クルマで買い物に出かけたショッピングモールの駐車場。
ドライブで遠出をした行楽先の駐車場。

到着した安堵感でホッとしたり。着いてからすることに気が移ったり。
あるいは買い物や遊びを終えたばかりで少し興奮状態にあったり。
ドライバーは駐車場内でのクルマの作動を疎かにしがちかもしれません。





駐車場内で起こる車両事故は全体の3割近くになります
2年前に行われた「東北6県の車両事故実態に関するモニタリング調査」によると
車両事故のうち26.2%が駐車場内で発生していました。





ここで注釈をつけておくと
ショッピングモールの駐車場やコインパーキングなど、
不特定多数のクルマが通行できる駐車場は道路交通法の適用内。
車両事故があった場合「交通事故」となります。

一方で、自宅ガレージや月決めの駐車場など、
特定の人や車両だけが出入りする駐車場は一般的に道路交通法適用外。
車両事故ですが「交通事故」とはなりません。
さらに「盗難」や「落書き」なども、ここには含まれています。

平成28年に 交通事故分析センターが行なった調査では、
「駐車場事故」は交通事故全体の3.8%、約4% でした。

とは言っても、車両事故の1/4が駐車場。
交通事故全体の4%も決して少ない数字ではありません。
「駐車場は気をつけるべき場所」と認識しておくべきでしょう。





さて、本題に戻り
駐車場内ではどんな「車両事故」が多いのか?
小数点以下、四捨五入で紹介すると
     
施設との接触 (壁・フェンス・街灯など) 30%
車両同士 55%


そして、駐車場内の「交通事故」は、
公益財団法人 交通事故総合分析センターによると年間およそ6千件。
その内訳は2016年のデーターを見ると

車両同士 66%
人対車両 28%
車両単独  6%


駐車場内は基本的に徐行しているといっても
死亡者が発生する事故も起きています。





<ケース1>

今年3月、神奈川県藤沢市のコンビニエンスストア駐車場で、
49歳の男性が軽乗用車にひかれ、頭などを強く打ち間もなく死亡。


<ケース2>

今年5月、千葉県市原市の公園駐車場から発進したクルマが
道路を挟んで向かい側にある公園に突っ込み、園児をかばった保育士が怪我。



駐車場といえども、
重大な事故が起こることを覚えておきましょう。
その予防策を考えてみましょう。





【慌てない】
 
駐車スペースを確保したい、駐車スペースに早く停めたい。
はやる気持ちはわかりますが、事故を起こせば、それどころではなくなります。


【徐行する】

ザベススピードを出さず、しっかりと徐行する。
心がけるのは時速10km以下の運転です。


【目と耳で安全を確認】

慣れない駐車場だとミラー越しの確認では死角に人がいるかもしれません。
自分の目で、耳で、近くに危険がないか感知するようにしましょう。


【ブレーキとアクセルに踏み間違いに気をつける】

あまりスピードが出せない環境とはいえども
ブレーキとアクセルの踏み間違いは大きな事故になりかねません。

   
駐車場の危険と、事故を起こさないための対策。      
わかっていただけたでしょうか。
油断と焦りと慢心から事故は起こります。
充分に気をつけて下さい。





さまざまな分野への活用が進むAI。
交通の分野も例外ではありません。

データの認識・解析を人間よりも早く、正確に、疲れずに行えるAI。
うまく取り入れれば、交通事故の対策にも有効でしょう。

実際にもうすぐ、AIを活用して、
交差点の危険をあぶり出そうという実証実験がスタートします。
舞台は石川県 金沢市。

実証実験を主導するのが金沢工業大学 AIラボ所長 中沢実教授です。
専門はセンサーネットワーク技術、画像処理技術、ロボット技術などの研究。
その応用として、地元企業と連携して交差点の交通量計測を画像認識によってできないか?
金沢市からの委託を受けて障害者就労施設ではたら障害者が、
どのような活動をしているかを音で把握することはできないか?
といったことに取り組んできた方です。





そして、新たなに金沢市から依頼を受けたのが今回の実証実験です。
金沢市は戦争で被害を受けずに昔からの道が結構残っていて形状が複雑。
画像と音を使用し、交差点の状態を比較状態を含めて、
見える化として実証実験で進めていこうというのです。

映像と音で交差点を見える化するとはどういうことか。
交差点での交通には車はもちろん人、バイク、自転車などが関わっています。
録画をすれば読み取れるシーンもたくさんありますが、
映像だけではわからないことも少なからずあります。
映像に加えて音があることで、例えばブレーキの音が聞こえた、
人が驚きの声を上げたなど、交通状態の理解はさらに深まります。
そうした状況を収集していき、事故が起きなかったいわゆる「ヒヤリハット」も
すべて把握して、交通事故予防に役立てたいというのが今回のプロジェクトの目的です。





