2012年6月15日

6月15日「災害時、ペットを守るために」

昨日まで福島第一原発の事故で取り残されたペットと、それを保護するボランティア活動についてご紹介してきました。

大地震など災害にあった場合、自分の身を守るのが優先です。
しかし、去年の震災でも、ペットを助けようとして命を落とした例もあるそうです。

大地震などで避難しなければならない時、どうペットを守ればいいでしょうか。
東京都の対策や、動物愛護団体に伺いました。


●震災発生後、避難所に避難することになった場合
 ・東京都は、学校や体育館が避難所になるケースが多く、大勢の方が同居することになり、ペットは入れないことが考えられます。
 ・そこで調べておく必要があるのが、お住まいの地域は「ペット用シェルターの準備をしているか」です。それぞれの市区町村で確認出来ます。
 ・例えば新宿区は、区の防災計画で、人間の避難所と別にシェルターを設けることになっています。ただしこれは原則「犬・猫・小鳥など小動物」に限られます。

●震災の混乱でペットが逃げ出したり、見つからなくなった場合
 ・迷子になった動物は、地域の保健所、動物愛護センターなど行政機関が保護、問い合わせに応じてくれます。
 ・また市町村の窓口やホームページでは、そうしたペットの情報を公示しています。ボランティア団体が保護した動物の情報も、市町村窓口に集められるそうです。問い合わせ先は控えておいた方が良いでしょう。
 ・ペットの写真を数枚持っておくと、探すときの手がかりになります。迷子札やマイクロチップなど、身元確認できるようにしておくのも良いです。

●今から準備しておくこと
 ・ペットと一緒に避難する訓練をしておく。ケージに入る練習、リードをつける練習など。
 ・ペットの食事は最低3日分は用意。去年の震災でも、ペットフードなどの救援物資は不足しました。
 ・地域によって、ペットのシェルターを設置できない場合もあります。ペットをそばに置けない状況に備え、飼い主同士のネットワークを作って、「預け先」を考える必要がありそうです。特に、爬虫類などのペットは、避難所にもシェルターにも入れない可能性が高いです。

●おしまいに
 ・いま、多くの自治体が、法律に基づいて「地域防災計画」を見直しています。ただ、動物に関する対策の進み具合は、地域ごとにバラつきがありました。人命を最優先にしているため、やむを得ない面もあります。
・また、震災時は行政も大きな混乱が予想されます。行政機関そのものが被災することも考えられます。


【環境省 ペット動物の災害対策「いつもいっしょにいたいから」】

【東京都新宿区「いざという時に災害からペットを守るために」(PDF)】

【日本愛玩動物協会「ひとと動物の防災を考えよう」(PDF)】

2012年6月14日

6月14日「福島のペットレスキュー(4)」

作家の森絵都さんは、福島第一原発事故で取り残された動物たちを保護する「ペットレスキュー」というボランティアを半年間にわたり取材しました。
そして、そこで見た事実を、「おいで、一緒に行こう」というタイトルの著書で発表しています。

森さんが取材したペットレスキューの活動は、今も続いています。
今年4月、原発20km圏内の一部が警戒解除されましたが、今もほとんどの区域が立ち入りを禁じられています。
ペットレスキューのボランティアの多くは女性たち。彼女たちはそこに入り、今も動物の保護を続けています。
なぜ彼女たちは、そこまでして活動を続けているのでしょうか。
森さんに伺いました。

◆相互に支え合う姿
 彼女たちに直接聞いたわけではないが、母性ではないかと思う。圏内で同行、接すると、動物を助けたいという思いもあるが、飼い主、人間を助けたいというのが大きく、それが彼女たちを支えている。
 彼女たちにレスキューを依頼し、犬猫と再会できた飼い主たちが、彼女たちを支援し始める。その仲間となり、他の飼い主さんのレスキューを手伝い、猫シェルターの運営を手伝ったり、相互に支えあう姿を感じた。


◆命を救うため、助け合う
 彼女たちが20km圏内で活動していることを知った時は驚いた。同行取材ならそこに行かなければいけない。圏内で取材したことは発表できるのか。最初は時期をずらして伝えることで、立ち入り規制前の話として違法性を無くそうとしたが、取材をするにつれ、どの時期に何が起こったのか、そこで起きた変化をありのままに伝えないといけないと考え、レスキューの中山ありこさんにも伝え、許可をもらった。
 彼女たちは知的で常識的で、家では良いお母さん、奥さん、社会人の女性だが、そんな彼女たちが一線を踏み越えるのは、抵抗があったはず。それでも踏み越えたのは、20km圏内の命を救えないから。
 それが正しいか正しくないかは分からない、と今でも言っている。正義感ではなく、行かなければ死んでしまう命を救えるかも知れないから。
 被災者にとって中山さんのような他人が、ペットの名前を一緒に呼んで探してくれる行為そのものが、どれだけ救いになっているか。そんな風に助け合える自分たちでいられたらなと思った。




福島県南相馬市にある猫のためのシェルターでは、ペットフードなどの支援も受け付けています。
詳しくは下記ブログをご覧ください。
【シェルターを主宰する中山ありこさんのブログ「ねこさま王国」】
【福島の被災猫たちのシェルター「にゃんこはうす」】

【森絵都さんの著書「おいで、一緒に行こう」特設サイト】
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パーソナリティ 鈴村健一

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