2016年4月20日

4月20日 災害時の心のケア 下條茂さん3

今日も「災害時の心のケア」についてお伝えします。

避難生活が続く中で、どう行動し、どう不安と向きあえばいいのいか。今週お話を伺っているのは、防災心理カウンセラーの下條茂さんです。下條さんは2007年の中越沖地震で自ら被災しながらも避難住民の心のケアにあたり、東日本大震災の際もボランティアとして活動しました。

今朝はまず、避難生活のストレスを軽減する方法から。

◆「ハンドマッサージ」「太陽の日差し」「深呼吸」
僕らいろんなところでやっているのはハンドマッサージ。人に触れるとオキシトシンというホルモンが出るので、人にやさしくすること、触れ合うことはとてもいい。特別なテクニックは必要ないので、手の平をしっかりゆっくりマッサージしてあげることも(ストレスをやわらげる)ひとつの手段。
自分がストレス状態にあるかどうかは自分ではよくわからないもの。そんな中体温が下がっているときは交感神経が優位なとき。眠れないとき、すごく寒いなどというときは、そういうときなので、そういうときは暖かいものを口にしてほしい。冷たいもののほうが手に入りやすいし、暖かいものは手に入りにくいかもしれないが、暖かいものを口にするとセロトニンというホルモンも出やすくなる。できるだけ暗い所にいないで明るいところに出る、日差しを浴びるというのも、セロトニンを出す方法のひとつ。
また本当に呼吸はとても大事。ちょっと胸に手をあててみてほしい。息を吸う時に胸がふうっと開くくらい、大きく胸を膨らませて、ゆっくり吐く深呼吸。どうしても落ち込んでいるときって背中を丸めてしまうので、呼吸から意識するのはいいと思う。


また経験者同士、被災体験を話すことも、ストレスをやわらげる方法として有効だと下條さんは言います。そのとき重要なのが、「話す順序」「聴く順序」です。

◆被災体験を話し合う
被災体験を話し合うのはとても大事なこと。被災したことがない話を聴くよりも、同じ体験をした経験者が話をすることで共感できる。相手も同じ状態なんだと仲間意識も出る。ぜひ話をして、支え合えると思ってほしい。ただ重要なのは話を聴く順番。まず「なにがあったのか」現実に起こったことを話す、聴くようにしてほしい。よくあるのが「悲しかったですか?」「つらかったですか?」と感情から質問すること。感情からのスタートだと、いまここにいることも感じにくくなってしまったり、感情によって急にパニックを起こしてしまったりする人もいる。
まずなにがおきたのか。その中でなにを感じたのか。その順番をきちんと意識して話をしていかないといけない。逆に話をしたくないひともいる。しゃべりたくないひとはしゃべらなくていい。その人たちを尊重してほしい。
今後みなさんがボランティアに入るとき、ボランティア3原則というのがあるが、わたしたちの仲間では基本的に「無理をしない」「地元主体である」「被災者本位である」をボランティア3原則としている。相手方を尊重してやっていかないと、仕事を全部とってしまう、全部やってしまうと相手方を弱らせてしまうことにもつながる。もしボランティアをするときは本当に気を付けながら「やらせてもらっている」という気持ちのある人がやってほしい。たまに体調が悪いのに入ったりする人もいる。実際ボランティアに入ると眠れないし、怖いし、寝る場所や水、食事の確保などの必要。お風呂にも入れない。そういうことも全部含めて納得の上で入ってほしい。「行きたい!」という気持ちだけで入ってしまうと大変なことになるので、健康状態のいい人が入ってほしい。


今日のお話のポイントを振り返ります。
※人と触れ合うことでストレスが軽減することから「ハンドマッサージ」が有効。また「日差しを浴びること」「深く深呼吸すること」もストレス軽減に役立つ。
※被災者同士経験を語りあうのもよい。ただし「話す順序」に注意。「なにが起こったのか」そして「いまどう感じているのか」この順序を忘れずに。
※これからボランティアに入る方には「無理をしない」「地元本位」「被災者本位」のボランティア3原則もアドバイスいただきました。

パーソナリティ 鈴村健一

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