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採用されるのは1人!!
1度不採用になっても、そのまた次の話を考えて、何度でも挑戦してね!
第1章
3月ももう終ろうとしているのに、校庭の桜の木は相変わらず華やかな衣装を着ようとはせず薄着のままだ。
西の空には太陽が、最後の仕事にといわんばかりに真っ赤に輝き校舎を照らしている。
3年生が卒業してからというもの主をなくした教室はまるで玩具をなくしたオモチャ箱のように静まり返り新しい主人たちの登校を心待ちにしているかのようだった。
そんな静寂を破るかのように突然教室の扉が開いた。そこに立っていたのは弥生だ。
成績優秀、スポーツ万能、クラスでの人望も厚かった彼女がなぜか一人卒業したはずの教室に戻ってきていた。
手には手紙が強く握り締められている。
差出人の名前は「M」。苗字なのか、それとも名前なのか、それとも何かの暗号なのか?
しかし弥生にはMという人物に心当たりがあった。なぜならその文面には十分Mを想像させることが書いてあったからだ。
そこに書いてあったのは・・・ |
第2章
著者:RN/パリジェンヌ 17歳 ♀ 静岡県
そこに書いてあったのは・・・
拝啓 弥生様 お元気でしょうか?
突然のお手紙、失礼いたします。
さぞやビックリしていることと思われます。
私にはどうしてもあなたに伝えたいことがあります。
それはあなたにとって些細なことかもしれませんが
私にとっては重要なことなのです。
私に残された時間はありません。
4月から東京で新たな人生をスタートさせるからです。
しかし、東京へ行ってしまう前にどうしても伝えたかったのです。
いや、伝えなくてはならないのです。
3月30日午後6時私たちの教室で待っています。
必ず来てくれることを信じています。
〜死してなお 鬼の目を抜く 定めなり〜
M
このクラスで春から東京へ行くのは4人、そのうちイニシャルにMが付くのは2人。
学級委員長だった桜井美那子、そして美容師を目指す森田ヒトシ。MINAKOかMORITAこの二人でまず間違いない。
しかし、わからないのは最後の一文である。
これは一体何を表しているのか?
その時・・・ |
第3章
著者:うっでぃ 18歳 愛知県
その時ノック音が教室の静寂を破った。
「あら??弥生さん。アナタなんですか・・・。」
現れたのは同じクラスの村上まい。
「で、なんですか?私に話って。わざわざこんな手紙まで書いて。」
そう言うとまいはおもむろに手紙を取り出す。
そこには宛名は違うものの、全く同じ文面が紙の上を這っていた。
「まいちゃんも呼び出されたの?」
「まいちゃんもって、あなたもなの??アナタが呼び出したんじゃないの??」
互いがたがいの目をまんまるくして見つめあっていた。
夕日が差し込んでいた教室がいつしか蛍光灯の光を頼りにしていた。
2人はそのまま“M”の登場を待ちながら、しかし一言も言葉を交わすことがなかった。
教室には再び静寂が訪れた。
静寂という旋律に飛び込んで来たのは鳴るはずのないチャイムだった。
「・・・!!」
2人だけの教室が突然闇に包まれた。
すると・・・ |
第4章
著者:はちみっつ 愛知県
ドアのそばに、小さな男の子が立っていた。
その子は二人にそっと近付き、一枚の手紙を弥生に渡した。
弥生とまいは、その男の子に目を奪われていた。
なぜか懐かしい気持ちが沸き上がってできたのた。
そして、再び鳴ったチャイムに連られるように、男の子は走りさっていった。
弥生とまいは、ふと思い出したようにその手にある手紙を見つめた。
「・・・開けてみよっか。」
二人の声は揃って出てきた。
手紙を開くと・・・ |
第5章
著者:ピース 17歳 福岡県
手紙には、こう書いてあった。
あなた方ふたりは時空を超えて、
10年前にタイムスリップしました。
理由はまだ言えませんが、
あなた方と会えた時にきちんとお話します・・・。
この手紙を渡した男の子は森田ヒトシ君です。
10年前の姿なので気付いてなかったと想いますが・・・。
とにかく時間がないのです。
まずは、森田ヒトシ君を追ってください。
「どういう事なの??」
弥生は状況が理解できないでいた。
だが、弥生とまいが見た男の子は今思うと、間違いなくヒトシだった。
「なんで?タイムスリップしたのは本当なの?」
まいはそう言うと弥生が
「本当にそうだとしたら大変よ、早くヒトシを追いかけましょう。」
ふたりは森田ヒトシを追いかけ始めた。
これから起こる事態など知らぬに。 |
第6章
著者:ぷーこ 14歳 ♀ 岩手県
ヒトシはどんどん走っていく。
弥生とまいは後を追った。
廊下を抜け、階段を駆け下り、校舎も出て、ヒトシは校門へ向かっていった。
「何処に行くつもりなのかな?!学校を出たら見失っちゃうよ・・・!!」
まいが言った。
弥生もヒトシが何処へ行こうとしているのか全くわからなかった。
・・・校門を出ようという時だった。
急にヒトシが立ち止まった。
弥生とまいも顔を見合わせて立ち止まった。
ヒトシが言った。
「僕はこの先に行けない。今は。でも君達は行かなくちゃいけない・・・。だからここでお別れです。時が来たらまた会うことになるでしょう・・・」
「・・・・・・何それ・・・どういうこと・・・?!」
弥生が聞きかえそうとしたときには、
もう、ヒトシは何処にもいなかった。
わけがわからずに2人は、しばらく黙って立っていた。
先に沈黙を破ったのはまいだった。
「どうやら私たち・・・外に行かなくちゃいけないみたいだね。」 |
第7章
著者:みーゃん
2人は商店街を歩いた。
さっきまで本当に10年前のか?と疑問を抱いていた2人だったが確かにここは10年前だった。
10年前になくなったお店が閉店セールをしている。
それに10年前にはやったファッションで街中を歩いている人がたくさんいる。
「信じられない。」
