2012年12月19日

12月19日 災害支援のプロ、NPO「Civic Force」の被災地支援(3)


Civic Forceは宮城県気仙沼市に東北事務所を構え、さまざまな形で、被災地支援を行っています。震災から1年9か月を迎えた被災地の「現状」と「課題」。Civic Force東北事務所代表、勝田和一郎さんに伺います。

◆気仙沼の「再生可能エネルギー」の取り組み
もともと気仙沼の中心産業は「漁業」。それはこれからも変わらない。ただやはり、新しい産業も盛り上げていかなければいけないということで、「再生可能エネルギー」も市全体で取り組んでいる。
再生可能エネルギーにもいろいろなものがあるが、その中でわたしたちが支援しているのが「木質バイオマス事業」。木を燃やして熱エネルギーを電気にする、というもの。なぜ「木質バイオマス事業」かというと、森から木を切ってきて燃やす過程で雇用が発生し、地域への波及効果という意味で、ほかの再生可能エネルギーよりも雇用を創出できる可能性があると考えるから。これまでは、間伐材は切っただけで放置されてきたが、ちゃんと運びだし、ボイラーで燃やして、「循環する木質バイオマス事業」とする、その仕組みづくりをお手伝いしている。
まずは副業的な位置づけで、すでに「森のアカデミー」として講座なども開催されていて、それらが軌道にのってくれば、専業でやる方も出てくるのでは。ゆくゆくは50〜100人くらいの雇用を生み出せればと思っている。


間伐などにより、未利用のまま山間地に放置される木材は、全国で年間およそ2000万立方メートルにも及びます。この間伐材を「資源」として利用しようというのが「木質バイオマス」です。

◆参考にしているのは、高知県の森林環境保全活動
木質バイオマスの事業に取り組んでいるのは、もともと気仙沼でガスやガソリンの販売・卸しをしていた、エネルギーと関係のある仕事をしていた方。震災で原発の事故もあり、地元の資源を生かし、かつ地元の産業になって雇用を生み出せるものとして、取り組んでおられる。参考にしているのは、高知県の事業。「土佐の森救援隊」の指導を受けながら、いま気仙沼で積極的に活動されている。


Civic Force

土佐の森救援隊

2012年12月18日

12月18日 災害支援のプロ、NPO「Civic Force」の被災地支援(2)


Civic Forceは宮城県気仙沼市に東北事務所を構え、さまざまな形で、被災地支援を行っています。震災から1年9か月を迎えた被災地の「現状」と「課題」。Civic Force東北事務所代表、勝田和一郎さんに伺いました。

◆被災地の医療アクセスの現状
−気仙沼や南三陸の医療の状況として、震災のときだいたい6割くらいの病院と診療所が流されて、診療停止に陥った。いま大分戻ってきてはいるものの、一から病院を再建するというのはものすごく費用がかかったりするので、仙台や一関に転勤して病院に勤めるという先生もいて、医師の数自体が減っているのが現状。さらに、病院が減ったこともあり、被害にあわなかった病院も、患者数が相対的に増えていて、充分な医療が受けられない状況が出ている。
−歯医者さんなどもたくさん流され、気仙沼市内、どの歯医者さんもだいたい一カ月待ちだったりする。命に係わる病気の場合、より深刻さの度合いが高くなる。


被災地の深刻な医師不足。一方で、新たな取り組みもスタートしています。

◆過疎地側から飛ぶ「民間の緊急搬送用ヘリ」の運行について。
−いま気仙沼市立病院の先生方とお話ししている中で、重症患者、緊急を要する一刻も早く手術などをしなければいけないときに、気仙沼―仙台間は普通にいくと2時間半かかるところを、ヘリコプターを被災地側(気仙沼)において、高度な医療が施せるところに飛ばす計画を立てている。
−日本にはドクターヘリ―というものがあり、都会にヘリコプターがあって、(必要な場所に)飛んでいくというスタイル。そうでなくヘリコプターを医療過疎地側におけば、運送時間も半分で済み、救命率、社会復帰率も上がるのではないかと考えている。
−従来のドクターヘリ―は一基5〜6億円ほどするが、わたしたちのような民間なら、ヘリは5000〜6000万。年間運航費も国でやる場合の数分の一で済む。
−安価にやることで全国に広げられる、自治体の負担も減らせる、そういうモデルを展開できればいいなと考えている。


気仙沼発着の民間の緊急搬送用ヘリ、運行は来週の春を目指しているということです。
被災地だけでなく、全国の医療過疎地のモデルになる可能性もあり、今後注目です。

Civic Force
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パーソナリティ 鈴村健一

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