~国立代々木競技場第一体育館 ('06/3/5)~
update : 3/14

2006年、1/13.14のZEPP SAPPORO 2 daysを皮切りにスタートした BUMP OF CHICKEN 20006 TOUR『RUN RABBIT RUN』。
各地で様々なドラマを展開し、大切に丁寧にお客さんとともに一回一回のライブをつくりあげてきたメンバー。
全国9カ所16公演、総動員数12万人のお客さんによって支えられたこのツアーのファイナル公演が、去る3/4.5の2日間、代々木競技場第一体育館にておこなわれました。前半の、北海道~仙台~新潟は、これまでと同じ規模のライブハウスにて密なコミュニケーションをお客さんとともにし、そして、中盤~後半の、幕張~広島~大阪~福岡~名古屋は、それぞれ一万人強を収容するアリーナクラスでのワンマンライブをおこなってきたこのツアー。会場の規模、スタッフの総数、お客さんの動員数・・・、今まで以上に規模が大きくなったこのツアーでしたが、そのどの会場でも確認することができたのは、やはりメンバーは、「会場に来てくれたお客さん一人一人と対峙し音楽でコミュニケーションする」という信念の元に一つ一つのライブを完全燃焼していた、という事でした。取り立てて派手な装飾や演出がある訳でもなく、かといって会場をどっと湧かせるMCがふんだんに盛り込まれている訳ではなく・・・、だた、そこには誠心誠意、音楽を信じてそれを奏でるBUMP OF CHICKENがステージに立っていて、そして、その渾身の歌/演奏を、これもまた誠心誠意受け止め抱きしめるお客さんがいて。そんなとてもシンプルで澱みのないコミュニケーションが交わされた続けたツアーだったように思うのです。


そして、ツアー最終日の3/5。この代々木競技場第一体育館でも、メンバーは集った10000万人強のお客さん一人一人と、ライブ/演奏を媒介にした10000通りの深淵な "会話" を繰り広げていました。
午後5時。エントランスが開かれると、今や遅しと入場を待ち焦がれていたお客さんがどっと場内になだれ込みます。ステージ上方に大きく掲げられた4つの大スクリーンには、「THANK YOU! COMPLATERY SOLD OUT!」の文字が映し出されています。ツアーファイナルにこのツアーの "チケット完売!" をうたったスクリーンに、それを見上げるお客さんもざわめき立ちます。すり鉢状に、まるで天井に届くかのような位置にまで客席が設けられている会場が、あっという間に人・人・人で埋め尽くされていきます。

そして午後6時半過ぎ、場内が暗転し、このツアーでもメンバー登場の感動を演出しきったいつものSE、THE WHOの「クイック・ワン」が場内に流れます。薄暗いオレンジ色に照らされたステージにメンバーのシルエットが一つ一つ浮かび上がると、場内からは悲鳴にも似た歓声が沸き起こり、これから始まる "決死の対峙" の鬨の声の如く、会場全体が興奮の坩堝と一変します。そして、シルエットの"藤原"がギターを大きく掲げて沸き立つお客さんを更に煽り促すと、"升"の合図とともにSEが消え、"藤原"の妖艶なアルペジオが鳴り響きます。その音色に場内の歓声が一瞬静寂に変わり、その静寂の隙間を埋めるかの様に、"チャマ""増川""升"のそれぞれのパートが重なり奏でられ、地を這うような重いグルーブが場内を支配します。その、噴火前の火山が響かせる地鳴りの如きグルーブに包まれ身を委ねるオーディエンス。と、その場内の闇を劈き閃光を走らせる稲妻のようなギターリフがかき鳴らされます。そう、それは、このツアーの全カ所で1曲目を飾り、ライブの幕開けを高らかに掻き鳴らした最新大ヒットシングル『カルマ』のイントロです。
一気に明転する会場、そして、照らし出される無数に突き上げられたお客さんの拳の数々!この始まりの光景は、どの会場でもホントに力強く感動的なシーンでした。『カルマ』の演奏が終わるや否や、それまでの軽快な8ビートを一変させる、"升"の重く安定したリズムが場内を包み込みます。そのリズムに合わせて変拍子の手拍子をお客さんに求め、両手を高く掲げて手拍子をするフロント3人。それに合わせて渾身の手拍子を返すお客さん。言葉ではないリズミックなコミュニケーションが早くも交わされます。