「まず、何からはじめようか・・・。」
まいと弥生はお互いの家に行ってみることにした。
まずは弥生の家に行った。
そこには庭で遊んでいる当時8歳の弥生と9年前に死んだ犬、ハチが遊んでいた。
弥生は言葉を失った。
自分はここに確かにいる。
でも今私が見ている少女も弥生だ。
次はまいの家に行ってみることにした。
そこにはなんと。 |
第8章
著者:のすけ
8歳のまいがしゃがみ込んで泣いていた。
見ていられなくなったまいは、8歳の自分に声をかけた。
「どうかしたの?」
自分でも不思議な位やさしい声だった。
「・・・おばあちゃんが大切にしていた植木鉢を割っちゃったの・・・怒られちゃうよ」
「そう、でも正直に言えばきっと許してくれるよ・・・・・・」
そこまで口に出した時、まいはふと思い出した。
まいは昔、祖母の植木鉢を割った事がある。
祖母が事故で亡くなる少し前だから、ちょうど10年前だ。
その時に「正直に言えば許してくれる」と言ったお姉さんがいた事を覚えている。
あれは10年後のまいだったのだ。
まいは気付いた。まだ祖母は亡くなっていない。
それなら未来を変えられるんじゃないか、と。
その時、ヒトシがどこからか現れた。 |
第9章
著者:陸
8歳のまいがしゃがみ込んで泣いていた。
「駄目だよ、」
8歳のまいが居なくなったのを確認して、ヒトシはポツリと言った。
「な、何のコト?」
「まいの気持ちはわかるけどさ、」
「・・・何がわかるってのよ!」
「確かに今なら間に合う。でも・・・」
「何も、何も知らない癖に!」
まいは目に涙を浮かべながらそう言い残し、飛び出して行ってしまった。
「まいッ!!」
取り残された弥生は身動き出来ずにいた。
「ヒトシ、一体どういうコト?」
「まいの行き先はわかってる。アイツは、この日死んだお祖母ちゃんを助けようとしている。」
「まいの、お祖母ちゃん・・・」
弥生は10年前の記憶を辿った。 |
第10章
著者:はる 岡山県 15歳
「確か・・・まいのお祖母ちゃんは交通事故で・・・」
覚えている。授業中に先生が深刻な顔をしてまいを呼び、まいはそのまま家に帰された。
「まいちゃんのお祖母さま、亡くなれたの」
翌日、先生がそう明かしてくれた。葬式のため、その日まいは休みだった。
人が死ぬ、ということの意味をまだよく理解していない年齢だった。だが今はお祖母 ちゃんの死が幼いまいに深い傷を残したということが想像できた。
「そうだ。商店街前の交差点の横断歩道で、信号無視したトラックにはねられたんだ。だから今アイツはそこに向かってる。お祖母ちゃんを呼び止めて、トラックが通り過ぎるまでひきとめておくつもりなんだろう。でも・・・過去は変えられない」
ヒトシは、最後はつぶやくようにそう言った。
「過去は変えられない・・・ってどういう意味よ?」
弥生の問いに、ヒトシは答えなかった。答えないかわりに、うつむいたまま、つぶやいた。
「過去は変えられないんだ、絶対」
不意にヒトシは顔を上げた。
「とにかくアイツを追おうぜ」 |
第11章
その日は雨が降っていた。弥生もまいの祖母とは面識があったし、
近所付き合いもあったので母に連れられて葬式に行った。
まいの祖母は、信号無視の大型トラックに跳ねられたと聞いた。即死ではなかったが、救急車の中で息を引き取ったそうだ。
まいは死に目にあえなかった。葬式の会場で一番泣いていたのはまいだった。
「なんで死んじゃったの?!まだ、まだ、謝ってないのにぃ!!おばあちゃん!!おばあちゃん!!」
泣き叫ぶまいの声が雨音とともに木霊していた。弥生はその時まいの祖母の死に顔を見た。
それは苦痛に歪んだ顔ではなく、安堵の微笑みだったような気がする。
まいは事故のあった大通りへ走った。あの日は祖母は商店街へ行ったはずだ。きっとこの辺を通るはずだ。
そのときだった。商店街の方からゆっくり歩いてくる祖母の姿があった。
「おばあちゃん!!」
まいは迷わず祖母のもとへかけていった。 |
第12章
著者:ピネアル 群馬県
その日は雨が降っていた。弥生もまいの祖母とは面識があったし、
まいは祖母を抱きしめた。祖母は少し驚いた様子だったが、今にも泣きそうな女の子に優しく声を掛けた。
「あら、どうしたの?」
まいはまだ元気な祖母に会えた安心感からか、目を潤ませて震えた声で呟いた。
「よかった」
まいの目から耐えられなかった雫が落ち、こう言った。
「ごめんなさい。私・・・おばあちゃんが大切にしてた植木鉢を割っちゃったの。本当にごめんなさい。」
泣きながらそう言い終えると、祖母はまたあの優しい声でまいに話しかけた。
「まあそう。」
「・・・怒らないの?」
「どうして?何も悪くないでしょ。だって正直に言ってくれたもの。だからもう泣かなくていいのよ、まいちゃん。」
「えっ!」
驚いて顔を上げると、変わらないあの笑顔がまいを見ていた。
「おばあちゃん・・・私一言も・・・」
「何言ってるの!おばあちゃんが可愛い孫の顔が判らない訳無いでしょ。」
まいは、祖母の春の太陽のように温かく包み込むような安らぎを感じた。
すると・・・ |
第13章
著者:葉っぱ 中2
「やめろっ!」
突然、後ろから腕をつかまれた。まいはバランスを崩し、歩道に倒れた。立ち上がろうとしたが、腕を強くつかまれているので身動きが取れない。
「やめて・・・っ!離して!おばあちゃん!おばあちゃんが・・・!」
「まいちゃん!」
弥生が悲鳴に近い声を上げた、直後。
不意に響くクラクションの音。急ブレーキと、甲高い悲鳴。地面に倒れた小さな背中。
「おばあ・・・・ちゃん・・・?」
足が自然に動いていた。ふらふらとおぼつかない足取りで道路へ歩き出す。なにも、考えられなかった。
頭の中が真っ白だ。おばあちゃん、また、助けてあげられなかったね。二回も、痛い思いさせちゃったね。苦しいよね。ごめん。
まいのせいだ。今行けば、助けられるよね。また、わらってゆるしてくれる?今、行くからね、おばあちゃん・・・!
