12/26 「 後藤正文 × ホリエアツシ 」

ASIAN KUNG-FU GENERATION

さて、今夜は、先週お伝えした通り後藤による新授業がスタート!!
この教室にゲスト講師を招いての対談講義が始まります。
記念すべき第1回目の対談相手は、後藤の盟友と言っても過言ではないストレイテナーのホリエアツシ先生!!!


ASIAN KUNG-FU GENERATION

久々のSOL登場ということで、こんな黒板メッセージと共に登場してくれました!

BERSERKER TUNE
ストレイテナー
(from AL『STOUT』)

後 藤_というわけで2011年のストレイテナーの活動を含めた音楽を振り返っていこうと思うんだけど。
ホリエ_うん。
後 藤_まずは『STOUT』が出たよね。セルフカバーアルバム。これは何でセルフカバーだったの?
ホリエ_このアルバムの後に『ストレイテナー』というセルフタイトルのオリジナルアルバムを出すから、そこに向けたステップということで出したんだけどね。
後 藤_なるほど。ストレイテナーだとこのタイミングでベスト盤っていう選択肢はおかしいもんね。
ホリエ_そうだね (笑)
後 藤_なんでかっていうと、最初は2人だったし、そこから3人、4人となってるからさ。セルフカバーのほうがいいよね。
ホリエ_うん、オリジナルの音源でまとめちゃうと違うというか「今の進行形」の音を鳴らしたかったから。
後 藤_それはあるもんね。アジカンとかはそういうのないから、まったく。
ホリエ_そうなの?

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_ずっとメンバー4人でやってきたし、セルフカバーしちゃうと意味が違ってきちゃうというか。だからウチはベスト出したほうがいいタイプのバンドなんだろうね。
ホリエ_なるほど。ベスト盤が出るってことでさ、俺らとしては納得のタイミングというか、そんな感じだったんだけど、やっぱ色々あった?
後 藤_俺たちもそろそろかな、って思ってたよ。もう入り口がどこか分からないからね。
ホリエ_そうなんだよね。
後 藤_このキャリアのバンドはみんなお互い様だと思うけど、6枚7枚とアルバム作ってて、今から聴き始める若い子とっての入り口が分かりづらくなってきたというか。
ホリエ_「代表曲って何なの?」っていうところから入ってくる人もいるからね。
後 藤_うんうん。
ホリエ_フェスでLIVE見てくれて、ワンマン行ってみたいなって思ってくれた時に「どのアルバムから聴けばいいんだろう?」ってなった時にベスト盤があるのはいいことだよね。
後 藤_バンド側が追いついてきた気がするんだよね、そういう気持ちに。
ホリエ_どういうこと?
後 藤_もう聴いてる子たちは何年も前から「プレイリスト型」になってるというかさ。
ホリエ_あぁ、なるほど。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_アルバム曲をぶっ込んだ時のあの温度差というか (笑)
ホリエ_わかる (笑)
後 藤_「シーン」とした感じあるじゃない?
ホリエ_何作か前の時のフェスのセットリストとか今見ると「なんだこのセットリストは?」って思ったりするよ (笑)
後 藤_当時はそれが正解だと思ってたんだよね (笑)
ホリエ_カッコつけたい、というかさ (笑)
後 藤_この年齢になってくると「引き受けよう」という気分は出てくるんだよね。
ホリエ_そうだね、やっとだね。
後 藤_今年の夏は俺、「みんなのアジカンになろう」って思ったもん。
ホリエ_アハハ (笑)
後 藤_みんなのアジカンでいればいいっていうか、みんなが喜ぶ曲をやりたい、今年は。って感じ。今年はいろいろな事故や事件もあっての話でもあるんだけどね。
ホリエ_うん。なんか自分の曲なんだけど、自分の中の創造性との戦いでさ、古い曲がどうしても色あせて見えちゃったりとか、古い曲と向き合わないところがあったんだけど、結構一気に震災を機に向き合うようになったというか、改めて音楽の力を信じられるようになってきたんだよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

SING
ストレイテナー
(from AL『STOUT』)