そして、その溢れる手拍子に包まれながら"藤原"が力強く叫びます、「stage of the ground イェー!!ナナナ ナ~ ナナ~!」。2曲目の「stage of the ground」は、会場全体の一体感の中で更に力強く誇り高く演奏された曲でした。 続いて演奏されたのは、これもインディーズ時代に創られた名曲、リカッとシングルとしてメジャーからもリリースされて大ヒットした珠玉のナンバー『アルエ』です。サビ部分では場内が明るく照らし出され、3曲目にして最高潮の盛り上がりを見せるお客さんのパワーを映し出していました。立て続けに演奏されたステージが暗転、一瞬静寂が訪れますが、すぐにお客さんのメンバーを呼ぶ歓声が場内を埋め尽くします。会場中のあちこちからメンバーそれぞれの名前を呼ぶ声が。
こんな場面をどの会場でも見る事ができ、その度に思った事、それは「これだけ、4人それぞれに歓声が浴びせられるバンドも少ないな~」という事。それは、BUMP OF CHICKENの4人それぞれが、お客さんにとって掛け替えのない4人であり、4人それぞれが別のベクトルで同じような熱さで愛されている証拠なんだということを改めて実感したツアーだったのです。

そして、その歓声を包み込み、お客さん一人一人の心の中に星の瞬きを想起させる、美しくきらびやかなイントロが奏でられます。そう、これも2005年夏の大ヒットシングル『プラネタリウム』の演奏です。ゆっくりと奏でられる美しい旋律にのって、会場のお客さんの腕が左右にたなびき揺れます。まるで空気の揺れによって瞬いて見える星の光のように。その美しくきらびやかな演奏の後に、ゆっくりと確かめるような"増川"のギターアルペジオが鳴らされます。そしてこの聴き馴染みのある神聖なアルペジオに再び場内がざわめき立ちます。このツアーでは初めての演奏となる曲、最終公演で奏でられその存在の重さと尊さを改めて思い知らされた名曲、『ロストマン』の演奏です。"藤原"の振り絞るように唄われるAメロで、既に会場全体がまさにプロモーションビデオで見る事ができたような、荘厳で非現実的な『ロストマン』の世界に誘われ、そして、徐々にそのリアルな叫びとグルーブに覚醒していくのがわかるこの日の演奏でした。続いて、儚くも確信的なアルペジオが場内に流れ、オレンジの薄い光とピンライトに照らされた"藤原"が、身体の中枢にまで響き揺さぶるかのような重い低音で唄い奏でる名曲『リトルブレイバー』が演奏されます。今までのツアーでも、そしてこのツアーでも演奏され続けた『リトルブレイバー』。後半部分で、「僕にとって唄う事がブレイバー 全身全霊のチカラをリトルブレイバー」という一節を、「僕にとって唄う事がブレイバー 君にとってその拳(テ)がリトルブレイバー」と歌詞を変えて唄う場面がしばしば見られ、この日のライブでもそう唄われ、そして無数の拳(テ)が力強く掲げられていたのです。そして、ここで初めて"藤原"が口を開きます。「気持ち良く唄っててしゃべるの忘れてたよ。今晩は、BUMP OF CHICKENです!どんどん唄うんで聴いて下さい。宜しく!」。この屈託のないMCに場内から溢れんばかりの歓声が沸き起こりました。