まずは、来月から2ヶ月間、
金沢市内の交差点で「音声」と「映像」のデータ採取と
AIによる解析テストをして、検証と修正を行います。
その上で来年1月から実証実験に入るという流れ。
得られた結果は市民に情報として周知することを目指します。

災害時のハザードマップは都道府県、区市町村などが発信していますが、
交通事故の危険が潜む箇所の情報といったものを得られる機会はほぼありません。
金沢市はオープンデーターに積極的に取り組んでいるので
得られた結果を市民への周知に役立てたいと考えています。

AIによって道路上の危険を可視化していく試み。
交通事故対策の有効な方法になることが期待されます。


道路交通上では様々な場面で優先される立場と優先すべき立場があります。
それを理解していない、あるいはルールを守らないドライバーがいたなら
交通事故が起こってしまう可能性が高まります。


今週はJAF 東京支部  事業課 交通環境係 高木孝さんにお話を伺い
道路交通上の「優先」についてお伝えしました。





高木さんによると道路上に「優先」を設ける理由は大きく2つあります。
1つは円滑な交通の流れをつくること。もう1つは交通弱者の安全を守ること。

誰もが「我先に」の姿勢をもてば、そこかしこで事故が起きてしまうでしょう。
交通社会の一員である全員が「優先」というルールを守る義務があります。
では、例えばどんな「優先」があるのか? 高木さんによるとまずは交差点。

例えば一時停止の規制がある側というのはこれは譲らなければならない。
中央線がある側とか車両通行帯が決められている道路と
そうでない道路が交差している場合では車両通行帯があったり
中央線がある道路の方が優先。

そして、自転車と歩行者では歩行者が優先ということも忘れてはいけません。
自転車は基本的に車道を通行しなければいけませんが、
歩道の中には自転車の通行が認められている箇所もあります。
そういった歩道では自転車は通行が認められていても歩行者優先。
歩行者の安全を脅かしてはいけないのです。





交通においては、頻繁に「優先」があることを
常に頭においておくことが必要でしょう。
日々の運転の中で他の誰かを優先するべきか
考えこまなくても判断できることが望まれます。

他にも交差点では右折と直線の関係性だと直進車が優先。
右折をしたいドライバーは前方から直進してくるクルマが見えていても
「まだ距離が少しある、曲がれる!」とハンドルを切ることもあるでしょう。
これ、けっこう危険なんです。

「どのタイミングで右折するか?」というJAFの実験によると
交差点から30m離れたところに直進車があった場合には
「右折しない」と答えた方が多数。40m離れていても大半が「右折しない」。
ところが、50m離れた時に「右折する」と答えた人が過半数を超えました。

この交差点までの距離と時間を検証してみましょう。
右折にかかる所有時間は意外に個人差があまり無く「4秒」。
そし「50m」と「4秒」の関係が意外に微妙です。

対抗直進車が50m先から時速40kmで走ってきた場合、
4秒後に進んでいる距離は44m以上。時速50kmだと56m以上。

つまり、完全にアウト。
それにも関わらず現実は事故がないとうのは、対抗直進車が速度を緩めているから。
目に見えない協力関係が、交通の何気ない場で働いているのです。





このタイミングで道路交通上の「優先」と聞いて、
多くの人が頭に浮かぶのは「信号がない横断歩道での歩行者優先」でしょう。
いま「日本ではいかに多くのクルマが停まらないか」問題になっています。
信号のない横断歩道での歩行者優先は思いやりやマナーではありません。
道路交通法に定められていることです。





折しもJAFが昨日「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における
車の一時停止状況全国調査」の最新版を発表しました。

結果は停止率が全国平均17.1%。
前年度の調査の8.6%からは上昇しました。
一番停止率が高かったのは長野県68.6%、続いて静岡県52.8%。
気になるのは人口が多い東京都の5.8%。
これは平均をかなり下回って47都道府県中43位。

この数字はなんとかしたいもの。
いまは全国に海外からの観光客の方がいます。
クルマが停まってくれる自国のように行動している人も多いはず。

来年の東京オリンピック。
さらに多くの人が日本を訪れるでしょう。
車を運転する方は自分自身はきちんと停止しているか?
胸に手を当てて考えてみていただけたらと思います。

「優先」すべき側が「優先」されるべき側をきちんと「優先」する。
それは余計な事故を回避できて結果的に「優先」すべき側も守ることにもなるはずです。

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