「まい、そこまでだ。それ以上は、行かせられない。」
顔を上げると、苦しそうな顔をしたヒトシが両手を広げてまいの前に立ちふさがっていた。 |
第14章
「どいてよ・・・」
時間がたつにつれ激しさを増していく雨の音にかき消されてしまいそうなほどか細い声で、まいが呟いた。
「どうしても・・・いかせられないんだ・・・。」
ヒトシの後ろには黒い人だかりができていて、小さな子供の泣き叫ぶ声が飛び交い、騒然としていた。
そして、人ごみの間から、真っ赤な血が見え隠れしていた・・・・・・。
「どいて・・・どいてよ・・・」
「駄目だ。」
「・・・今度こそ・・・助けなくちゃ・・・・・・」
「まいちゃん・・・」
ふらふらとヒトシの横を通り過ぎようとするまいを、ヒトシは腕をつかんで引きとめた。
「放して・・・・・・放してよ!!!!なんで行かせてくれないの!?助けられるのに・・・・・・おばあちゃんを・・・今度こそ助けられるのに・・・っ」
「まいちゃん・・・」
まいが、あまりにも悲痛な叫び声をあげる。絶望に似た色さえ浮かんでいた。
「・・・いかせることは・・・できない・・・」
まいの腕をつかむ手に力がこもる。
「・・・っ・・・放せって行ってるのが分からないの!?」
「駄目っていうのがわからないのか!!」
2人の叫び声に、周囲が一気に静まった。もう、雨の音しか聞こえていなかった。 |
第15章
著者:IKU
空が泣いているような雨の中、まいとヒトシの大声で一度は静まった周囲の声は間もなく再開され、怒鳴り声や叫び声がこだましている。遠くからは救急車の音も聞え始めた。
「あたし・・・なんで十年前なんかに来ちゃったの・・・?」
ヒトシに捕まれている腕を力なくぶら下げて膝を折ったまいは、唸るように言った。
「・・・・・・」
ヒトシは何も言わない。弥生は二人の顔を交互に見ながら困惑するだけだ。
「おばあちゃんは助けられないし・・・それどころか」
息を大きく吐き出した。雨に濡れて寒いのか、また違う理由でか、まいの声と体は小刻に震えていた。
「あたしのせいで・・・おばあちゃんが死んじゃってたなんて・・・」
諦めたような口ぶりだった。うつ向いていた目を急に上げて、すがるようにヒトシを見つめる。
「教えてよ・・・あんた知ってるんでしょ・・・!?」
「そうだよヒトシ。なんであたし達は十年前にいるの!」
涙目から大粒の涙を流し始めたまいの二の句を弥生が継いだ。ヒトシは自分の足元から、ゆっくりと目線を上げる。
「死してなお 鬼の目を抜く 定めなり」
ヒトシの呟きに聞き覚えを感じた弥生は、少し考えて、最初に自分達を呼んだ手紙の一文であることを思い出す。でも、真意は?この言葉は何?ヒトシは据わった目でまいの瞳を捉えて、
「まい。君には行かなきゃならない場所がある。」
低く、唸った。 |
第16章
著者:スコーピオ
「そんなこと・・・言われても・・・」
まいには全く心辺りがなかった。
考え込むまいに弥生はためらうように言った。
「あの・・・さぁ・・・。私、思うんだけど・・・。」
弥生はずっと思っていたことを語った。
「なぜ、私とまいがここに来たのか。というより・・・なぜ、私とまいでなければならな
かったのか・・・」
ヒトシを見ると笑っているように見えた。
しかし、弥生はかまわず続けた。
「きっと、何かあるんだよ。私達でなければならない理由が。私達にしかできないことが。だから、誰かが私達をここに呼んだんだよ。誰かが私達を必要としてるんだよ。何か違う?ヒトシ。」
弥生はヒトシの方を見た。
しかし、ヒトシは笑ったままだった。
そして、まいが少し考えて言った。
「そうだよ。いったい誰がこんな所に呼んだの?なぜ、私達と出会う人がヒトシなの?それに・・・どうして・・・今日に・・・私達を呼んだの?」
涙目のまいを少し見て、ヒトシが語った。
|
第17章
著者: 不明 (ラジオネームを教えて〜!!)
「二十年後・・・つまり、本当のお前ら二人が生きている現代の十年後・・・一人の青年が交
通事故で死ぬんだ」
ヒトシがいきなり言った言葉の意味が分からず、まいと弥生は眉を潜め互いの顔を合わせた。
「どういうこと??」
弥生は言い、首を傾げヒトシに向き直る。
「その事故は、防げる事故だ」
ヒトシはまいを見て無表情で呟いた。
「どういう意味??」
顔をしかめ、まいが聞く。
「事故が起こるのを知ってる人間がいた。・・・2人」
ヒトシは人差し指と中指を立てて、まいと弥生に突き出す。
「・・・何が言いたいの??」
弥生の声は無意識に低く小さくなり、ヒトシを睨むような目になっている。まいはヒトシを見つめる。
「まだ未来はきてない」
ヒトシは2人の視線を遮るように歩きだした。
「変えたいと思わないか??」
ヒトシは振り向き、目だけに笑みを浮かべまいと弥生を見ていた。
|
第18章
著者: 12色
「そんな事言われたって・・・そりゃ助けたいけど・・・」
弥生が口ごもる。
「お前達が防ぐんだ。お前達にしか出来ないんだ。
他の誰にも出来ない事が、自分には出来る・・・」
ヒトシの声は徐々に大きくなっていく。口元にはうっすらと笑みを浮かべている。
その時、まいは はっとした。何かが自分の中で弾けた。
「その・・・青年って・・・もしかして」
まいは迷った。それとこれとが結びつかない。
自分でも困惑してる。
それでも言おうと思った。
その先が知りたかった。
「もしかして」
少し置いて言う。
「ヒトシのこと?」
|
第19章
著者: 翠雲
弥生が息をのんだ。張り詰めるような緊張。
ヒトシは下を向いた。
「それは・・・分からない」
風に揺れるヒトシの前髪を、二人は見つめ続けた。
「ただ、まいにとって大事な青年であることは確かなんだ」
そう言ったヒトシの頬に、光るものがつたっていた。
まいは驚いた。
これまでまいが泣いていた時も取り乱してしまった時も、
常に冷静だった、そのヒトシが・・・。
そして十年後に、「大事な」青年を失う悲しみが自分を待ち受けている・・・。
沈黙が永遠に続いてしまうような気さえした。
「迷ってる場合じゃないみたいだね」
弥生が沈黙を破った。
「まいちゃん、行こう。ヒトシの言うとおり、私たちにしか救えないよ」
弥生がまいの肩に手を置いた。
彼女の決心がまいにも響いてきた。
「うん・・・行こう」
まいは頷いた。そして、うつむいたままのヒトシに尋ねた。
「ヒトシ、私たちどうすれば助けられるの?」
|
第20章
著者: ぷらり
ヒトシは顔を上げた。
「さっきおれは、その交通事故は防げる事故だと言ったな。それは、なぜだと思う?」 二人はわからない、と首を振った。
