2013年1月18日

1月18日 東北各地の<災害FM>はいま(5) 岐路に立つ災害FM

東日本大震災のあと、東北各地で32の災害FMが開局し、現在も22の放送局が、東北各地で情報発信を行っています。ただ免許の期限切れや、運営資金の問題など、課題も多いのが現状。女川さいがいFMもそんな岐路に立つ災害FMのひとつです。チーフディレクターでパーソナリティも務める宮里彩佳さんに伺いました。

◆女川さいがいFMの継続問題について
いままでなかったこういう放送局ができたということはすごく大きな財産。女川さいがいFMを基盤に、なにか新しい情報発信のツールができあがればいいなと思っている。そこにわたしがいるいないは関係ない。ここがあったからできあがったものができれば、わたしたちがやってきたことに意味があるのかなと。


◆女川さいがいFM リスナーの声
−なくなってはいけないものなんじゃないかと思い始めている。私たちの楽しみがなくなってしまって、さみしい。無くなっては困る。
−海の作業をしている人たちにとってはテレビをみながらはできないが、ラジオを聴きながらなら(作業が)できる。こういうラジオはあったほうがいいと思う。
−なくならないことを信じている。なくならない運動でもしてみます。


長年国内外のコミュニティメディアについて研究を続けてきた、龍谷大学の松浦さと子さんは、これからの災害FM、コミュニティラジオのあり方について、こう話します。

◆災害FMやコミュニティ放送を支える新しい制度、法律を検討する時期
いまコミュニティ放送を立ち上げるにあたって、非常に高額の資金がかかると思われているが、もっとシンプルに考えて、まずお金のかからない立ち上げ方もできるという発想や、既存の放送とは全く別のものであるという認識のもとに、コミュニティを支えていく放送の在り方をきちんと制度化していくという議論も、これから必要なのでは。特に日本は災害がたくさんあるわけだが、それに対応する必要な装置として、それを支える制度、法律が日本にはとくに必要だと考える。



地域密着の情報を届ける災害FMは地域の住民同士つなぐ役目を果たすとともに、インターネット放送などにより、街の情報を全国に発信する可能性も秘めています。存続には法律や制度の壁があるのも事実ですが、議論が深まっていくことに期待したいです。

2013年1月17日

1月17日 東北各地の<災害FM>はいま(4)  海外での資金調達方法

阪神淡路大震災から今日で18年。日本で初めて災害FMが立ち上がったのは、その阪神淡路大震災のときでした。そして東日本大震災のあと、東北各地で32の災害FMが開局し、現在も20を超える放送局が、東北各地で情報発信を行っています。

ただ免許の期限切れや、運営資金の問題など、課題も多いのが現状。被災地の災害FMが、地元密着の放送を続けていくには、どのような方法があるんでしょうか。

長年、国内外の「コミュニティメディア」について研究を続けきた龍谷大学の松浦さと子さんに、海外のコミュニティラジオの資金調達の方法を伺いました。

◆寄付やカンパ、受信料の再分配などあの手この手
―コミュニティラジオというのは多くの国々でいま免許がとれるようになっているが、財源をどうするかはどのコミュニティも真剣に考えるところ。免許をとるときにも、できるだけたくさんの人たちが「わたしたちのコミュニティを立ち上げる」という共通認識を持ち、そのラジオ局をわたしたちが支えていくという覚悟を持って達が得ることが多い。
―費用も自分達で出す、自分たちで集めるなどの工夫をしていて、例えばチャリティマラソンの収益金やリサイクル物資を売った費用を当てたり、寄付や会費やカンパを集めたりしている。
―あるいは広告料を取っている放送局から税金を集めて再分配をするとか、受信料を集めている国はその一部をコミュニティラジオに配分するという形で、「第三の声」を流す公共放送を成り立たせている。


東北の被災地では地元密着の災害FMが存続の可能性を探っています。

◆決め手は「自分たちの放送局を持つ!」という強い想い
―被災地ではいま臨時災害FM局が地域の被災者に向けて、貴重な情報や言論や表現がなされている。多くの人たちがその大切さを知り始めているが、この放送局がなければ!と切実感をもって受け止めているひとはわずか。でも「自分たちはこの放送局がなければやっていけない!」という思いを共有できたときに、「わたしたちがこの放送局を支えなければ!」という自覚が生まれてくるかもしれない。
―スポンサーとなるべき企業や行政も十分な資金がないかもしれないが、その放送局が大事だと思う人たちが、わずかずつでもまず会費やカンパとして寄せ集めること。また被災地でコミュニケーションやつながり、表現、言論、記録が残されていくことに意味を感じる全国の人、世界中の人たちが、被災地を応援するカンパの中で、コミュニティ放送が立ち上がることを支援したいという気持ちが集まれば、希望が生まれるのではと思う。


リスナーに必要とされてこそのラジオ。災害FMだけでなく、圏域放送もコミュニティFMも、お金を出してでも聴きたい番組づくりが、いま求められています。
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パーソナリティ 鈴村健一

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