2013年4月15日

4月15日 三陸復興国立公園・みちのく潮風トレイル

今朝は、東北沿岸部に広がる自然豊かな地域を、復興のための国立公園にしよう、というプロジェクトを紹介します。

東北沿岸部にすでに存在する国立公園と、その周辺地域を、新たに一つの大きな国立公園に指定する「三陸復興国立公園」です。東北沿岸部は、海・山・自然が調和した世界的にも優れた景観の地域として知られています。これを活かし、復興につなげようと言うもの。

プロジェクトを主導する、環境省・三陸復興国立公園推進チーム長 堀上勝(ほりかみ・まさる)さんに伺いました。

◆三陸の豊かな自然を生かした国立公園を
元々、陸中海岸国立公園という、岩手県久慈市から海岸沿いに気仙沼市まで続く国立公園があった。東日本大震災の津波で大きな被害を受けたこの公園を、単に復旧させるのではなく、ここを中核に自然環境を活用することで地域の復興につなげる形にしていきたいと考えている。
三陸復興国立公園は、北は青森の八戸市、南は宮城県の牡鹿半島まで延ばす構想。アメリカの国立公園の場合、国が土地の全てを所管、サービスも行うが、日本の国立公園は民有地も含み国立公園のエリアを指定する。そのためある程度自然を守るための規制はかけるが、民間で商売も出来る。国と地域が一体となって国立公園を運営していく。三陸復興国立公園は、その「活用」を強く表に出していきたい。津波による自然の脅威も伝えていけるような新しい形の国立公園を目指している。


三陸復興国立公園 構想

そして、この国立公園を核とした、様々なプロジェクトも進んでいます。その一つが、『みちのく潮風トレイル』です。

◆東北を歩いて旅するトレイル構想
中核になるのは三陸復興国立公園。それを南北に貫く長いトレイルを構想している。(トレイル=歩く道)。青森県八戸から、福島県相馬市の松川浦まで700?以上の道を一筆書きで歩けるもの。山道を歩くルートは今までもあったが、海岸近くの道でこれだけ長いトレイルはたぶん初めてとなるので話題性もかなりあると思う。道を決めるにあたって地元の人の意見を聞く。のちのち地元の方に色々と活用してもらうことを含めて地元との意見交換をやっていく。それをしないと活用もされず管理もされない道になってしまう。そこは時間をかけてでも地域の方と話をしながらルートを決めていきたいと思っている。



来月5月24日、三陸復興国立公園が新たに指定されます。その翌日25日には、その一番北にある
青森県・八戸市で式典も行われる予定となっています。

明日はその「みちのく潮風トレイル」について、さらに詳しく伺います。


2013年4月14日

4月12日 南三陸町・高台移転を巡る家族の悩み(2)

昨日に引き続き、13日(土)公開の映画『ガレキとラジオ』に登場している「FMみなさん」の元スタッフ、和泉博文さんと、そのご家族の今をお伝えします。

和泉博文さんは現在、地元漁協の臨時職員として働きながら、南三陸・志津川地区の仮設住宅で、3人のお子さんとご自身の母親の5人で生活をしています。

和泉さん一家が、いま直面している大きな悩み、それが「住まい」です。

南三陸では高台移転のための災害公営住宅の計画が進んでいて、来年の夏以降には入居が始まる予定。博文さんは、この災害公営住宅の入居を臨んでいます。家賃負担が少なく、3人の子どもたちに、町に縛られず将来の選択肢を考えて欲しいという理由からです。
一方、博文さんのお母さんの考えは違います。お母さんは、災害公営住宅ではなく、行政が宅地造成した土地に、自分のお金で戸建て住宅を建てたい、との意向。その理由を伺いました。

◆孫たちにふるさとを作ってあげたい
私はとにかく、孫たちに故郷を作ってあげたい。戻ってくる場所を作りたい。年齢的に収入もない年金生活。元の土地を売りバラックでもなんでも建て住めればいい。子どもたちが自由に帰ってきて、家の周りで遊べるところを作ってやりたい。ご先祖様も守らなきゃいけない。それはこの街の流れ。よそからここへきてお墓詣りというのは私の年代では考えられない。子どもたちが町外へ飛び立っても良い。苦労してほしいから。でも、帰ってこられる場所があったほうがよい。帰る場所がないという寂しい気持ちをさせたくない。


博文さんもお母さんも、子どもたちの将来を想っているのは同じです。
お母さんの話をうけ、博文さんに再び聞きました。

◆残せる財産は、人のつながり
話し合っても結論は出ない。子ども達の将来も大事だし自分の生き方も大事。お袋は地元に残り根付くことが年齢的にも最終目的だと思う。この町は今後、5年〜6年過ぎたら尻すぼみになり下降していく。その中で子どもたちがこの町にいていいのか、それは子どもたちが決めることで俺が決めることではない。
もう、こういった状況の中では財産は作れない。作ろうと思っても出来ない。財産として何が残せるかと考えたら、それは生き方の財産。自分が親としてどういう風に生きていくか、それしか財産は無い。“金持ち”になる必要はなく、“人持ち”人とのつながりがいっぱいあるような財産を残してあげたいと思っている。


いま仮設に暮らす方々は、5年後6年後の町の姿を思い描きながら、将来の住まいをどうするのか、選択を迫られています。復興は、住む家で終わるものではないのです。それを象徴するお話でした。

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パーソナリティ 鈴村健一

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