そして、"藤原""増川"の2本のアルペジオが重なり合うイントロが美しい名曲、『ギルド』の演奏です。この曲も、常にそのリアルで掛け替えのないメッセージを響かせ、セットリストにあってこのツアーの中心を貫く一本の揺るぎない芯のような位置をしっかりと担っていたように思います。『ギルド』の演奏終了後、場内が再び暗転、途切れそうな単音を爪弾く"増川"にピンスポットが当てられ、このツアーではある意味ライブの一番深淵な部分を聴かせた名曲『太陽』が演奏されました。"藤原"のこれも消え入りそうに、でも確かに息づく唄声に誰もが聴き入り、大サビでの神々しいまでの盛り上がりに誰もが感極まった瞬間でした。続いてその始まりの静寂をそのままに、シンプルながら"藤原"の切実で優しいボーカルがどこまでも会場全体に鳴り渡っていくバラード『embrace』の演奏です。この曲では間奏、アウトロ以外ではほとんどギターを弾かずに唄う事に集中する"藤原"。このツアーでも、時にマイクスタンドを両手で握りしめ、時にズボンのポケットに手を入れながら、優しくそして熱く、その美しいメロディーをなぞる"藤原"の姿は、見る人を引き込み、そして"藤原"特有の美学の虜にしてきたように思うのです。そう、その唄う姿はあまりにも孤独に凛々しく美しく僕の目には映ったツアーだったのです。
『embrace』演奏終了後、"藤原"がおもむろにアコースティックギターに持ち替えます。ポロポロと手グセの、でも味のあるアルペジオを爪弾いた後、アコースティックギター一本で優しく美しくイントロが印象的な楽曲『銀河鉄道』が演奏されました。福岡でのライブで、ターロ君がそのレポートでも言及していた曲。その“鉄道”の中で繰り広げられる物語りと、語られる“僕”の心情・・・。これも、とてもシンプルなバンドサウンドで演奏されるからこそより切実に響くライブバージョンの『銀河鉄道』として、各会場でホントに大きな反響を呼んだ楽曲でした。
そして、この深淵でミドルテンポの楽曲を聴かせたパートを一変させ、後半部分の盛り上がりを期待させ喚起させる聴き馴染みのギターリフが"増川"によって掻き鳴らされます。各地で、ブルーのライトが会場全体を包み込み、大ヒットナンバーの始まりに誰もが興奮し感極まった楽曲、『天体観測』の演奏です!再び会場全体が大きく揺れ波打ち、渾身の拳が掲げられています。そして間髪入れずに掻き鳴らされる"藤原"の、これもライブでは聴き慣れたギターリフ。次第にテンポ良く鳴らされるのギターリフに、力強く、確信に満ちた"藤原"のボーカルが絡んでくると、その曲の始まりを知ったお客さんの更に多くの拳が突き上げられ、怒濤の歓声が場内にこだまします。そう、BUMP OF CHICKENのデビュー曲、「振り返り、或は引き返すことも前に進むことと同等だ」と唄った真理の歌、『ダイヤモンド』の演奏です。
立て続けの大ヒットシングル2曲の演奏に、場内は最高潮の盛り上がりに達しています。この無敵の2曲の演奏では、どの会場でもそのボルテージは最高潮に昇りつめ、「ひとつだけ ひとつだけ」「ひとつずつ ひとつずつ」のサビ部分では、人差し指を立て“一つ”ということを現した無数の手が掲げられていました。続いてなだれ込むように、立て続けに初期の名曲『K』が演奏されます。この日の"藤原"の鬼気迫る迫真のボーカルは、『K』の持つあまりにも尊く実直で、聴く人全ての心の水面に一石を投じ波紋をもたらすであろうメッセージと相俟って、尋常ではない説得力を以て演奏されたのでした。楽曲の最後、「もう動かない猫の名にアルファベット一つ 加えて庭に埋めてやった 聖なる騎士を埋めてやった!!」と叫び唄い終わる"藤原"の声の余韻が、余韻と言うにはあまりにもリアルに切実に会場に響き残り、その残響が途切れるのを待ってお客さんから割れんばかりの拍手がわき起こるっていうのも、このツアーでの『K』の演奏では度々見られる光景だったのです。

そして、ムードメーカー"チャマ"がマイクに向かいます。「ホントに素敵な声を聴かせてくれて有難う!そんだけの声がだせるんだったら、もっといい声聴かせてくれるよね。一緒に唄おうぜ!!」。このツアーの本編でのハイライトと言ってもいい楽曲、お客さん一人一人がそれぞれの感性と感情でBUMP OF CHICKENと、楽曲と繋がってきた演奏の中で、メンバーとともに会場全体が同じ旋律を唄う事で一つになることができる楽曲、『fire sign』の演奏です!会場が完全が明転し、お客さんの一挙一動が鮮明に見る事ができます。皆、嬉々として『fire sign』のイントロに聴き入り、"藤原"の軽快に心を愛でるボーカルに呼応し唄っています。そして、ラストの大合唱「ナァ~ナァ~ ナナナナナナァ~ナァ~」の瞬間が訪れると、今までメンバー4人をそれぞれ映していたステージ上方の巨大ビジョンのカメラアングルがゆっくりと回転し、大合唱に揺れる客席を徐々に映し出します。これが、このツアーの各会場で大きな感動を呼んだ心憎い演出の一つ。そのビジョンに映し出される「ステージから見たお客さんの神々しい歓喜の大合唱」の映像は、まさに会場全体の一体感を如実に映し出し、更にその感動の度合いを深める事になった演出だったのです。この感極まる大合唱の後に、"藤原"がささやくように、噛みしめるように言葉少なにMCしました。「素敵な声をいっぱい聴かせてくれてホントに有難う・・・」。その言葉尻とかぶるように、あの美しく聡明な、まるで1000年続いた闇の世界にもたらされた、奇跡の夜明けを想起させるかのような導入の音色がフェードインしてきます。そして奏でられる"藤原"のアコースティックギター。そう、その歌詞の持つ表現力の豊かさと、メッセージのリアリティーに多くの人が深い感銘を受けずにはいられなかった名曲、2005年の大ヒットナンバー『supernova』の演奏です。"藤原"が呟くように、噛みしめるように唄う一言一句が会場全体に響き渡り、まさに一人一人の心に触れ、一人一人の感情に溶込み、約10000個のとても個人的な感動が浮遊して融合して一つの大きなうねりとなってステージに打ち寄せる・・・、会場最後方で、会場全体を俯瞰して見ていた僕には、そんな感動的な光景が目前に広がっていたのです。

