2019年7月9日
水害対策 土屋信行さん(2)
今週は大雨や台風による水害対策について、街づくりや河川事業のスペシャリスト、「リバーフロント研究所」土屋信行さんのインタビューをお送りしています。土屋さんは大雨や台風による水害対策の専門家でもあり、昨年の西日本豪雨の被害も検証しました。大規模浸水で51人が死亡した岡山県倉敷市真備町では、堤防8カ所が連鎖的に決壊し、13人が命を落としています。
◆大きな河川と支流の関係 高速道路と似ている
西日本豪雨で決壊した一番大きな川は高梨川で、そこに小田川が合流しています。大きな川にたくさんの川の水が集まってきてしまうと、小さな川、支川の水がなかなか入りきれないんです。例えて言うと、高速道路で本線に乘ろうというときに、本線を車がビュンビュン早いスピードで走っているとなかなか入るタイミングがなくて入れないというのと同じで、たくさんのボリュームの河川水が大きな川で大量にものすごいスピードで流れていると、小さな川のほうからはなかなか押し返されて流れ込んでいくことができない。そういう場所でした。そういう地域の特徴は、河川や治水を考えるうえで重要な要素だから、調べておいて、危ないぞと思って準備をしたほうがいいんです。
税金は福祉や教育に使わなければいけないなどいろんなところに需要があるので、ややもすると目先の安全な雰囲気に安心して頼りきって、インフラ整備は、「そこは補強しなくてもいい」というようになってしまった歴史がここ20〜30年あります。そういったところは見直して、やらなくていけない土木や河川のインフラ整備工事はやっていただかないといけないと思います。
土屋さんによると、今回決壊した地域では堤防の切り替え部分に土嚢を準備するなど、水害への準備が一定程度行われていた場所もあったそう。ただ、実際にはその準備を使うことなく、水が流れこんでしまったということです。
防災のための防備は、準備するだけでは意味がありませんん。いざという時、「使ったことがない、使い方がわからない」ということがないよう、カラダを使って訓練して、地域の防災力を上げる必要があるとも話していました。
明日も土屋信行さんのお話をお送りします。