「それは、その事故は、ある人物が意図的に起こす事故だからだ」
「・・・!」
「それってつまり、その青年は、誰かに殺されるってこと・・・!?」
驚きで声の出ないまいにかわって、弥生が尋ねると、ヒトシは小さく頷いた。
「そうだ。その青年は、バイクでひき逃げをされる。そしてバイクを運転していた奴は、最初から青年を狙っていたんだ。だから・・・」
ヒトシはそこで言葉をつまらせた。弥生は震える声で先を促す。
「だから?・・・だから私達は、どうすればいいの?」
ヒトシはふと、二人から目をそらせた。
そして、再び話し始めた。
「二人にとって酷なことだってことはわかってる。
だけど、それしか方法がないんだ」
二人の体がビクリと震えた。
「青年を助けるには、青年を殺そうとする奴を、
始末するしかない」
|
第21章
著者:ラジオネームなし
深い沈黙になり、周りの景色もいつの間にか変っていた。考え過ぎで頭が痛い。
弥生はハッっとし、おかしな事に気付いた。 言おうか言わないか迷ったが我慢ができずに口は動いていた。
「ねぇ、ヒトシ。・・・まいのお婆ちゃんは助けなかったのに、その青年は助けるって・・・おかしいよ。」
まいは俯いていた。まいもこの矛盾に気付いていたのだろう。
黙るヒトシにまいは続けて言った。
「過去は変えられないのに未来は変えてもいいって? どっちもやってる事は一緒じゃない!?」
弥生は勝手なヒトシがもう許せなかった。
「ヒトシ・・・私も・・・やっぱりやだ・・・」
まいは地面ばかり見て言った。
空気が重くゆいつの音はまいの静かな泣き声だけだった。
「死してなお 鬼の目を抜く 定めなり」
突然のヒトシの声に二人は顔をあげた。
「ごめん、これは定めなんだ・・・」
ヒトシは悲しい顔で言った。
|
第22章
著者:ラジオネーム 山本さん
「定めって・・そんなに大事なことなの?」
まいの声はふるえていた。
「おばあちゃんのことわ見捨てておいて・・・定めってなんなの?教えてくれてもいいんじゃない?」
まいは訴えるようなめでヒトシを見つめている・・
ゆっくりとヒトシが口を開いた。
「その青年は、後に世界を変えるであろう人間になるから・・。
今から二十年後の世界なんてお前ら想像したこともないだろ?」
その問いに弥生とまいはうなずいた。
「二十年後には・・・。」
その先を言いかけてヒトシはためらうようなそぶり見せて口を閉じた。
|
第23章
著者:ラジオネーム 吉田くん
「なんなの?」
「20年後には世界はどうなってしまうの?」
まいと弥生は口々にそう言った。
しかしヒトシは口を閉じたままうつむいていた。
そしてついに我慢ができなくなり、まいは
「早く教えてよ!おばあちゃんは助けちゃいけなかったのにどうしてその人は助けないといけないの?!」と叫んだ。
するとようやくヒトシは顔をあげた。
そして二人をじっと見つめながら話し出した。
その内容は衝撃的なものだった。
「20年後、この世界は消滅するんだ。」
|
第24章
著者:陸
動揺を隠しきれない2人にヒトシは
「ただし、その青年を救うことが出来なかった場合、の話だ。」
と、付け加え笑った。そして交差点の脇で静かに時を刻んでいた櫓時計に目を移してすぐさま2人の腕を掴んだ。
「急ごう、時間がない!!」
「時間って、・・・?」
ヒトシに引っ張られて足を動かし始めた弥生は聞いた。
「2人がこの世界に居られる時間だ。」
ヒトシはそう言いながら古くサビた懐中時計を2人の前にチラつかせた。
「あと・・・、どれくらい、なの?」
ヒトシは外見こそ8歳だが、足はスポーツ万能な弥生でさえ追い付くのがやっとな程だった。
「っと・・・2時間15分。」
「まだあるじゃないの!」
そう言って弥生は速度を落とし、後方のまいに足を合わせた。
「・・・お前ら、人を殺したことがあるか?」
ヒトシは振り返ることなく足を止めた。
そして、その声は重く深く2人にのしかかった。
答えは決っていたけれど、2人はまだその言葉の真意を理解していなかった。
|
第25章
著者:郁男さん
長い沈黙、そして弥生が口を開いた。
「ねぇ、いったいどこにその・・・犯人になるやつがいるの?」
「着いて来ればいずれわかるよ。」
そう言ってまた走り出した。すると今度はまいが口を開いた。
「その犯人になるやつっていったい誰なの?」
「・・・。」
途端にヒトシの顔が暗くなり、黙りこくってしまった。
「・・・。」
ヒトシの沈黙に耐えられなくなったまいは、
「ねぇ!黙ってないで答えてよ!」
「・・・・・・・・・・・・ヒトシだ。」
ヒトシがぼそっと答えた。
「え?なに?今なんて言ったの?」
「未来のヒトシだ!ヒトシがその青年を殺す!」
2人は息を呑んだ。
「え!まさか・・・なんで?!冗談でしょ?!」
しかし、ヒトシは首を横に振った。
「間違いないんだ・・・。未来の僕が世界を破滅させる・・・。」
そう言ってヒトシは深い悲しみの表情を見せた。 |
第26章
著者:紗亜弥
「そんな!あたしたちにヒトシを殺せって言うの!?」
まいは、小さいヒトシの肩をつかんだ。
「ずっと・・・、ずっと一緒だったんだよ?」
弥生は、下唇を噛んだ。
「じゃあ、お前らは世界が破滅してもいいって言うのかよ!?」
まいの手を払いのけ、ヒトシは叫んだ。
「僕は・・・、僕のせいで世界を破滅させたくない。それは、未来のあるまいや弥生たちのためだ。僕に人の未来を奪う事はできない。僕は、未来の僕の暴走をここで止めたいんだ!!」
ここまで叫んだヒトシの顔は赤くなっていた。
「頼む。未来の僕を消してくれ・・・!!」 |
第27章
著者:Viwa
冷静でなどいられない。
あの何も知らない、春待ち遠しい教室に帰りたい。
弥生は血の巡る音を首筋で感じた。
「ヒトシが・・・未来の自分を何とかすれば・・・」
「無理なんだ・・・無理なんだよ・・・」
ヒトシの瞳から溢れた涙が、雨で濡れたアルファルトの地面に流れた。
「俺はあいつを殺す。そして世界が終わる・・・だめだ・・・俺が死んででも阻止しないと・・・」
まいは熱く叫んだ。
「どうして!!じゃあどうしたら・・・」
「だから俺を殺してくれよ!」
外見は子供だけど、口調や声色からは同い年と話している気持ちになった。
「分かるんだよ・・・俺は、彼女のために世界中を犠牲にしてしまう・・・。だめだそんなの・・・」
まいがおもわず聞き返す。
「彼女・・・?」
ヒトシは震える手で顔を覆い隠した。 |
第28章
作者:ラジオネーム お名前教えて〜!!