そしてラストの「ランラ~ラ~ラ~ラ~・・・」の部分でも、『firte sign』の時と同様の大合唱が奏でられ、この2曲の持つ圧倒的なスケールの大きさに会場全体が酔いしれた瞬間だったように思います。そして、"藤原"の「今日はホントにどうも有り難う!最後の曲を聴いてくれ!!」という叫びに呼び覚まされたかのようにして、"増川"が疾走感溢れるギターを掻き鳴らし、"藤原"の、どこまでも遠く突き抜けるかのような「ウォー!」という雄叫びとともに、このツアー本編ラストを飾った名曲『オンリー ロンリー グローリー』が演奏されました。それまでの、楽曲達とお客さんとのコミュニケーションを総括し、最後の大きな盛り上がりを演出するに相応しい大ヒットシングル『オンリー ロンリー グローリー』の演奏で、メンバーもお客さんもほとばしる感情の全てをぶつけ合い交換し合っているように見えました。永遠に終わらないで欲しい!と本気で思えるようなメンバーとお客さんとの尊い意思疎通が、どの会場でも繰り広げられていたのです!


本編が終わり、暗転して誰も居なくなったステージに向けて、会場からは、まさに地鳴りのような「アンコール!」の大合唱と手拍子が沸き起こっていました。会場中の誰もが、「まだ、もう少し、この大切な時間をBUMP OF CHICKENとともに過ごしたい!」という切実な願いに突き動かされて「アンコール」の雄叫びをステージに投げ掛けていたのです。そして間もなくステージが明転、再びメンバーが、全員"チャマ"デザインのツアーTシャツに身を包んで再登場します。場内からは更に怒濤のような歓声が!!ツアーキャップをかぶった"チャマ"が、いつものツアーグッズに関するMCを冗談を交えながら披露します。
この今までにない大規模ツアーを経てもう一つ痛感した事、それは、"チャマ"がデザインするグッズの素晴らしさと、それに懸ける"チャマ"の真摯なる想いの深さでした。各会場で"チャマ"は、冗談まじりながらも、「インディーズの頃から全てのツアーグッズは自分がデザイン、仕上げまで責任を持って携わってきたこと」「それは、決して安くはないグッズを、チケット代とともに購入してくれるお客さんに誠心誠意いいモノを届けたいという切実な想いからそうしていること」、そんな事をMCで伝えていました。この"チャマ"のホントに昔から変わらない実直なグッズに関する取り組み、ひいてはお客さんに対する姿勢が、ツアーのもう一つの根幹でもあるグッズ販売に於けるBUMP OF CHICKENらしさを維持してきた大きな要因であることが改めて証明されたツアーだったように思うのです。

そして、アンコール1曲目で演奏されたのは、このツアーでは2回目の演奏となるこれも人気の高いナンバー『ダンデライオン』でした。軽快に刻まれる"藤原"のギターイントロで再び会場全体が大きく波打ちます。特にアリーナで飛び跳ねながらライブを全身で楽しんでいるお客さんは、「やった!この曲だ!!」と言わんばかりに嬉々として顔を見合わせ、その軽快なビートに身を委ねていました。この曲も、そのストーリーの持つ切なさ、美しさ、健気さ・・・、聴く人の感性を潤す魔法のようなこの楽曲に、ホントに多くの人が救われ癒され、同時に考えさせられたことでしょう。この日の演奏でも、まさにそんな楽曲への強い想いが感じられるお客さんの反応だったように思います。

