3/19 「 後藤正文 × 細美武士 」

ASIAN KUNG-FU GENERATION

今夜、アジカンLOCKS! から大事なお知らせが発表されました。

今期、12月から4ヶ月間続けてきたアジカンLOCKS! が、今月をもって休講となります。
「もう何度目の休講だよ!」という感じですが (笑) そういうツッコミができるということは、確実にまた戻ってくるということです!

今期は残すところ、あと2回!
最後までみんなで楽しい授業にしていきましょう!


踵で愛を打ちならせ
ASIAN KUNG-FU GENERATION
(from 『 踵で愛を打ちならせ 』)

さあ! 今期のラスト授業のテーマは、後藤先生による対談授業!
ホリエ先生マキシマム・ザ・ホルモン先生に続いて登場するのは、the HIATUSの細美武士先生!!!!
SOL待望の初登場となる細美先生と後藤先生、"盟友" と言ってもいい2人が我が校の教室で何を語り合ってくれるのか!?
早速聴いてみましょう!

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_今夜のゲストは...
細 美_はじめまして、細美武士です。
後 藤_実は僕ら、先週会ったばっかりなんだけどね (笑)
細 美_うん、entのツアー打ち上げでね。
後 藤_あれはなかなかレアな集いだったね。
細 美_みんなでご飯食べに行ってゴッチが後から合流したんだけど、見事にバンドのボーカルばっかりだったね (笑)
後 藤_えっと、話は変わって...ニューアルバム聴いたんだけど、すっごくよかった。
細 美_ありがとう。
後 藤_今日も聴きながら有楽町を歩いて来たんですよ。
細 美_いや、もうリリースから結構時間経ってるんだけど、大事に聴いてくれてて嬉しい。
後 藤_本当はそうやって時間をかけて聴くものだと思うんだけど、実際はなかなかできないよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

細 美_最近、長時間車を運転する時にクランベリーズのアルバムしか持ってなくて、それをずーーーっと繰り返して聴いたんだよね。
後 藤_うん。
細 美_そうしてると、聴き始めた時に気になってた曲を後から違う曲が追い越して来て、どんどん違う発見があったんだよね。
後 藤_そういうのあるね。
細 美_そういう風に聴かないと分からないことっていっぱいあると思って、自分らってアルバム作る時にすごい回数を聞き込むワケじゃない?
後 藤_うん。
細 美_だからリスナーはそれに追いつこうと思ったらそれこそすごい回数聞き込まなきゃいけない。聞き込んでくれると嬉しいなって思う (グゥ〜)。
後 藤_?
細 美_あ、お腹が鳴りました (笑)
後 藤_大丈夫大丈夫 (笑) 不正解のブザーじゃないってことで (笑)
細 美_ (笑)
後 藤_細美くんはビシっと決めるところは決めるけど、こういう笑かしてくれるところあるよね。
細 美_いや、本人はビシっとしたいんだよ (笑)
後 藤_でも細美くんが隅々までビシっと決まってたら人が寄ってこないと思うんだよね (笑)

ASIAN KUNG-FU GENERATION

Bittersweet / Hatching Mayflies
the HIATUS
(from AL『 A World Of Pandemonium 』)

