上記のように改善がなされるという流れです。

ふだん「危険だ」と思っている情報を寄せることで
交通事故の対策になる素晴らしいシステム。
思い当たる道路環境がある方は、
最寄りのJAFに情報を伝えてみてはいかがでしょうか。

そして、関心を持った方は、
実行委員会の活動に携わってみてはいかがでしょう。





12月1日から改正道路交通法が施行されました。
大きなポイントは「ながら運転」に対する罰則の強化。
交通関係に詳しい、東京 麹町 みらい総合法律事務所の
吉田太郎弁護士にわかりやすく解説していただきました。





今回の改正理由は増えている
スマートフォンの使用に絡んだ事故をなくすこと。

警察庁の発表によると、スマホ・携帯の画面を注視したり
通話で用いたりしてる事故は平成30年の1年間で2790件。
5年前の平成25年は2038件だったので5年でおよそ1.4倍になっています。

また、死亡事故の割合が携帯やスマホを使っている場合、
使っていない場合の2.1倍に上ることも発表されています。





今回の法改正による罰則強化は2つのケースに分けられます。
1つは事故に至っていない「携帯電話の使用等 保持」についての違反行為。

吉田弁護士によると、保持とは携帯電話を持って通話したり、
携帯電話スマートフォンの画面を注視すること。
今までの刑罰というのが「5万以下の罰金」だったものが、
改正後は「6ヶ月以下の懲役」か「10万円以下の罰金」になりました。

1番大きい点は、今までは罰金で済んだかもしれないものが、
「6ヶ月以下の懲役」もありうるということになったところ。
同じような違反行為を繰り返す。長時間スマホを使っていた。
悪質とされた場合は交通刑務所に入る可能性もあります。





そして、ドライバーのもう1つの状況は、
「携帯電話の使用等によって交通の危険を生じさせた場合」。

”交通の危険を生じさせた”というのは平たく言うと事故のこと。
携帯電話を持って通話したり、画像を注視したり、
あるいは持たなくてもカーナビなどをずっと見る、
そういったことで交通事故を起こした場合、
今までは「3ヶ月以下の懲役」か「5万円以下の罰金」だったのが、
「1年以下の懲役」か「30万円以下の罰金」という罰則になりました。
「懲役最大3ヶ月が1年になるというのは大きな変化です」と吉田弁護士。

さらに減点されるポイント数も、それぞれ多くなります。
保持の場合、今までの減点1が減点3点に。
交通の危険を生じさせた場合は、今までの減点2が減点6に。
減点6とは、すなわち1回で免停。

罰則強化が抑止力となって『ながら運転』が減るといいとは思います。
ただ、こうした強制的な“力”によって『ながら運転』が減るのではなく、
ドライバー自身の意識が向上によって、
自ずと『ながら運転』ドライバーが絶滅することを目指したいものです。

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