12月1日から改正道路交通法が施行されました。
大きなポイントは「ながら運転」に対する罰則の強化。
交通関係に詳しい、東京 麹町 みらい総合法律事務所の
吉田太郎弁護士にわかりやすく解説していただきました。





今回の改正理由は増えている
スマートフォンの使用に絡んだ事故をなくすこと。

警察庁の発表によると、スマホ・携帯の画面を注視したり
通話で用いたりしてる事故は平成30年の1年間で2790件。
5年前の平成25年は2038件だったので5年でおよそ1.4倍になっています。

また、死亡事故の割合が携帯やスマホを使っている場合、
使っていない場合の2.1倍に上ることも発表されています。





今回の法改正による罰則強化は2つのケースに分けられます。
1つは事故に至っていない「携帯電話の使用等 保持」についての違反行為。

吉田弁護士によると、保持とは携帯電話を持って通話したり、
携帯電話スマートフォンの画面を注視すること。
今までの刑罰というのが「5万以下の罰金」だったものが、
改正後は「6ヶ月以下の懲役」か「10万円以下の罰金」になりました。

1番大きい点は、今までは罰金で済んだかもしれないものが、
「6ヶ月以下の懲役」もありうるということになったところ。
同じような違反行為を繰り返す。長時間スマホを使っていた。
悪質とされた場合は交通刑務所に入る可能性もあります。





そして、ドライバーのもう1つの状況は、
「携帯電話の使用等によって交通の危険を生じさせた場合」。

”交通の危険を生じさせた”というのは平たく言うと事故のこと。
携帯電話を持って通話したり、画像を注視したり、
あるいは持たなくてもカーナビなどをずっと見る、
そういったことで交通事故を起こした場合、
今までは「3ヶ月以下の懲役」か「5万円以下の罰金」だったのが、
「1年以下の懲役」か「30万円以下の罰金」という罰則になりました。
「懲役最大3ヶ月が1年になるというのは大きな変化です」と吉田弁護士。

さらに減点されるポイント数も、それぞれ多くなります。
保持の場合、今までの減点1が減点3点に。
交通の危険を生じさせた場合は、今までの減点2が減点6に。
減点6とは、すなわち1回で免停。

罰則強化が抑止力となって『ながら運転』が減るといいとは思います。
ただ、こうした強制的な“力”によって『ながら運転』が減るのではなく、
ドライバー自身の意識が向上によって、
自ずと『ながら運転』ドライバーが絶滅することを目指したいものです。


一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が2016年から
『信号機のない横断歩道での歩行者横断時における
車の一時停止状況 全国調査』を行っています。
     
信号機がない横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる時
クルマには一時停止する義務があります。
止まらなければ、道路交通法の「横断歩行者妨害」。

しかし、残念なことに日本では多くのクルマが停まりません。
今ではそのことが広く知られるようになりました。
JAFの調査結果にも注目が高まっています。

調査では都道府県ごとに一時停止をしたパーセンテージ発表されますが
全国最下位の47位から改善に向かっているのが栃木県。

今週は栃木県警察本部 交通企画課 
野澤健夫さんに栃木県警察の取り組みをお聞きしました。





先日発表された2019年の調査結果では、
信号機がない横断歩道を渡る歩行者のため
一時停止したクルマは全国平均で17.1%。

栃木県は去年、2018年の調査でわずか0.9%。
全国最下位でした。

しかし、2019年の調査では13.2%で全国29位に上昇。
全国平均を下回って順位も半分以下ですが、大きな改善が見られます。


    


野澤さんによるとワースト県だとわかった時は
栃木県警としては驚いたのが本音。
しかし、現状がわかり、これをピンチとするのではなく
県民の意識を高めるチャンスとしようと思考を変えました。

その上で、交通企画課 事故対策係の係員と
交通企画課の課長以下で話し合いを行いました。

まずは全国ワーストを県民に分かりやすく伝えたいということで
「止まってくれない栃木県からの脱却」というスローガンを作成。
ポスターやチラシを作って広報活動を行いました。
自虐的なスローガンですが、県民は心当たりがあるのか
この言葉を知ると苦笑いといった反応だったそうです。


さらに栃木県交通安全協会と栃木テレビでCMを放送。
インターネットやケーブルテレビ、警察施設の大型モニター、
街頭の大型ビジョンなどで放映して、
多くの県民にメッセージが届くようにしました。

