2019年6月26日

福島県大熊町 佐藤信康さん1(いちご植物工場)

きょうは、福島県 大熊町の「いま」をお伝えします。

大熊町は、廃炉作業中の福島第一原発が立地する町。住民およそ1万人の大半は、いまも県内外で避難生活が続いています。
一方、今年4月には一部地域で避難指示が解除され、役場の新庁舎も完成。6月には、帰還希望者雨の災害公営住宅への入居も始まりました。



そんな大熊町でお話を伺ったのが、佐藤信康さん(39)。避難生活を経て、いち早く故郷での生活を再スタートさせた方です。

◆植物工場が完成
私たちは一番最初に(避難したのは)猪苗代ですね。あちらのほうにお世話になってそのあと新潟のほうに行きました。姉とか小っちゃい子がいたので、遠くに行った方が良いということで。それから1ヵ月ぐらいして、役場が本庁舎を置いたので会津のほうに戻ってきたんです。以前は仕事が役場の職員だったんですよ。そして準備宿泊が始まるちょっと前のタイミングで大川原の連絡事務所が開所したので、勤務先の変更ということでそのメンバーとしていわきから大川原のほうに帰ってきまして。新庁舎ができるタイミングで、植物工場ができたので退職して植物工場のほうに勤め始めたということです。


この「植物工場」というのが、大熊町が出資して今年4月に完成したばかりの、イチゴの栽培施設です。佐藤さんはこの施設を運営する会社、「ネクサスファームおおくま」のスタッフとしてこの春から働き始めたばかりだそうです。

◆大熊復興の足がかりに
(イチゴ栽培の仕事に転職した理由は)単純に面白そうだなというのがあったんですよ。今はこういう状況で、当然作物、農産物は作れない状況なので、そんな中で、植物工場でイチゴを作るということであれば、一番最初の農作業の足がかりになるのかなと。誰もここで食べ物を作るというのはあまり感覚的に持たないと思うんですけれども、使っているものも大熊の土を使ってどうのこうのということではなくて、高設養液栽培という形ですね。高い場所に設置してあるので「高設」、「養液栽培」というのはチューブでちょっとずつ水分を与えてあげて、イチゴの苗自体はポッドの中に入っているんですが、そこは土じゃなくて培地と言うんですね。ヤシガラやゼオライトをブレンドした土で、4月1日に始まったばっかりで収穫自体はまだなんですよ。


このイチゴ栽培を行う植物工場は完全屋内(ハウス栽培)、温度や湿度、光やCO2などの環境はコンピュータ制御、最先端の技術で安心・安全なイチゴを生産できる施設となっています。8月には、いよいよイチゴが初出荷される予定だということです。

明日も大熊町の復興の足がかりとしても期待の大きいこの植物工場についてお伝えします。

パーソナリティ 鈴村健一

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