2012年12月17日

12月17日 災害支援のプロ、NPO「Civic Force」の被災地支援(1)


Civic Forceは東日本大震災の発生後、宮城県気仙沼市に東北事務所を置き、さまざまな形で、被災地支援を行ってきました。震災から1年9か月を迎えた被災地の「現状」、そして「課題」とは?Civic Force東北事務所代表、勝田和一郎さんに伺いました。

◆被災地の高台移転と住宅再建について。
集団移転については、全国250か所で「集団移転促進事業」という国からの承認が下り、実際測量などの計画づくりが始まっている。住宅再建への先行きの目処が見えてくることは、一つの安心材料になっていると思う。
一方、高台移転をするといっても、補助金がでるのは土地の整備までで、実際家を建てるには各自の持ち出し。現実的な自分自身の生活や将来を考えると、不安を持っている方が多いとも感じる。

◆集団移転について前向きな議論が展開されている事例は?
気仙沼市の小泉地区は気仙沼の一番南側にあり、気仙沼で一番大きな津波が襲い、数百世帯が流された地区だが、甚大な被害を受けたにも関わらず住民の結束が非常に強くて、震災直後から高台への集団移転に向けた取り組みを始められた。単に国がつくった計画に従うだけでなく、せっかく一から造り直すんだから、小泉という街が元通りになるだけでなく、これまでよりよくなって、子どもや孫に誇れる街にしようと取り組みをされている。実際に「街づくり組織」を自分たちで立ち上げて、若い方からおじいちゃん、おばあちゃんまでが、活気ある楽しそうな議論をしている。
実際には上から降ってきた計画にしたがって移転しているところがほとんどなので、こういった取り組みがほかの被災地にも広がっていくといいなと。そういった部分のお手伝いをしていきたい。

◆一方、高台移転や住宅再建がなかなか進まない地域もあります。
本当は安全な土地に早く移転したいという被災者の方の想いが先で、そういう被災者の気持ちにあわせた仕組みがどうあるべきかという議論をすべきだが、国の制度がこうだから、これにのっけるように皆さん着いて来てください、着いてこれない人は仕方ないですね、というふうになりがち。
また、基礎自治体と言われる市や街の職員の方も、それぞれ被災されて、家や家族を失ったりして、いっぱいいっぱいというような。
そういう2つの理由で(高台移転や住宅再建)が進まないのではと考える。


Civic Force

2012年12月14日

12月14日 被災地が一票に託すもの(5) 〜ISHINOMAKI2.0 古山隆幸さん

“被災地が一票に託すもの”。
復興を強く望む有権者たちが、一票に込める想い、
そこから見える被災地の今を伝えています。

月曜日からお届けしてきたこのシリーズも、今日でラスト。
最後は、宮城県・石巻市。地元の若い世代、県内外のクリエイターが自由な発想で
街作りをするプロジェクト「ISHINOMAKI2.0」のメンバー、古山隆幸さんの声です。

★ITが石巻を変える
住民票は埼玉にあって、埼玉に住みながら東京で仕事をしている。ただ、震災以降は東京と石巻を行き来する生活。石巻工業高校を卒業。石巻には自分にとって魅力的な仕事、やりたい仕事がなかった。でも、今東京で仕事をしていて思うのは、ITという仕事は東京にいなくても出来るということ。東京にクライアントがいるからといって、毎日東京でどっぷりやるものでもない。開発や企画を練るのはパソコン一つあればどこでもできる。これは石巻の産業になり得るものなんだと考えた。石巻をはじめとした被災地域に限らず、過疎化や高齢化を抱える地方が、問題を打破するものになるのではないかと思う。それをリアルな現場で見せていきたいなというのが、今の自分が思っていること。
自分の実家も被災している。現地で泥かきをしながら、地元・石巻を見て自分の街はどうなるのかと考えた。今飛ばないでいつ飛ぶのだ、自分ひとりが2〜3年人生を投げ出して本気でやったとしても、それは必ず巻き戻せる。だからこそ2〜3年は石巻にぶつかっていって、何か新しいことをやっていこうと、石巻に根ざして活動をしている。。


こうしてISHINOMAKI2.0に参加した古山さんは現在、母校・石巻工業高校で、スマートフォンアプリの開発を学生に教えるなど、IT技術を石巻の若い世代に根付かせるための活動を続けています。

選挙については、「もちろん投票はするつもり」と話す古山。こうしたISHINOMAKI2.0の活動を通して、民間の力の限界や、「国・行政」と「民間」の大きな意識の差を感じています。

★街は走り続けているのに。
東北は後回しにされていると言う感覚はある。石巻は街が日々進化しているのに、待っているなんてできない。街は走っている。だから自分たちはもっとダッシュしなければ。そこに行政が絡むと、「ステイ」がある(笑) 行政に何かをやってくれと頼むと、「助成金を作ってなんとかします」「でも来期になります」と言われる。来期まで待っていてどうなるんだ。目に見える形で動き出すことをやって欲しい。
椅子に座って物事が完成するなら、みんな座っている。座るヒマもなく走っている人たちが大勢いる。
やはり目に見える動きがなければいけないし、無駄な動きばかりの行政なんかいらない。


気仙沼、南三陸、福島、石巻から、5人の有権者の声を届けてきました。
被災地の一票一票、新政権はどう受け止めるのでしょうか。
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パーソナリティ 鈴村健一

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