2012年9月17日

9月17日「宮城県気仙沼・震災後、新たに生まれた環境」

宮城県気仙沼市・唐桑半島の付け根にある「舞根地区」で牡蠣の養殖などを営む、畠山信さん。
NPO法人「森は海の恋人」の副理事長も務めています。


海辺の小さな漁村・舞根地区。
ここには震災前までアサリの獲れる小さな干潟が残っていたのですが、震災による地盤沈下で海に沈んでしまいました。
しかし、今この土地には、新しい干潟が生まれつつあります。

<写真:地盤沈下によってできた干潟。震災前は防風林があった>

畠山信さんにお話しを伺いました。

◆潮溜まりにアサリの稚貝
 今年生まれたアサリはまだ1mmから5mmくらい。去年生まれた稚貝は1.5cmくらいなので、もう少しで食べられる。
 ここはもともと防風林の跡、宅地があった場所だが、もう陸じゃなくて海になっている。
 アサリの発見がこの集落の人たちの心を動かした。ここのアサリは他で獲ったものより美味。子どもの頃のそういう楽しみがまたできるのは、お年寄りも嬉しい。潮干狩りは楽しい。


<写真:畠山さんが干潟の砂を手でさらうと、そこにはアサリの稚貝が>


津波で家や林が流された跡が干潟になり、そしてこの新しい干潟には、たくさんの海辺の生きもの、海の生態系が息づき始めています。


◆震災後に生まれた環境を、子どもたちのために守る
 舞根集落の陸地だった部分が、地盤沈下で磯や潮溜まり、干潟になっている。そこにはアサリ、エビ・カニなどの甲殻類が繁殖している。
 特に子どもたちの遊び場として最高のフィールドになっている。最近はメダカが復活。実はメダカは耐塩性で海水に強い。大繁殖している場所を見つけた。場所によってはメダカは絶滅危惧種。
 そういう街づくりをしたらいいじゃないかと地元の方に提案したら、この集落は震災後の自然環境を大切にした小漁村にしようということになった。子どもたちの遊ぶ場所は海辺にほとんど無くなった。
 NPOの事業では環境教育を謳っており、アサリの調査、生育環境や分布の広がりを調べる。エビとカニがすごくたくさんいる。ドクターシュリンプのように、皮膚を食べにくる(笑)。一見怖いが結構気持ちいい。古い角質を食べてくれるという原体験。子どもの頃からやっていると怖いという意識は持たず、楽しいという気持ちを持つことができる。生きものって面白いなと思える。
 そういう原体験をできる場所が、この集落に震災後にできた。それを守っていこうという活動をしている。



ただ、この干潟はもともと住宅のあった土地と、そうでない土地が混在しています。
そのため、干潟全体を「みんなのもの」として保護するには、土地の買い上げをどうするか、管理をどうするかなど、課題があるということです。


<写真:道路を挟んで右側は、もともと干潟だったが地盤沈下で海になり、左側は海水が流れ込み干潟になった>



<写真:地盤沈下で出来た干潟と湿地帯>


【NPO法人 森は海の恋人 Official Website】

2012年9月14日

9月14日「震災から1年半。気仙沼・漁業の今(2)」

宮城県気仙沼市・唐桑半島の付け根にある「舞根地区」で牡蠣やホタテの養殖業を営む、畠山信さん。
NPO法人「森は海の恋人」の副理事長も務めています。


震災から1年半。
舞根地区は、ホタテや牡蠣の出荷が出来るまで再生しました。


畠山さんは今、将来を見据えて進めている計画があります。

◆新たな産業の立ち上げ
 これから先は産業をきちっと作っていかないと地域が継続しないという話になった。じゃあ産業を作ろうということで、NPO法人「ピースネイチャーラボ」を立ち上げた。地元の人間だけだとろくな産業が立ち上がらない。知見も狭い、システムも知らないノウハウもない。外から入った人間と地元の人間による混成チームで食品の加工品を作ろうと言うことになった。上手く回るなら地元の人たちに任せる。

気仙沼では、牡蠣は生で食べて十分美味しいので、加工品という文化は今まであまり発展してこなかったそうです。

◆学んだこと、地元が集まる場を作ること
 ベタな考えだが、誰もがウマイと思う牡蠣フライが作れたら面白いということで、調理師専門学校・辻調の校長や、シェフのアラン・デュカスと繋がって教えてもらった。
 衣をつけた状態で冷凍・冷蔵で出荷、おうちで揚げるだけの状態。最高にウマイ牡蠣フライがあったらいいなと牡蠣フライを作っている。同時にパンにつけるホタテのパテをメインでいこうかと。色んなところに視察に行き、大きな学びがあった。
 共通した学びは、「地元からはじまれ」。いきなり東京市場に出荷するのではなく小規模でも地元の人に食べてもらい、地元が集まる場を作る。その「地元から始まれ」という学びから、小さなカフェを作ろうと思っている。僕の趣味・シダ植物の栽培を活かして温室カフェを作ろうと。温室だと冬でも暖かい、熱帯のシダ植物が冬でも元気だと嬉しい。そこに地元の人が集まれる、小洒落たカフェがあるといいなと思っている。地元からの要望があればオイスターバーになったり、レストランになったり変えられるというのもミソ。


◆美味しいものを届けたい
 最初は薫製を食べたくて作った。そしたら美味。作ったはしから喰っちゃう。もうちょっと味が美味しくできる方法を見つけてしまったので、いいものを作って販売しようと思っている。それまで少々お待ち下さい。

<写真:牡蠣の薫製小屋>


11月に加工場の完成、12月には東京のデパートの復興イベントでこれらの加工品のお披露目販売を予定しています。
また、温室カフェも来年のゴールデンウィークにはオープンさせたいということです。

<写真:温室カフェと加工場の建設予定地>


【NPO法人 森は海の恋人 Official Website】

【NPO法人 ピースネイチャーラボ】
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パーソナリティ 鈴村健一

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