重苦しい空気が流れ、三人の間には沈黙が戻った。
まだ春になりきれていないのか、三人の間を通り抜けた風は冷たい。
だ春になりきれていないのか、三人の間を通り抜けた風は冷たい。静寂を破ったのは、ふいに流れた儚げな旋律。
(あれ? この曲どこかで・・・)弥生は記憶をたどった。
とても暑い日だった。
だが、弥生は薄暗く、肌寒い部屋の中にいた。
そして、幼い弥生の視線の先には、ベッドに横たわる少女。長い黒髪が印象的な・・・。名前は・・・・・・だがそこで、記憶の糸が途切れた。ふっと現実に戻ると、ヒトシの声が聴こえた。
「もしもし?」
(携帯??・・・なんだ・・・携帯の着信メロディだったんだ・・・。)
淡いピンク色の携帯は、幼いヒトシには何処か不釣り合いな感じがした。 |
第29章
作者:ラジオネーム お名前教えて〜!!
「あぁ、・・・うん、・・・わかってる・・・。」
ヒトシが真剣な顔をして話している。
「・・・あのさ、まい・・・さっきさヒトシが、人を殺したことがあるか、って聞いてきたよね。」
「うん、それがどうしたん?」
「でさ、私ずっと考えてたんだけど・・・私たち人を殺したことがないじゃん。っていうかそんなん当たり前じゃん。だけどそれを裏返すと、そのときになって人を殺せるかってことでしょ?」
「弥生!あんた何を言ってるかわかって言ってるの!?いかにもあんた・・・私たちがその・・・、人を殺すみたいな言い方してんじゃないいの!しかもその相手はヒトシだよ!どうすんのよ!」
「でも仕方ないじゃないのよ!ヒトシを殺さないと世界が破滅しちゃうのよ!」
沈黙・・・。しかしそこは張り詰めた空気。そして、
「おい。」
二人は同時に振り返った。
「取り込み中悪いが、急がなくてはならなくなった。」 |
第30章
作者:陸
「さっきの電話、誰から?」
その質問にヒトシは「じきに分かる」と言って答えてはくれなかった。
そしてヒトシは2人に目で合図し、再び走りだした。
「もう少しだ!この先を左折した所に、」
今度は少しだけペースを落としていたヒトシは、頻りに時計を気にしていた。
時間ならあれから10分と経っていない。
「そこってもしかして・・・」
割って入ったのは弥生だった。
10年前に来て最初にきた、ここは
「そう、お前の家だ。」 |
第31章
作者:朝霧
「どうして私の家なの?」
弥生は、10年前の自分の家を見上げていった。
「さっきも言ったが俺は、ある女の人のために世界を壊滅させた。と」
「うん・・・」
「未来の俺はその女の人に恋心を抱いた。だけど、その女の人が本当に結ばれるべきだったのは、俺じゃなくある別の男・・・。そしてその男は・・・」
「ヒトシに殺される人ってこと?」
まいが言葉をつぐように聞いた。
「そうだ」
ヒトシは答える。
「でもそれと私の家に来たことと何が関係してるの?」
「!?」
三人は弥生の家から漏れ出したわずかな音に振り返った。
「この曲・・・」
突然、弥生はすぅーっと気が抜けるような感覚に襲われた。視界がブラックアウトし、目が慣れてきたころには絨毯の上に横たわっていた。
「ここは・・・」
弥生は薄暗く、肌寒い部屋の中にいた。
そして、弥生の視線の先には、まだ8才の幼い弥生と、長い黒髪を体にまとわせ、ベッドに寝ころぶ少女。どこか見覚えのあるその少女は・・・
「あっ」
ふいに記憶の糸がつながった。その瞬間、一気に現実に引き戻された。
「弥生大丈夫?」
まいが心配そうに弥生の顔を覗き込む。
「うん・・・、大丈夫。ねえ、ヒトシ」
「どした?」
「その女の人って・・・・」
「私のお姉ちゃん?」 |
第32章
作者:光の華
「・・・まぁ・・・な」
ヒトシは顔を下に向けていて、表情は読み取れない。今までと違い、歯切れの悪いところをみると照れているのだろうか。
しかし、今はそんな場合ではない。
「で? ヒトシは未来でその・・・私のお姉ちゃんの相手を殺すのよね? 未来のことなのに、何でわざわざ過去に連れてきたの?」
そういえば・・・と、まいも頷く。
「あぁその事。話の発端がこの時だから」
それは一体どういう意味なのか。 |
第33章
作者:お名前教えて〜!
