2019年7月11日

江戸川区ハザードマップに学ぶ 土屋信行さん(4)

今週は大雨や台風による水害対策について、街づくりや河川事業のスペシャリスト「リバーフロント研究所」土屋信行さんに伺っています。

今年5月、東京都江戸川区が全世帯に配布した「水害ハザードマップ」が「画期的だ」と反響を呼んでいます。いったいどんなところが「画期的」なんでしょうか。


◆キーワードは・・「ここにいてはダメ」
江戸川区のハザードマップは表紙のところになんと「ここにいてはダメです」と書いてあるんです。行政が地域住民に「ここにいてはいけない」と伝えるは画期的、素晴らしいハザードマップだと思います。というのは、地域の70%は海抜ゼロメートル地帯(東京湾の満潮より低い)にあって、それを守っているのは薄っぺらな堤防一枚なんですね。言ってみれば、洗面器をお風呂の湯船に押し込んでいるようなもので、洗面器が壊れればあっという間に中に水が入ってくるとう状況。そんな中で一年365日お暮らしであるということです。わたしが地域のお年寄りに話を聞いたら「よくぞ言ってくれた。昔わたしたちが親父やじいさんから聴いた文句、そのものだ」と話していました。昔あの地域は「水塚(みづか)づくり」といって、いわゆる塚をつくって、盛り土したところに離れの蔵を作って、蔵のなかに味噌醤油米、薪、布団などを置いて、およそ1か月籠城できるように自衛していたと言います。おまけに軒先に船がつってあって、出水した中でも船で地域とつながれるようになっていたそうです。それと同じ情報を江戸川区自らが「ここにいてはダメです」というタイトルで発信したというわけ。ここに住むうえではこういうことに備えてください、こうすれば安全に暮らせますよと丁寧に書いてあり、素晴らしいハザードマップだと思うます。



江戸川区は荒川と江戸川に挟まれ、区の7割が海抜ゼロメートル地帯にあります。江戸川区のハザードマップには確かに書いてあります。「ここにいてはダメです。浸水のおそれがない他の地域へ」

また江戸川区だけでなく、葛飾、墨田区、江東区、足立区の「江東5区」では巨大台風や大雨の際、同じようにほとんどの地域が浸水するとも書いてあります。

「じゃあ、どうしたらいいの?どこに避難したらいいの?」という話は、明日お伝えします。

江戸川区ハザードマップ、詳しくはこちらからダウンロードできます。

パーソナリティ 鈴村健一

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