2012年4月20日

4月20日「仮設のトリセツ(3)」

ウェブサイト「仮設のトリセツ」では、「風除室を有効活用する」「収納棚を設ける」「花壇をつくる」など、仮設住宅をより快適な住まいにカスタマイズするアイディアを提供しています。

サイトを運営しているのは、新潟大学工学部建設学科・岩佐明彦准教授の研究室です。

中越地震、そして東北の仮設住宅を調査してきた岩佐先生は、「仮設は、じっとこらえてやりすごす場所ではない」と語っています。


◆「回復の場」としての2年間
 自分たちの手でやるということが、自分達の生活を回復していくためのステップになるの。いつまでもボランティアやプロの大工がやるのでなく、住んでいる方がやるのがいい。
 仮の住まいではあるが、仮設での2年間が「失われた2年間」であってはいけない。「あの2年間があったから、今がある」と将来感じてほしい。単純にじっとこらえて2年間やりすごすのではなく、「回復の場」として、仮設の2年間が生かされたらいいと考える。


◆これからの仮設住宅が抱える「問題点」
 仮設の人がそのまま復興住宅に行くとは限らない。経済力がある人はどんどん出ていく。残るのはどうしても高齢者やハンディキャップのある人ということになる。
 中越のときは、仮設住宅団地は大きいのに、住んでいる人はまばらで空いている、という過渡期の状況があって、それをどう支援するか。
 被害にあった方は、ばらばらに仮設に入居し、絆をどうやってつくるかが問題になっているが、復興住宅に移行するときにも、再びばらばらになる可能性がある。理想を言えば、仮設住宅の「つながり」を復興住宅にも生かして、つながっていくといいと思う。
 仮設住宅はこれから「過渡期」に入ると思う。出ていく人、残る人、孤独になる人。その辺りを非常に心配している。



「仮設のトリセツ」は、ウェブサイトからダウンロードすることができます。
また、書籍版の「仮設のトリセツ」は書店でお求めいただけます。

【仮設のトリセツ Official Website】

2012年4月19日

4月19日「仮設のトリセツ(2)」

厚生労働省は先日、原則2年間とされていた被災地の仮設住宅の入居期間を、1年間延長する方針を明らかにしました。
仮設でより快適に暮らすための知恵や工夫が、いま被災地で注目されています。

ウェブサイト「仮設のトリセツ」では、仮設住宅をカスタマイズするさまざまなアイディアやヒントを提供しています。
サイトを運営しているのは、新潟大学工学部建設学科・岩佐明彦准教授の研究室です。

仮設住宅は「原状回復」が基本。
居住者が大きく手を加えてはいけないという暗黙のルールがありますが、仮設をカスタマイズすることに問題はないのでしょうか。岩佐さんに伺いました。

◆仮設住宅を住みやすくすること
 過去の仮設住宅の事例だと、ほぼすべてがリース。使用後に分解されて部品利用で再利用された。今回はとにかく数が多いので、県や市が買い上げている仮設が多い。出るときは原状回復、という話もあったりした。
 特に入居の最初の段階では、行政の担当者もよくわからないことが多く、「とにかくそのまま使って」という場合が多かったが、その後断熱などいろいろと手が加わったことなどもあって、最初のときほど「そのまま使って」という感じではなくなっている。
 行政担当者に、いま住みにくくなっている部分を「変えていいか」などと聞いてみると、少なからずOKな部分もあるし、住民共通の悩みであれば支援の手を差し伸べてくれる。
 最初のころに比べればゆるやかになった。住居者が住みやすいように、という方向になった。


◆アイディアを住民の間でシェア
 中越と東日本では、同じ寒冷地と言ってもライフスタイルが違ったり、仮設住宅の形が違ったりしているので、HPで紹介していることが、そのまま100%利用できるとは限らない。
 いま東日本でも、いろんな工夫の事例が出てきているので、地域に適したアイディアをシェアすることが重要。
 仮設の集会所の壁に「仮設のトリセツ」の写真を貼ると、住んでいる人は「すごいね」「これ**さんちだ」「この道具どこで買ったの?」などと、急に身近なものになる。
 アイディアを交流する場をつくることも重要。今回の仮設住宅団地は必ず集会所があるので、写真を貼るなどすると、住んでいる人たちの中でアイディアを共有できる。



「仮設のトリセツ」は、ウェブサイトからダウンロードすることができます。
また、書籍版の「仮設のトリセツ」は書店でお求めいただけます。

【仮設のトリセツ Official Website】
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パーソナリティ 鈴村健一

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