いったんステージを後にしたメンバーでしたが、間髪入れずに沸き起こった再アンコールに押し出されるように、今度はほとんど時間をあけずに、2度目のアンコールに応えるべく、ステージに再々登場しました。長いツアーのホントのラストパート。体力を温存している訳では決してないはずのメンバーですが、その表情は何だか晴々としていて、再びシテージに立てる事を心から喜び、感謝しているように見えました。そして、会場中の人々がそれを感じていたように思います。もう何も喋る事もないのか、喋る必要もないのか、4人の意思が一つになった時、あの感極まるイントロが軽快に刻まれたのです。BUMP OF CHICKENが奏でた最初の日本語の曲、BUMP OF CHICKENの原点とも言える曲、そして、今までのどのステージでもその終焉を見事に飾りきってきたとびっきりの名曲、そう、『ガラスのブルース』の演奏です!いつ、どのライブで奏でられても、「始まり」と「終わり」を同時に感じさせてくれるような曲。嬉しくもあり、悲しくもある曲。希望でもあり、絶望でもある曲。つまり、相反するけれど決してどちらか一つでは真実になり得ない、人間や生命の本質みたいなものを、あまりにも軽快にポジティブに、優しく奏でてくれる『ガラスのブルース』だからこそ、全てを削ぎ落として、照明も全部明るくなって会場全体が裸同然になっている最後の状態で、赤裸々に感動的に響いてくれる!それをホントに強く感じさせてくれる『ガラスのブルース』の演奏だったのです。途中のブレイク部分、「ガラスの目をした猫は星になったよ~」では、"藤原"と会場のお客さんとの見事なユニゾンが鳴り響いていました。そして、演奏が終了。これがホントに最後かと思いきや、"藤原"がおもむろにギターを掻き鳴らし、そのブルージーな唄声を響かせます。もう、このイントロ&ボーカルを聴いただけで会場全体が歓喜と興奮のぶつかり合いで爆発しそうになっています!予定調和では決して演奏されないナンバー。僕等スタッフでもいつこの曲が演奏されるのか、その時になってみないとわからない曲。だからこそ、それを聴くことのできる喜びに誰もが打ち震え感極まってしまう楽曲。そう、伝説の『DANNY』の演奏です。メンバーもお客さんもどこにそんな力が残っていたのだろう?いや、この空間を支配していたほとばしる感動の力は、初めから多くも少なくもなってなくて、常に表面張力いっぱいの状態で微動だにしてなかったんじゃないか!?と思ってしまうくらい、衰える事のない興奮と激情のぶつかり合いが『DANNY』の演奏中会場を支配していたのです。あと1分多く演奏していたら会場が潰れてしまうんじゃないか?って心配になる程の震度の揺れを体感したのです。さすがに10000人の『DANNY』は凄まじかった!!

全ての演奏を終えたメンバーがステージから去り、一人残った"藤原"が、あんなに勇敢に、衰える事のない唄声を響かせていた"藤原"が、何だかとても優しく、消え入ってしまいそうな声でささやくように最期に一言話しました。「有り難う。また会おうね」。そして、この精魂尽き果てた勇者の一言に、闘いを共にした戦友であるオーディエンスから、最高の拍手と歓声が送られていました!


「BUMP LINES」を通じて、このツアーの模様を約3ヶ月間に渡ってお送りしてきました。ライブの本当の感動と素晴らしさは、文章なんかでは決して伝える事は出来ない!って心からわかっていながらも、会場に入る事ができなかった多くの方々に少しでもその臨場感を味わって頂きたく、拙い文章ながらレポートさせて頂きました。ツアー来て頂けた方、そして、チケットが取れなかったり、或は様々な理由でライブに来られなかった方、そんな全ての方々の想いを全部背負ってメンバーは全国のステージに立ってきました。だからこそ、全てのステージで大きな感動を共有することができたんだと思います。BUMP OF CHICKENは、これから新曲の制作活動に入り、また皆さんにとって掛け替えのない1曲となるべく名曲を創りだしてくれると思います。そして、また、きっとライブでお会いできると思います。その時は、またこの「SCHOOL OF LOCK」でいち早くその情報をお伝えできるればと思っています!本当に、有り難うございました!

Report: 吹野史斉 (TOY'S FACTORY)
写真はコチラ→ Photo 01