また、地元の下野新聞とタイアップして、
毎月1回以上、新聞紙面での特集記事を掲載。
県のマスコットキャラクターやご当地ヒーローを活用した広報活動。
さらに「横断歩行者妨害」違反の取り締まりを強化しました。
こうしたことを1年にわたってやってきたそうです。





その結果「止まってくれるようになった」という声も聞こえるようになり、
全国ワーストから29位まで改善したということは、
県民に横断歩道の歩行者優先の意識が高まってきた、
一定数の理解は得られたのかな?と感じていると野澤さん。

ただ、そうは言っても、まだ13.2%。
8割以上が停止していないという結果があるので
まだ対策の必要性があると感じているといいます。

東京2020 オリンピック、パラリンピックが近づき、
これから、さらに外国人観光客が増える日本。
欧米諸国では歩行者優先は当たり前のこと。
日本でも法律の認識とマナー向上が進むことを願いたいものです。

みなさんがお住まいの都道府県停止率はどうなのか?
調査結果はJAFのウェブサイトに掲載されています。
いちどご覧になってみて下さい。


一般に道路上で四輪や二輪が野生動物と衝突する事故「ロードキル」。
日本では野生のシカ、イノシシ、サルが増えて
人間の生活エリアに出没することも多くなり
ドライバーがロードキルを起こしてしまう危険は高まっています。
      
ペットが轢かれるケースを指してロードキルと呼ぶこともありますが、
今回は「野生動物との衝突事故」と定義して予防と対処をお伝えしました。





日本全国で1年に何件ぐらいのロードキルがあったか?
動物はさまざまいて、報告されないものも多く、明確な数はわかりません。
ただ、ずいぶんたくさん起きているということについて、
参考になるデータをいくつか紹介すると・・・

首都高速道路・阪神高速道路・本州四国高速道路
NEXCO3社が2018年に処理したロードキルは約4万7,400件。

北海道ではエゾジカが関連した交通事故が増え
2017年度には2,430件に上っているとして
国土交通省北海道開発局が注意を呼びかけています。

死亡者が発生してしまった事故もあり、
動物との衝突は自動車やオートバイを運転する人間にとっても危険。
野生動物が命を落とせば、それはもちろん気の毒。
人間が十分に気をつけたいところです。





それではロードキルを起こさないためにはどうすればよいか。


【野生動物注意の標識を見たら速度を落とす】 

野生動物の危険が高い道路にはドライバーへの注意喚起のため
動物の絵柄などが書かれた黄色地の警戒標識が設置されています。
「野生動物に注意」の標識を見たら、注意をしつつ、スピードを控える。
ちなみに、ロードキルが多発している地域では、
自治体がサイト上で情報を公開している場合もあります。





【暗い道では上向きのライトを有効活用する】

ライトを上向きにすると遠方でも動物の目が光って発見しやすくなります。
対向車に気をつけつつ、上向きのライトを積極的に使ってください。
夜間から早朝にかけては、夜行動物が活動的になっているので特に注意。
ちなみに最もロードキルの被害に遭っているのはタヌキで
全体の4割を占めると言われていますがタヌキも夜行性です。

それでは、注意していたにも関わらず、
ロードキルを起こしてしまったとしたら・・・ どうしますか?

実は動物に衝突してしまった、轢いてしまった時も、
一般的な交通事故と同様に警察への連絡が必要です。


【一般道の場合】

ガードレールや、その他公共物の破損の有無とともに警察に連絡します。
そして、動物の状態を確認、保護施設や動物病院に連絡して指示をあおぐ。
動物が死亡している場合は、事故が発生した市町村に連絡します。
そして、素手で触れないようにして、あれば衛生面からマスクをして、
交通の妨げにならないよう路肩に移動させます。


【高速道路の場合】

道路内に立ち入って処置をするのは危険です。
自走可能なら近隣のサービスエリアなど安全な場所にクルマを移動。
警察と道路緊急ダイヤル「♯9910」に連絡してください。
動物を放置すると二次事故を招く恐れがあります。

ロードキルが多発している自治体や警察は防ぐための施策を立てています。
それでも野生動物がまったく道路上に出てこないようにするのは難しいはず。

ハンドルを握るドライバーが全国でロードキルが増えていることを認識しつつ、
注意して運転してください。


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