「ここが発端って、どうして?」
言いかけて、弥生は口を噤んだ。ヒトシの表情が変わったからである。
ちらっと携帯電話の待ち受けを見たかと思うと、庭の角を指差して言った。
「悪いけど、そろそろ時間みたいなんだ。あの後ろに回って、静かにしていてくれ。」
ヒトシが指差したのは、角に置いてあった物置きだ。
よく隠れんぼしたっけ・・・などと思いながら、弥生は古くなった物置きを見た。
まるで何かから隠れるみたいだと疑問に思ったが、ヒトシが玄関の方に走って行ってしまったので、大人しく物置の後ろへと回った。 |
第34章
作者:亀鈴
二人のいるこの場からは、外側からしか、玄関を見る事が出来ない。・・・一体、何が起こるのだろう。
不安になってきた弥生は、まいをちらりとうかがった。
ショックな出来事に遭ったまいは、その可愛い顔に暗い陰を作ってしまっていた。・・・何か私に、まいを励ます事が出来れば良いのだけど。
「・・・弥生、見て」
「え?」
まいの、焦ったような視線。はっとした弥生は、まいの視線の先・・・家の前へと、顔を向けた。
「・・・誰・・・?」 |
第35章
作者:お名前教えて〜!
そこには見覚えのない少年の姿が。
だけど家の前なんだし、人が会いに来ることもあるわけだし。んな驚くような事でもないじゃん!!・・・と思いながらも弥生は違和感を感じていた。
(なんで見たことないんだろ・・・?)
自分の家を訪ねてきた人なのに、だ。
姉の友達にしろ自分の知り合いにしろ一回は見たことあるはずだしなぁ。・・・や、ただ単に思い出せないだけかも。頻繁にきてたわけじゃないかもだし、なら、覚えてないのも納得、うん。
弥生はそう自分で納得して(というより自分をごまかして)再び玄関の方を見つめた。
少年は呼び鈴を鳴らそうとしている。
まいがちいさく何か呟いたけれど聞きとれなかった。
それよりも弥生を驚かせたのは「兄ちゃーん」と親しげに少年に近付いていくヒトシの姿だった。 |
第36章
作者:seiya
「ヒトシ、なんでここにいるんだい?」
その少年は、ヒトシに向かって言った。
弥生はまいに言う。
「もしかして、ヒトシのお兄さん?」
「でも、ヒトシにお兄さんがいるって聞いたことが・・・」
ないとは言えなかった。二人はヒトシについて何も知らない。
だから、別にお兄さんがいようが不思議ではなかった。
不思議なのは、何故彼は弥生の家にいるのか、だ。
「兄ちゃんこそ、なんでいるのぉ?」
ヒトシは少年を見上げて言った。
「弥生ちゃんのお姉さんのお見舞いだよ」
少年は笑顔で言った。 |
第37章
作者:お名前教えて!!
「僕も行く〜」
ヒトシと少年は弥生の家に入っていった。静寂を取り戻した住宅街の一軒家の物置裏で、弥生とまいはしばらく無言でしゃがんでいた。
「入っていっちゃったね」
まいが口を開いた。
弥生は黙っていた。
弥生の頭の中では違うことが渦巻いていた。
・・・なんで思い出せないの? あんな人みたことない、はず。うちに来た? そんなはずない。こんな時間なら私も帰ってきてるはず、よね。あぁ、もうわけわかんないよ!・・・そんなことが弥生の頭の中を支配していた。
弥生は混乱していた。中に入るのは危ないかもしれない。けど、このままここにいても何も始まらない。それにあの少年とお姉ちゃんの関係も気になる。
行くしかないか。
決心して立ち上がろうとしたその時、まいが口を開いた。
「お姉さん、病気だったの?」 |
第38章
作者:お名前教えて!!
まいは驚いていた。
姉に関してのことは何も話したことがないのだから当たり前だ。だが、弥生は姉の病気の話をするのは好きではなかった。
嫌でもアノ事を思い出してしまうから。
「そう。私のお姉ちゃんは病気だった。ただ、誰にも言ってなかっただけ。」
弥生は切なそうに眉をよせ、何か、辛いことを耐えるかのように、手が白くなるまで服の袖を握っていた。
「じゃあ今日弥生のお姉さんに何かあるのね。」 |
第39章
作者:スコーピオ
しばらくの沈黙の後、弥生が突然口を開いた。
「嫌なこと思い出させちゃうけど、今日ってまいのお祖母さんが亡くなった日なんだよね…?」
「うん…」
「その日…つまり今日は…私のお姉ちゃんが消えた日なの…」
「消えた? どうゆうことなの?」
弥生の突然の告白にまいの頭はこんがらがっていた。
「初めから話すね。さっきヒトシ達が話していたけど、私のお姉ちゃんは病気だったの…。」
弥生は悲しそうな目でゆっくりと、姉について語り始めた。
「私は…お姉ちゃんが大好きだった…。病気でいつもベットに居たから…私はいつもお姉ちゃんの部屋にいたの…。あの日…今日も…私はお姉ちゃんの部屋に居てお姉ちゃんと話してた…。けど…私は突然眠たくなって…目が覚めたら…」
弥生の目から涙が流れていた。
「お姉ちゃんが消えてたの…。」 |
第40章
作者:陸
弥生の突然の告白に、まいは茫然自失だった。それはあまり長い時間では無かったけれど、沈黙は続いた。
「…今も、」
そして、消え入りそうな声で訊ねた問いに、弥生はただ、頭を振るだけだった。特にかける言葉も見つからず、まいは混乱した頭で静かにヒトシの言葉を反芻した。