後 藤_NANO-MUGEN FESTIVALの話も少ししようか。
ホリエ_NANO-MUGENね、めちゃくちゃ良かったよアジカン。
後 藤_ホントに?
ホリエ_ホントに!俺泣きっぱなしだったもん (笑)
後 藤_ホントかよ (笑)
ホリエ_ホントホント、みんなのアジカンの中に俺もいた、みたいな (笑)
後 藤_あれはやっぱり...あそこだけを拠り所に生きてたというか、踏ん張ってた。
ホリエ_うん。
後 藤_あれでもう「WEEZERが来日しない!」とか「そもそもできない」とかならなくて本当によかった。あとさ、WEEZERとかマニックスも「日本人がメンタル的にこたえてる」ってわかって演奏してくれてたって感じがしたな。
ホリエ_そうだね。
後 藤_まぁでも3月11日は大きかったね、今年はね。
ホリエ_うん。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_今年の8月にリリースしたアルバム『ストレイテナー』は震災前にだいたい録ってあったの?
ホリエ_いや、震災後だね。
後 藤_曲できた?
ホリエ_震災前と後に作った曲が混ざってるんだけど、なんかこう...グッと踏み込む感じがあったかな、震災後は。
後 藤_俺も曲ができてできてしょうがなかったよ。たぶん躁状態みたいな感じになってたのかな。
ホリエ_すぐ作ってたもんね。
後 藤_うん、ヘコんでふさいでくとパニックになっちゃうから、俺。カラ元気だったんだろうね。
ホリエ_そっか。
後 藤_10何曲書いたよ。でもさ、メロディーやフレーズはできても歌詞が書けないってことが多かった。
ホリエ_言葉に込める...なんていうか、立ち返るっていうか「そもそも『死』ってなんだっけ?」みたいなところまでいったよ俺も。
後 藤_そうそう、だから歌詞はすごい考えてさ...あ、スペアザとのコラボあったでしょ?
ホリエ_うんうん。
後 藤_俺は最後に参加だったから、Kjとかホリエくんとオオキくんのやつも聴いたりとかして「割と前向きだなぁ」って思ったんだよね。
ホリエ_うん、そっちを向こうとは思った。
後 藤_だから俺、それでスペアザの歌は歌詞を書けた。「真逆をやろう」と思って。
ホリエ_そうなんだ。
後 藤_なんか最近そうなってきちゃった「なんか俺ダメだ」みたいな。ネガティブな言葉でも思ったことは拾って書き留めなきゃっていうか。
ホリエ_うん。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_だから逆になんていうの、友人たちの曲を聴いて「俺にしか書けないものってなんだろう?」って考えたんだ。俺のユニークさってなんだろう、みたいな。
ホリエ_うーん...元々皮肉屋ではあるけど、そんなにも「暗い」とか「悲しい」とかいう人間ではなかったじゃん?
後 藤_それはやっぱり木下理樹【注:ART-SCHOOL,killing Boy】とかがいるから (笑)
ホリエ_代表格 (笑)
後 藤_がっちゃん【注:五十嵐隆 (元Syrup 16g) 】とかもいるし (笑) 俺がやるまでもないっていうか。
ホリエ_なんかもうちょっと広い意味での悲しみを抱えてる...共通して持ってるっていうか。
後 藤_ホリエくんのメロディーって悲しいけどね、ちゃんと。
ホリエ_うん。
後 藤_生活にはさ「ある一定量の悲しみ」っていうのがあって、それがちゃんと感じるけどねストレイテナーのアルバムからはいつも。
ホリエ_うんうん。
後 藤_それでもなんかさ、美しく描こうという風に見えるというか「映画的」というか。もっとドロドロした感じに書く人もいるし。
ホリエ_そうなんだよね、ホントそれ人それぞれで、面白いなぁって思うよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

SING
ストレイテナー
(from AL『STRAIGHTENER』)

後 藤_セルフタイトルのアルバムって、俺は未だに出としたら相当怖いんだけど...なんか特に意味はあったの? セルフタイトルに。
ホリエ_意思表示というか、「今までやってきたこと全て肯定します」という感じかな。
後 藤_うん。
ホリエ_ただバンドが続いていってアルバムの枚数重ねていってるんじゃなくてさ、より今まで作ったもの築き上げたものに対する責任を背負い込んだ作品ということでセルフタイトルにしたんだよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_バンドとしてなんか...辿り着いたというか、ある種の完成形を見てこのアルバムに来たんじゃないかっていうことを思ったよ、音を聴いて。
ホリエ_まぁここまで付き合ってきたゴッチが「次、やることないでしょ?」って言ったもんね俺に (笑)
後 藤_アハハ、「この後どうすんだ?」って思ったもん正直 (笑)


ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_あ、あと最後に「FUTURE TIMES」について話していい?
ホリエ_うん。
後 藤_これを発行してからいよいよ職業がわからなくなってきたよ (笑)
ホリエ_アハハ (笑)
後 藤_この一連の僕の社会にコミットしていくのをやれって言ったのはここにいるホリエさんですからね。
ホリエ_けっこう昔にね (笑)

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_プロデューサーですからね (笑) だから僕の活動に対する本当の苦情はストレイテナーのHPに送って欲しいよね。
ホリエ_アハハ (笑)
後 藤_「ホリエさんちょっとプロデュース効いてないんじゃないですか?」って (笑)
ホリエ_「蒔いた種はちゃんと育てて刈り取って下さい」的な?
後 藤_そうそう「そろそろゴッチを飲みに連れて行って『最近のゴッチのツイッター発言なんとかしたほうがいいんじゃないですか』」とかね (笑)
ホリエ_そういうのをホリエさんがプロデュースしてくださいよ、って?

A LONG WAY TO NOWHERE
ストレイテナー
(from AL『STRAIGHTENER』)

以上で後藤正文×ホリエアツシによる対談は終了!! ということは決してありません!!!
なんとこの続きは来年1月2日(月)のアジカンLOCKS! で!!!!

ASIAN KUNG-FU GENERATION

今回だけでもかなり濃い話が聞けましたが、次は新年からどんな話を聞かせてくれるのか!?
楽しみにしててくれヨナ!!!!