後 藤_音楽の話に戻しますけど、僕はずっとね、細美くんの友達だけど、その前に大ファンなんだよね。
細 美_うん。
後 藤_だから一ファンとして「なんでコッチいっちゃうんだろう?」とか思ったこともあるんだけど、今回のアルバムはそれがなかったんだよね。
細 美_あ、嬉しいねそれ。
後 藤_いろんなストラグルを想像してたから、細美くん自身が細美くん自身を許しますように、って思ってたところがあったんだけど、今回のは何があったかは分からないけど、フワっとほどけるように音楽も広がって「こういうのやってほしかった!」って思った。
細 美_ありがとう。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_メールでも送ったけど、こんな音楽やってくれてる人が日本にいて、しかもそれが自分の仲間だと思ったらすごく誇らしくて。もっと俺もがんばって良いものを作らなきゃなって思ったよ。
細 美_ありがとう。うーん、自分を許せたとかではないんだけど、去年ってさ、やっぱり誰にとっても忘れることができない年になったと思うんだけど、そんなことがあったら、なんか「今は俺のこと (内面) を書いてもしょうがないでしょ」って視点になったというか。
後 藤_うん。
細 美_それがあって、その場所から抜け出せたんだと思うんだけど。
後 藤_なるほど、俺としてはこれはひとつの到達点だとも思ってるんだけどね。
細 美_うん、俺はこのアルバムが完成した時に「これを超えられないならもう作る意味はないな」って思ったりもして。あ、「辞めたい」と思ったわけじゃなくてね、
後 藤_なるほどね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_俺の勝手な意見だと、ハイエイタスはヨーロッパでウケるんじゃないかな、って思うんだけど。
細 美_やってみたいね〜。1年とか2年とかの大きなスパンを抜け出して「できるのかなコレ?」って思うことに挑戦していかないとつまんないなとは思ってる。
後 藤_あと俺としてはホールでライブをやってほしい。
細 美_椅子のあるところで?
後 藤_うん、で、ちゃんとセット組んで。それも細美くんが全部コンセプトを考えて、スタッフと話し合って作り上げる、みたいな。
細 美_そういう演出とかステージについてはさ、そういうプロフェッショナルな方に丸投げしがちだけど、「なんでそんなトコまで口出すんだよ、めんどくせぇな」って思われても自分の意志を伝えて作り上げていくってのは大事だなぁってのは感じるね。
後 藤_うんうん。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

細 美_俺はやっぱり昭和の人っていうか、例えば黒澤明さんの映画とか見てるとそういうのは強く思う。音楽の世界でも分業化がすごく進んでるから、他のセクションに口出すとめちゃくちゃ嫌われるんだよね。ワガママだ!みたいな (笑) でもそれはワガママじゃなくて、できれば自分たちだけじゃなくて、ラジオを聴いてる子たちが活躍する時代になったときに、そういったことがワガママななくて「熱量」として捉えられる世界になっていて欲しいなって思うよ。どの業界においてもね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_うん、確かにね。
細 美_だって自由と思われがちなロックをやってるミュージシャンですらそういうことになってるから、一般の企業で働いている方々っていうのはその点についてはもっと大変だと思うんだ。上司の機嫌ひとつで切られるとか、そういうのって夢がねぇよなぁ、って思う。
後 藤_うーん、それもそうだけど、分業という意味でいえば、ちゃんとした気の合うアーティストと出会うことで新しいモノが生まれるってこともあるよね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

細 美_そうだね、ゴッチとかもそうだと思うんだけど、気の合う人と出会って何か新しいモノを生み出していける人は羨ましいんだよね。
後 藤_というと?
細 美_自分はそういった出会いがまったくないというかできないっていうか、普通に「飲みに行こうぜ!」って誘うことも全然できないタイプだし、飲みに行ったとしても「何話せばいいんだろう?」ってなっちゃうし、あと俺、話が全然面白くないから (笑)
後 藤_そんなことないよ (笑)
細 美_ダメだよ、ゴメンなさいって思っちゃう (笑)
後 藤_大丈夫だって (笑)
細 美_メールとかでもそうだけど、今日返さなきゃいけないメールにも今日返せるって人にはできると思うんだけど、俺はそういうこともできないから。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_うーん。
細 美_でもね、わかってるの。俺はなんでそういうことができないんだろう、できなきゃいけないのにって。メール返信しなきゃいけないのに寝ちゃったりとか...分かってるんだよ、返信しなきゃいけないことは。
後 藤_なるほど...付き合い長いけどやっと分かってきた気がする (笑) ちゃんとロックスターなんだよ、細美くんは。
細 美_うーん...やらなきゃいけないことは分かってるんだけど、そこの回線を自分の中でつないじゃうと俺の中の何かが変わっちゃうかもしれないというか、それによって今書けているような曲が書けなくなったりとかするんじゃないかと思うとね、やっぱりマネージャーさんとかには「今のままですみません」って。
後 藤_まぁ、でも人って色々役割があるからね。こんなロックモンスターをちゃんとラジオ局に連れて来る役割の人もいるし (笑)
細 美_確かに (笑)

ASIAN KUNG-FU GENERATION

後 藤_そんな色々な役割の人がいることで自分が生かされているってことも分かるし、逆に他人のためになっていることがあるってのも感じるし。
細 美_うん...でもホントはちゃんとしたい (泣)
後 藤_ (笑)

On Your Way Home
the HIATUS
(from AL『 A World Of Pandemonium 』)