――彼女のために世界中を犠牲にしてしまう――
あの時ヒトシははっきりと言わなかったけれど、あれは確かに弥生さんのお姉さんのことだった。それなら、
「いつかは、帰ってくるのよね?」
20年後の世界に彼女は存在しているのだから。
「…うん。」
違う。まいは思った。
私たちはヒトシを殺す為に連れて来られた。ヒトシを消せば道は修正される。つまり20年後は、ヒトシの言った世界とは違うんだ。彼女が消えるのさえも、今を変えたら分からなくなる。
20年後なんて尚更。
じゃあ、私たちは何をすれば――
「中に入ろう。」
言いだしたのは弥生だった。
彼女は全てを確かめたがっている様だった。 |
第41章
作者:読めない…
「弥生がそれでいいならいいけど・・・本当に弥生は大丈夫なのね?」
弥生は無声で頷き、涙を拭って立ち上がった。しかし今も降り続いている雨のせいで全然拭えてない。
過去に来てから、私と弥生、一度も笑ってない気がする・・・。まいは弥生の姿を見てそう思った。
2人は家の扉の前に立った。弥生は「現在」で使っている鍵で扉を静かに開け、2階のお姉ちゃんの部屋の前で扉を少しだけ開き、中を覗いた。
部屋の中には、ヒトシ、ヒトシのお兄ちゃん、弥生のお姉ちゃんがいて・・・・・・・幼い弥生がベッドにもたれて寝ていた。
ヒトシはヒトシのお兄ちゃんと弥生のお姉ちゃんが話しているのを静かに見ていたのだった。
「あれが弥生のお姉ちゃん?」
弥生は病気だと言っていたけどすごく明るい・・・。
笑顔があふれていて、見ているだけで私も笑顔を分け与えてもらえる・・・
「…お姉ちゃんは私が知ってる人の中で一番優しかった。」
その時ヒトシの目つきが変わった。 |
第42章
作者:裕一郎
弥生はドキッとした。
今まで幼さを装っていたヒトシが、一瞬、弥生たちと居たときのあの真剣な目を見せたのだ。
その目が、こっちに向けられた気がした。
「今、こっちみた」
まいが呟いたことで、それは確信に変わる。
そしてまた、弥生は直感した。
ヒトシはここに私たちが来たのを気づいている。
「いや、もしかしたら、ヒトシは私たちがここにくることを知っていたのかもしれない」
そして、今、お姉ちゃんたちがいる中でそんな顔をした。
「・・・このあと、きっと何かがあるんだよ。」
弥生の真剣な顔に、まいは思わず唾を飲んだ。
笑っていたお姉ちゃんが急に口を閉じた。
“お兄ちゃん”が、真剣な顔をしていたからだ。
そして、彼はとんでもないことを口にした。
「こいつのクラスメートが急に家に帰されたらしいんだ。」
二人に緊張が走る。何でまいの話を・・・
お姉ちゃんは、ポツリと呟いた。
「亡くなったのね」 |
第43章
作者:アカペラ大好き少年
「最近、そろばん教室も休講続きだったもんね。体調、悪かったのかな。」
ため息がかかって、お姉ちゃんの長い細い髪が揺れる。
「ううん、交通事故だって。」
今だ正体の知れない少年の言葉に、お姉ちゃんは驚いて声も出ないみたいだった。
「そう。」と小さく答えるのがやっとだった。
「多分、教室も、閉めるんだろうな。村上のおばあちゃんが趣味でやってたようなもんだし。」
「淋しくなるね。」
そんな二人の会話には、ヒトシは加わっていなかった。
彼らの間だけに違う時間が流れ、弥生やまい、ヒトシの入り込める余地はないように感じられた。
しかし、弥生の中では、ほんの一瞬、パズルのピースが繋がった。ここにいる弥生を除く全員の共通点。
それが、まいのおばあちゃんだという事。
でもだとすると。一つだけ疑問が残る。
「まいは、あの男の子、知ってるんじゃないの?」 |
第44章
作者:黒縁キャプテン
「え?」
まいは何か考え事をしてたみたいで驚いたようにこっちをふりむく。
「う〜ん、おばあちゃんを知ってるって事は家に来たんだろうけど・・」
「知らないの?」
「・・もしかしたら、弥生みたいに寝てたのかもしれない・・」
「・・寝てた?」
そんなことがありえるのだろうか、寝てたなんて事が。
親しい家族に、
同じ人が、
尋ねてきて、
同じように、
寝てたなんて事が。
その時私の脳裏に一瞬の憶測が流れる。
「隠されてる?」
”眠らされていた”というのか?
”隠されていた”というのか?
だから私たちなのか?隠された事を知らせるために・・・
過去に来たというのか? |
第45章
作者:たきつぼ
だとしたら、一体なぜ?
誰が何のために隠してたっていうの?
2人は必死に、頭に次々と浮かぶ疑問を整理し始めた。
弥生は、まいのおばあちゃんとも面識があった。
そして、弥生のお姉ちゃん、ヒトシ、ヒトシのお兄ちゃんの3人は、恐らく、まいのおばあちゃんのそろばん教室に通っていた。
つまり、ここにいる全員が、まいのおばあちゃんのことを知っていて、まいのおばあちゃんも、ここにいる全員のことを知っているということになる。
でも、私とまいは、ヒトシのお兄ちゃんの存在さえ知らなかった。いや、隠されていた。10年前に連れてこられたのは、ヒトシのお兄ちゃんの存在を私たちに知らせるため。
誰が・・・?
