〜国立代々木競技場第一体育館 ('06/3/4)〜
update : 3/14

3月4日も、今回のツアーで毎夜オープニングを飾ってきたナンバー「カルマ」で幕を開けた。「カルマ」は僕にとっても始まりの合図になっていて、もうすっかり条件反射でスイッチが入る。ステージから発せられてくる音を、一音も聴き逃さないようにと。それでも、この日僕は、BUMP OF CHICKENのコーラスがこんなにも豊かだったということに、ようやく気が付いた。これまでも、歌声はずっとそこにあったはずなのに。一度知ったその歌声は、もう僕のものだ。耳を傾ければ、必ず返事をしてくれる。「カルマ」に続いて披露された「Stage Of The Ground」で、そのことに気付かされた。思えば、バンプのライブは何回観ても新たな発見があった。常に最高のライブを届けようとしている4人の姿勢が、そうさせているんだと、いま僕は思っています。

そう、「Stage Of The Ground」といえば。ZEPP札幌で生まれて初めてバンプのライブを観た帰りに、雲の上に出た飛行機の窓から見えた "360度 全て道" だった風景を思い出しました。それからはライブハウスで聴いてもアリーナで聴いても、毎回その時と同じ景色が感じられて、僕はいつも鳥肌が立っていたんです。たった2か月前の話なんだけど、すごく懐かしく感じられます。

ということで、レポの続き。「リトルブレイバー」〜「ギルド」では、ベースが地面から大きなウネリとなって伝わって来て、直井くんの指使いまでもが感じられるようでした。次の「太陽」で、それは頂点に達する。繊細なギターの音色に導かれ静かに始まるこの曲が、少しずつ表情を変え、終盤では別の曲と思えるほどの熱を放っていく。この曲を聴くと、最後に体が反応しているのは、いつもベースだった。体は、叩き付けられるような圧力を感じていた。そして、そこに集まった4人の作り出す音圧は、この日も格別だった。4つの音が確かな信頼のもとで鳴らされている、そんな音の強度。そんなバンド・アンサンブルとコーラスの両方が味わえる「embrace」は、個人的に、この夜のハイライトでした。
「天体観測」「ダイヤモンド」に続いて披露されたのが「ハルジオン」。香取待望の1曲!!でした。初めて生で聴けて良かったぁ。最後に立ち上がってしまうくらいドラムを叩き切った升くんに、文字通り拍手喝采でした。イェイ!
そして本編を締めくくるラストナンバー「オンリーロンリーグローリー」では、僕はいつも増川くんのギターに合わせて曲に乗るって決めていた。あのリズム感が本当に気持ちいいから。率直に言って、「Stage Of The Ground」で右手を振り上げる藤原くんを見るたび、「太陽」で体を揺らす直井くんを見るたび、「オンリーロンリーグローリー」で弾きまくる増川くんを見るたび、「天体観測」で叩きまくる升くんを見るたびに、いつも僕はヤられてたんです。4人は本当に輝いていて、本当にいい曲ばかりだった。振り返れば、僕はこのツアレポで、そのことを伝えたかっただけでした。今回のツアーに参加できなかった人にも、それが少しでも伝わっていたら嬉しく思います。
アンコール最後の曲「ガラスのブルース」が始まる前、藤原くんが再びギターを持った右手を高々と上げた。いつもの始まりの、あのポーズだ。「ガラスのブルース」は1stアルバムの1曲目。そうこれは、始まりの歌なんだ。この日のライブが終わっても、このツアーが終わっても、バンプはこれからも続いていく。バンプの音楽が続いていけば、僕らにも今回のような素敵な出会いがあるのだろう。そう考えると、次の新しい一歩を踏み出すのが楽しみになってくる。そんなフィーリングを、僕は今回のツアーからもらった気がします。

僕は音楽を通してビッグイシューと出会い、ビッグイシューを通してバンプと出会い、バンプを通してみんなに出会えました。今回、バンプを通してビッグイシューに出会ってくれた人が、次に何と、誰と出会うか、とても楽しみです。皆さんにも素敵な出会いが待っていることを祈っています。(名古屋のライブ前にビッグイシューを販売していた時、買いに来てくれたひとりの女の子と、その後ろに並んでいた別の女の子がふたりとも "SOL! リスナー" というつながりで出会って、ふたりで会場に向かって行った風景がすごく印象に残っています)

ということで、このツアレポも最後の挨拶です。僕は今回出会った人たちと、たくさんの握手をしました。そのどれもが素敵な握手ばかりでした。BUMP OF CHICKEN、校長&教頭、海賊先生、フッキーさん、フォトグラファーの古渓さん、スタッフの皆様、会場で出会った皆さん、どうもありがとうございました!またどこかでお会いしましょう。そしてライブには来られなかったけど、このツアレポを読んでくれた皆さん、どうもありがとうございました。いつかどこかで会えるといいですね!

Report: 香取 剛 (THE BIG ISUUE)