クルマを運転していて「出会い頭」に他のクルマや自転車に
衝突しそうになったことがある人は少なくないでしょう。

もしかすると「実際に衝突してしまった」という人もいるかもしれません。
「出会い頭の事故」は、とても多い交通事故のタイプです。




「出会い頭の事故」は交差点などで
違う方向から侵入してきた者同士がぶつかる事故。
交通事故原因の分析には様々な分類があります。
いくつか見てみてみましょう。

警察庁の資料によると2年前
平成29年の交通事故発生件数は47万2,165件。
事故類型別では・・・

?位 『追突』 およそ16万8千件 35.5%

?位 『出会い頭衝突』 およそ11万5千件 24.5%


すべての事故の中で2番めに多いタイプになっています。
同じ年の交通死亡事故を類型別に見ると・・・

?位 『正面衝突等』 1,113件  30.7%

?位 『横断中』 907件 25.0

?位 『出会い頭衝突』 504件 13.9%






それでは、どんな場所で『出会い頭の事故』が起きているのか?
公益財団法人 交通事故総合分析センターの検証によると
7割が「市街地」、家屋や商業施設が密集した区域で発生しています。

一方、『出会い頭』による死亡事故の半分以上は「非市街地」で発生。
そのほとんどは「交差点」で起こり、交差点事故の典型的なタイプになっています。

『出会い頭の事故』の原因。
これは大きくわけて2つあります。


1)交通ルールを守らなかった

2)結果的に安全のため求められる走行をしなかった



当事者がこの2点に当てはまらなければ 多くは未然に防げたはず。
?の交通ルールを守らない、例えば「信号無視」「一時停止違反」など、
これについては、当たり前ですが、常に交通ルールは守るようにしましょう。
?の「安全のため求められる走行をしなかった」。
こちらはいくつかのパターンが考えられます。


<標識の見落とし>

出会い頭衝突の多くは、見通しが悪く、信号がない交差点で発生しています。
そうした場所には「止まれ」の一時停止標識があるもの。
しかし、これに気づかず、止まらずに進んでしまったケースです。

考え事をいていたり、スマホを気にしていたり、
そんな時は注意力が散漫になってしまうもの。
ハンドルを握っている時は、運転に集中しましょう。


<思い込み>

自分が走行している道路は優先道路ではないのにそう思い込み、
そのままのスピードで、止まらずに走って衝突してしまうケース。


<認知ミス>

安全確認の手順はとったのに認識を誤ってしまう、
例えばカーブミラーを見たにも関わらず
クルマや自転車が来るのに気がつかなかったケース。
安全の確認は細心の注意を払って行いましょう。





それではドライバーが、どんな対策を講じれば、
『出会い頭の事故』を回避することができるのか?
重複する部分もありますが・・・


【道路標識を見落とさない】

道路標識を見落としてはいけません。
特に夜は日中よりも標識が見えにくいので注意しましょう。


【停止すべきところでは確実に止まる】
     
一時停止の標識は危険がある場所だから設置されます。
標識を見たらきちんと止まりましょう。
「たぶん来ないだろう」といった楽観的で根拠のない予測は厳禁。
止まる位置は必ず停止線の手前で。

     
【左右の確認をしっかりする】

一時停止の標識で止まってたとしても
左右の確認をしっかりやらなければ意味がありません。
運転に慣れている場所では確認がおろそかになりがち。
注意しましょう。
 
また、場所によっては停止線の位置から左右が見にくいこともあります。
そういうところでは、まずは停止線で止まった上で、
左右が確認できる位置まで慎重に進み、再び止まって安全を確認します。


【優先道路を過信しない】 

「自分は優先道路。止まるべきは他のクルマ」と考えて乱暴に運転していると、
停車をしない、他のクルマに突っ込まれ、事故になってしまうこともあり得ます。
自分が優先道路だったとしても、事故に遭わないためには、
いつでも停まれる気持ちとスピードで走行する姿勢が大切です。


こうした情報をしっかりとインプットして、
『出会い頭の事故』に遭わないよう気をつけて下さい。






子どもたちは夏休みに入りました。
学校がある時とは生活が変わりって交通事故に遭遇する危険も増えます。
保護者のみなさんは子どもたちに注意を促し、
ドライバーのみなさんは安全運転の意識を高く持ちましょう
今週は1件の交通事故から生まれた
子どもの命を守る交通安全運動を紹介しました。
京都府警が全国に広める「ひまわりの絆プロジェクト」です。





平成23年、京都府内に住む、
東陽大(あずま・はると)くんという
4歳の男の子が、交通事故で亡くなりました。

お兄ちゃんのところへ行くと言って家を出た陽大くん。
お母さんは、前日に足を骨折して一緒に行くことができなかったため、
「端っこを歩きなさい」と声をかけました。

しかし、自宅から200mのところで、
言われたとおりに道路の右端を歩いていた陽大くんは、
背後からきた重さ2トンの大型SUVに命を奪われてしまったのです。

この交通事故を担当した警部補は、
霊安室で変わり果てた我が子と対面するご両親を目の当たりにしました。
横たわる男の子、泣き崩れるお母さん、気丈に妻を抱えるお父さん。
警部補の目からも止めどなく涙が溢れ出てきました。