『M』?・・・ヒトシ。森田ヒトシ。
でも、何でわざわざ。
「ちょっと待って、」
弥生が小声で呟く。
「まいのおばあちゃんの名前って、何?」
「宮元・・・潤子だけど?」
「宮元・・・。あのね、私のお姉ちゃんの名前はね、睦実っていうの。」
「うん。」
「ヒトシのお兄ちゃんの名前が何にしろ、苗字は森田だよね?」
「うん。」
「・・・ねえ、」
弥生が、強張った表情でまいを見つめる。
「『M』って誰・・・?」 |
第46章
作者:ゆーちゃん
「M・・・?」
まいは、何かをおもったように、弥生に言い返した。
「そう。Mってなんなの? だれなの?」
弥生とまいの考えることが、一緒になった。
そのとき・・・。
「みつけた?」
振り返ってみると、そこには、ヒトシの姿が。
「僕は、君たちに隠された、真実を見つけ出させるために
10年前につれてきたんだよ・・・。」
ヒトシは、弥生とまいの目をまっすぐみつめた・・・。
「・・・・・ごめん!!!!」
「え・・・?」
まいは、おもい表情をしながら、したをうつむいていた。
そして、ゆっくりしゃべりだした・・・。
「私・・・・・」 |
第47章
作者:陸
「私、知ってる・・・Mを知ってる。」
「まい、ちゃん・・・?」
ただならぬまいの様子に弥生は慌てた。
助けを求めようと振り返ったヒトシは、まいの口からその言葉が出るのがわかっていたかの様だった。
ここには私だけが知らない世界がある。それだけは確かだった。
誰もいない校舎で鳴ったチャイム。
10年前の世界。
行かなければならなかった私の家。
ヒトシがお姉ちゃんの為に殺してしまう、まいの大事な人。
でも彼が結ばれるべきはお姉ちゃんだった。
ピンクの携帯。
着信メロディー。
じきにわかると言った電話の相手。
今日消えるお姉ちゃん。
見覚えのないヒトシのお兄ちゃん。
私たちは20年後の世界を守るために8才のヒトシを殺さないといけない。
残り時間はもうきっと長くはない。
部屋に集まった4人。
接点はまいのお祖母ちゃん。
そして尚、見つめなくてはいけない隠された真実。
それが多分、ここに来るのが私たちでならなかった理由。
そしてそれが今、まいの心にある。
「・・・私が、Mなの。」 |
第48章
作者:R.A
辺りがしん、と静まり返るのを弥生は感じた。まいがM?そんなことーーー。
「そんなこと、あるわけないよ・・・」
頭は混乱していたが、なんとか弥生は言葉を発した。
「だって、まいちゃんもあの手紙を受け取ったんでしょ?それにMは、4月から東京に行くってーー」
「私、東京にいくの」
まいは言った。
「え?」
「皆には言ってなかったけど、私後期の試験で東京の大学に受かって、そっちに進学するつもりなの」
そんな、じゃあ今までのことは、全てまいが仕組んだことなのか? そんな弥生の考えを読んだかのように、まいは続ける。
「でも、教室に呼び出された時の私は何も知らなかった。というより、あの手紙を書いたのは正確には私じゃないの」
「どういう、こと?」
弥生はわけがわからない。
「あの手紙を書いたのはーーー」
まいの頬には涙が光っていた。
「それはきっと、20年後の私・・・。あの手紙は、今日私たちを引き合わせるために20年後の私が書いたものなの」 |
第49章
作者:チーノペペロン
「20年後のまい・・・が・・・?」
「そういうことだ」
ヒトシが口を挟む。
「20年後、まいは偶然気付くんだ。兄貴を狙う、俺・・・ヒトシに。
兄貴がいなくなってしまえば世界は破滅する。それほど、兄貴はすごい人だ。
でも俺は兄貴を絶対に許せなかった。
何を犠牲にしてでも、睦実さんを守りたかった。俺の兄貴から。
まいは俺を説得するが、俺は睦実さんを守りたい一心で、全く聞く耳を持てなくなってる。
そこでまいが考えた方法・・・過去に戻って、睦実さんが兄貴に連れ去られるのを防ぐ。
全ては10年前のここ、睦実さんが消えるところから始まってるんだ。
兄貴が睦実さんを連れ去らなければ、20年後の俺が暴走することはない。
兄貴がいれば、20年後の地球の破滅も防げる
・・・・・・と、まいは考えて、現代に向けて手紙を書いた」
「じゃあ、今ここで、ヒトシのお兄さんから、私のお姉ちゃんを守ればいいんだね」
弥生が、ヒトシの顔を見つめる。
「いや違う。まいは一つだけ間違っているんだ。
さっきも言ったが・・・、過去は変えられない。
今、どう兄貴を説得しようが止めようが、睦実さんは兄貴に連れ去られてしまう」
「じゃあ、どうすればいいの!?」
と、弥生が言うと、ゆっくりとヒトシが口を開いた。
「俺がここに残る」
「えっ?」
「もともとそのつもりだった。
だからお前らと違って、こんな姿をしているんだ。
俺がここに残れば、現代の俺はいなくなり、当然、未来の俺も存在しなくなる。
俺がここに残ることで、世界は救えるんだ。
過去は変えられないが・・・・・・、未来は変えられる」
「でも! それじゃあヒトシが!!」
弥生がヒトシにせまる。
「うるせえ、もうこれしかないんだよ。
とにかく、時間がもうない。お前達がここにいられるのも、あと10分。
今すぐ、学校の教室に戻るんだ」
「でも、ヒトシが・・・」
「早く!」
2人を睨みつける、ヒトシ。
「で、でも・・・」
「うるせえ! 早く行け!・・・世界を救うんだよ!」
まいが意を決して、口を開く。
「弥生!・・・行くよ。 ヒトシ、ごめん・・・ありがとう」
するとそのとき、初めてヒトシが笑顔を見せた。
「じゃあな」
と言うと、ヒトシは部屋の中に消えていった。
「行こう」
まいが、弥生の目を見つめる。
目を潤ませながら、弥生がゆっくりと頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―2008年、4月―
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第50章
作者:スキピオ
─2008年、4月─
駅前の広場で弥生はふとわれにかえった。
(いけない、ぼうっとしてたみたい)
あわてて周りを見渡す。
(もう、これからまいを見送るって時に私ったら)
今日弥生は、東京に出発するまいを見送ることになっていた。
今日は四月のわりに日差しが強く、駅の中は上着を脱いでる人がほとんどだった。
(…今日は暖かいな〜)
歩きゆく人を見ながら、あくびをして弥生は思った。
(平和だな〜やっぱり春はいいな〜)
のどかな気分になりながら、弥生はしあわせを感じていた。
そろそろ来ているはずのまいを探そうとしたとき、
ポケットの中に何かが入ってるのに気がついた。
取り出すとくしゃくしゃの紙だった。
(何だろうこの紙………くしゃくしゃで読めない………
死…してなお……目を………定め、なり?何だろこの紙。捨てよ)
弥生はその紙を近くのごみ箱に捨てた。
(…誰か死んだのかな)
「弥生!」
声がする方を見ると、まいが電話ボックスから出て来るところだった。
まいあのピンクの携帯忘れたのかなと思いつつ、弥生はこれから旅立つ友達に手を振った。
「まい!」
青空がどこまでも、広がっていた
〜END〜
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