2012年11月22日

11月22日「阪神淡路大震災の経験を生かした復興支援。建築家・野崎隆一さんインタビュー(2)」

神戸在住の建築家・野崎隆一さんは阪神淡路大震災を経験し、神戸の復興街づくりにも携わりました。
その経験を活かして今、宮城県気仙沼市で復興まちづくりや住宅再建のサポートをしています。

震災から1年8ヶ月が経過したいま、住民の皆さんの一番の関心事は、仮設住宅を出た後の「住まい」です。

野崎さんにお話しを伺いました。

◆仮設住宅を出た後のコミュニティ
 通常仮設住宅を出るときは、公営住宅への移転が一番多い。しかし移転先の公営住宅が、仮設住宅で出来たいいコミュニティを維持できる仕組みになっているかどうか。
 神戸の場合は「グループ入居」という制度があって、仮設住宅で仲良くなった人がグループを形成して、一緒に公営住宅に入る。公営住宅の方も、公営型のコレクティブハウジング(交流できるスペースを大きく持った集合住宅)を用意している。
 気仙沼でも、いろんな仮設住宅や地域の集まりの際、勉強会をや説明会を行なっている。
 公営住宅は基本的に、抽選でくじに当たった人が入居できる原則があるから、せっかく仮設で仲良くなった人たちと別れ別れになるようなことにならないように、仕組みを考えてほしい。


野崎さんは気仙沼市で「復興まちづくり勉強会」も開催。
住宅再建に関する行政の資料や建築、法律の言葉を、わかりやすい言葉で解説しています。

◆住宅再建のための、わかりやすい説明
 行政の説明はなかなか理解しにくい。そこで、仮設住宅の人からの質問に対して作ったQ&Aを配っている。行政の説明言葉ではなく、聞きたい側のニーズに合わせて作ったもの、というところが特徴。
 例えば高台移転をした場合に、移転先の土地の買い取りもできるが、借地もできる。借地の場合、建設費のローンを借りた時にそこに抵当権を設定できるのか、など。なかなか統一見解として解答は出ていないが、そういうものを配って、皆さんに見てもらっている。



「被災地住宅再建Q&A」は、気仙沼市のボランティアセンターで配布しています。
また、野崎さんが手掛ける気仙沼市の「復興まちづくり勉強会」は、12月にも予定されています。
詳しくは「神戸まちづくり研究所」のサイトをご覧ください。

【神戸まちづくり研究所】

2012年11月21日

11月21日「阪神淡路大震災の経験を生かした復興支援。建築家・野崎隆一さんインタビュー(1)」

神戸在住の建築家・野崎隆一さんは阪神淡路大震災を経験し、神戸の復興街づくりにも携わりました。
その経験を活かして今、宮城県気仙沼市で高台移転や住宅再建のサポートをしています。

野崎さんにお話しを伺いました。

◆一軒ずつ行なった相談会
 昨年9月から、兵庫県が阪神淡路大震災の教訓を東北の被災地に伝えたいと、街づくりの専門家の派遣制度を作ってくれた。建築家として住宅の相談に乗ったことがきっかけで、仮設住宅を回って、話を聞きながら再建のお手伝いをしてきた。現在は気仙沼で防災集団移転、いわゆる高台移転のお手伝いをしている。
 住民の方は、公営住宅に入ろうか、集団移転でみんなで一緒に家を建てようか、それとも親戚のところにいこうかなど迷っている。そうやって迷っている人たちを集めて、一軒ずつ相談会を行なった。弁護士にも同席してもらい、個別相談。できるだけ一人で来ないでください、家族会議を我々と一緒にやりましょう、という形で、ご夫婦や親子で来てもらったり、一軒一軒相談をしていくということをして、決心を固めてもらった。
 阪神淡路大震災のときも、マンションの建て替えなどに携わった。家族だけでは判断がつかないところを、第三者や専門家が入って相談にのってあげることで、合意形成ができる。



高台移転に関して、野崎さんが関わる地域で比較的順調に計画が進んでいるのは、唐桑半島の只腰や小鯖などの地区。
うまくいっている決め手は、住民の「自主性」だそうです。
「自分たちでこの地区をどうにかしなきゃ」「集団移転を成功させなきゃ」という想いが、住民の合意形成に大きな役割を果たしています。


◆制度の浸透に時間が掛かっている
 阪神淡路大震災に比べると、少し時間が掛かっているという感じは否めない。
 国の支援の制度ができても、それぞれの自治体がそれを消化していくのに時間が掛かっている。自治体が消化しても、それを説明会や資料の配布などにより被災者に伝えていくが、なかなか被災者の理解を得るところまで、いろいろな制度が浸透していない。
 我々のように、行政と被災者の間に入って話を繋いだり、被災者の理解を深めたり、逆に被災者の方の疑問を行政に問い直していくための仕組みが、東日本大震災の場合は十分できていないと思う。




明日も建築家・野崎隆一さんのインタビューをお届けします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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