お母さんは「私が一緒に付いて行っていたら」
「怪我をしていなければ」と精神的に大きなダメージを負いました。

警察署の被害者支援要員でもあった警部補は、
臨床心理士によるカウンセリングなど、
長期にわたり親身になって遺族支援を行います。





裁判が終わった夏。
警部補が遺族の自宅を訪れると、庭には大きなひまわりが咲いていました。

そのひまわりについて、お母さんは「陽大が事故に遭う前、
幼稚園で育てていた種を小さい手いっぱいに握りしめ
自宅に持ち帰ってきていたもので、来年は一緒に植えようねと話していたもの。
生きていた証の形見と思い庭に植えたものです」と語りました。

その後、警部補が人事異動の挨拶で遺族宅を訪問した時のこと。
ご両親から「陽大が生きていた証を残したい。
このひまわりがあちらこちらで咲け陽大もいろんな所へ行けると思う。
もう事故は嫌です」と種を託されます。





警部補は異動先になった警察署の転入者スピーチで、
陽大くんとひまわりのことを話しました。
すると「そのひまわりを育てて命の大切さや交通事故防止を発信しよう」
という声が、署員から上がります。

警察署前の花壇に陽大くんのひまわりの種が蒔かれました。
署員たちが世話をして高さ2メートルの大きなひまわりの花が咲きました。
5年前、平成26年の夏のことです。

その後、陽大くんのひまわりの種は、
この取り組みを大きく広げようという思いから、
京都府警本部の犯罪被害者支援室に引き継がれて
「ひまわりの絆プロジェクト」が発足。
     
府内の警察署・幼稚園・保育園・小中学校などに配られて花を咲かせ、
今では京都府という枠を超え、夏になると全国各地で、
交通安全の願いが込められたひまわりが咲いています。

京都府警のウェブサイトに
「ご遺族からのお手紙」が掲載されています。





どんな日も日本のどこかで
無謀な運転や思いやりのない運転、不注意が、
悲しい事故を起こしてしまう可能性があることを肝に命じて、
ドライバーの皆さんはハンドルを握って下さい。

そして、お父さん、お母さん、
夏休みの子供たちが外に出る時には注意を促して下さい。


先月、交通先進国と比べて、
日本はなぜ歩行者が被害者となる事故が多いのか?
理由についての考察をした回を放送しました。

それでは行者が被害に逢う事故を減らすにはどうすればよいのか?
今回はモビリティジャーナリスト 森口将之さんにお話をうかがい
交通先進国に学ぶ「対策編」をお送りしました。

少しおさらいしましょう。
最近のデータで交通事故死亡者に占める歩行者の割合が、
日本は7カ国中、ワースト2の37.3%でした。

四輪、二輪の運転者は、歩行者優先の意識を強く持たなければいけません。
同時に歩行者が事故に遭わない社会インフラも整える必要があります。

以前、意識についての注意点はお伝えしましたので、
今回はインフラ対策に焦点を当てます。
まず、森口さんが指摘する交通先進国に学ぶ歩行者事故の対策は、
国内にも設置が増えてきた「ハンプ」と「ライジングボラード」です。


【ハンプ】 横断歩道で舗装が盛り上がっている場所

→ 特に学校がある横断歩道に多く設置されている
→ 高さはスロープにはなっているが10cmくらい
→ 手前に標識があるので、通過する際はスピードを落とす
→ スピードを落とさずに時速40kmで通過すると車両にダメージを負う


【ライジングボラード】リモコンで伸び縮みするポール

→ 生活道路の入口に設置 
→ 生活する人や救急車など特別車両がリモコンを持ち
  ライジングボラードを下げて通行できる
→ 他の車別の道を利用してもらう。 


そして、海外では日本には数多くあるガードレールがあまりないとか。
むしろ多いのが横断歩道に立っているポール。
交差点での出会い頭での事故が一番多いため。
横断歩道にポールがあると事故で突っ込んできたクルマをポールが守ってくれます。


さらにそして、ヨーロッパでは、
クルマのスピードを制限する施策も進んでいます。
その代名詞がオーストリアのグラーツで始まった「ゾーン30」。
生活空間全体でクルマの速度を30kmに制限するのです。
これはすでにヨーロッパのほとんどの都市で普及。
中には20km制限のところもあるといいます。
日本にもゾーン30は完全に普及してほしいものです。

こうした歩行者の交通事故対策はどうすれば進むのか?
出口さんによると交通に明るい市長や担当者がいる地域と
いない地域では交通政策にかなりの差が生まれるといいます。

そして、市民の交通安全対する意識。
行政や警察に任せるのではなく自分たちで自身や家族を守るという気持ち。
ヨーロッパは日本よりも住民参加によって施策が決められることが多いそう。
そこに関わることによって全体的な意識が高まり危険の共有もできるのでしょう。

高齢者と子どもに多い歩行中の事故。
行政がきちんと取り組んでいるか目を光らせ、
任せっきりにせず、住民が積極的に関わる姿勢が、
地域の歩行者を守ることに繋がります。

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